2023年12月 8日 07:00
50年以上も前から存在するオーディオ神話に、「ジャズはJBLで、クラシックはタンノイで聴け」というものがあります。
JBLはアメリカ発祥のスピーカーメーカーでタンノイはスコットランド発祥のスピーカーメーカーです、どちらもスピーカーメーカーとして早くから世界ブランドを確立しファンを二分してきたスピーカーの一大世界ブランドです。
確かに軽快に鳴らすJBLのスピーカーはジャズやロックに向き、繊細な音でゆったり鳴らすタンノイのスピーカーはクラシックに向きます。
また定説の補足的に存在するのが、ジャズの本場はアメリカでJBLは楽器奏者にもPAを通して親しまれてきてジャズやロックに必要な音を知っているからというのがあります。
同様にタンノイは、ヨーロッパで生まれた多くのクラシック音楽に精通した音作りをしておりクラシックに向くのも確かな根拠があります。
こういった定説を鵜呑みにして自身で経験していない人は多いと思います、つまりJBLでクラシックをタンノイでジャズやロックを聴いてみたことがあるのでしょうか?
実際に聴いてみるとJBLでのクラシックもタンノイでのジャズも全然悪くない音で鳴ってくれます、そもそもですが世界ブランドを確立するような製品はジャンルを特定して開発しているわけではないのです、良い製品はどんなジャンルの音楽も綺麗に鳴ってくれるのです。
メーカーの目指すものとそれを使う側の求めるものが違ってくるのはどの業界にでもあります、おそらくですがスピーカーユニットの音そのものよりも外見から来る偏見的なものが多いのではないかとさえ思うのです。
JBLを不動の世界ブランドに押し上げた製品に1957年発売のD44000(俗称パラゴン)があります、幅2メートルの左右一体となったまるで家具のようなスピーカーで家具職人が1台ずつ手作業で作り上げます。
日本に初めて上陸したのは1965年で170万円でした、現在でも内外をオーバーホールされた完全なものだと中古でも300万円ほどで取引されています。
その後にはミニチュア化させたミニパラゴンを多くのマニアが設計図を基に手作りで作成し、それが世に安価で出回っています。
このパラゴンはクラシックファンに親しまれた製品です、そしてパラゴンに使われていたスピーカーユニットがその後のJBLスピーカーユニットの系譜を作っていったのです、つまりJBLスピーカーでクラシックも綺麗に鳴らすことができて当たり前なのです。
同じようにタンノイでジャズやロックを聴く人も居ます、そもそもヨーロッパでもジャズやロックフェステバルが数多く開催されファンも多いのですから当たり前なのです。
定説も良いけど囚われてはいけません、でも確かにジャズはJBLとかアルテック、日本製ではダイヤトーンとかオンキョーのスピーカーを使い大音量で鳴らすと音の響きは最高なのです。