2022年11月18日 08:00
昔から経営者同士の挨拶のようなものに「最近よく眠れてますか?」というものがあります、加えて私のような年齢になると「字が見えますか?」とか、「硬いものが噛めますか?」などと身体の問答が加わります。
経営者なら誰しもある時期に眠れない日が何日も続くことは特段珍しいことではありません、特に資金問題や社員やその家族の問題、クライアントとの意見のすれ違い、一歩間違えば経営を直撃する問題は日々起こるものです。
そして寝る前に、そんなことが頭をよぎり熟睡できないのが経営者としては当たり前のことなのです。
他方では「今まで眠れなかったことは一度もありません」と言う経営者もいます、でもたいていそういう人は大きな事業を興しているわけでもなく、社員を抱えて組織行動しているわけでもなく、自分と家族だけを考えての気楽にできる一匹狼の経営者です。
眠れない夜があるということは社員やパートナーを抱えているとか巨額を投じてオリジナルの事業を構築してるとか、共同事業で複数の人との利害関係があるという状況であり経営者として一人前になったという証なのです。
また眠れない夜が無いというのは余裕が有るわけでもなく、自身のビジネスそのものを自身のことと考えずに他者事のように客観視して考えているからに他なりません。
そういう意味においても眠れない夜が無いという人は、他者に経済力を依存して自身でオリジナルビジネスを構築できる人ではないのかもしれません。
本来の経営者とは支払い先が多数有り社員やパートナーも多数抱えています、したがって支払いの問題などでの資金調達から取引先との人間関係など考えることが山ほど有るのが当たり前です。
少なくても「眠れない夜が無い」というのは経営者として幸せなことなのでしょうか、悩みが無いビジネスなど有り得ません、悩みが無いとすれば悩むほどのビジネスを興していないからに他なりません。
私は経営者として考えるに悩みが無い日々を決して幸せだとは思えないのです、もっとも事業推進過程ではなく成功を収めることができれば本当に安堵な日々を過ごせることになります、これは結果としての褒美であり、その期間こそ熟睡できるのです。
眠れぬ日々を経験して自分は根っからの経営者思考なのだと自身で納得することが重要だと思います、そうでなければ経営者として成功することもないでしょう。
もっとも経営者としての成功ではなく、別のものに歓びを得たいと考えているのであれば経営者人生で成功しようと頑張らない方がよいです、そんな意識なら経営者人生に早々に別れを告げるべきだと思います。