オーディオと相性~その時代のアンプにはその時代のスピーカーを合わせる是非
2024年12月16日 07:00
バブル景気が崩壊した90年代の前半、突然のように各社から安価で小型のミニコンポが揃って売り出されるようになります。
最初は横幅30Cm前後のミニコンポ、更には25Cmになり、ついにはハーフサイズの20Cm幅のマイクロコンポと年を追うごとにサイズはどんどん小さくなっていきます。
その中で、システム販売と並行して単体でも発売される高音質のミニコンポやマイクロコンポの製品群をハイコンポと呼ぶようになりました。
こういったハイコンポ、特徴的な製品の幾つかをコレクションしていますが改めて全製品の音質を確認しました。
6万円前後が主流のミニコンポアンプどころか4万円が主流のマイクロコンポアンプの音質が本当に驚くほど良いのです。
定格出力こそフルサイズコンポに比べると半分にも届かないのですが、出力の低さはどのアンプもまったく感じません、むしろ普通に使う分には適正な出力だとさえ感じます。
更には同年代の各社のエントリークラスのフルサイズコンポの価格よりも30%~50%程度高額な定価設定です、定格出力をあえて下げてでも価格に見合う音質向上を目指したことは明らかです。
逆の見方をすると、ハイコンポ全盛時代に誕生したデノンのPMA390を代表とした各社の薄型エントリークラスのフルサイズコンポは極めてコストパフォーマンスが高いとも言えます、この薄型エントリークラスのアンプも同年代に別の熱き戦いが繰り広げられたのです。
ちょうどこの時代には高性能な小型ブックシェルフが次々に誕生してきました、日本だけではなく世界中のオーディオメーカーが口裏を合わせたかのように同じ傾向になっていきました。
その高性能な小型ブックシェルフと合わせたハイコンポの音質は極めて相性が良く驚くほどの高音質なのです、考えるにどの時代もアンプの音質の傾向はどうもその時代に主流となっているスピーカーの音質に合うように作られているのではないかとさえ思えるのです。
どのメーカーのハイコンポもフルサイズコンポのエントリークラスアンプ以上の音質で、低音域から高音域まで見事に伸びており中高音域のメリハリのある音色はどのジャンルもバランス良く聴かせます。
試聴で改めてハイコンポの実力を再確認しました、各メーカーのそれぞれがサイズに見合わぬ実力機揃いで本当に凄いの一言です。
時代を越えた各種のアンプとスピーカーを繋ぎ換えては聴き比べをすると、これまでに見えなかったものが見えてくるようになります。
オーディオ道楽前にはここまで徹底して短期間で各種の機器を聴き比べた事はありませんでした、この生きた経験は必ずどこかで大きく役に立つことでしょう。
何故なら過去にも意味も理由も無く私が物事に没頭することはないからです、没頭する事には自覚が無いだけで未来のどこかで意味と理由がちゃんと存在していることを知るのです。