2022年8月15日 08:00
世にいう大天才と呼ばれる人は数多くいます、中でも私が若いころから大いに思考や思想的に影響を受けた心の師と仰ぐ人はほとんどが科学者です。
子供の頃から理科系の私は大学時代には文学作品ではなく、科学雑誌や科学論文を読むのが大好きでした。
好きな天才科学者のうち尊敬できる人を3人上げろと言われたら、迷わずアルベルト・アインシュタイン、ジョン・ノイマン、そして私の人生の目標にしたいほどの大天才であるバートランド・ラッセルです。
アインシュタインは言うまでも無く物理学の大天才で、「相対性理論」や「特殊相対性理論」を打ち出し「量子力学」や「宇宙理論」を一気に発展させたあまりにも有名な科学者です。
何よりも素敵だと思うのは彼は自分のことを天才だと思っていないことです、「ひきこもり」の学生時代にやっとの思いで卒業し就いたのが落ちこぼれ公務員、あまりにも仕事が暇なので自分の疑問を解いていたら突然降って湧いてきたのが原子爆弾にも応用されたエネルギー法則なのです。
その後科学者としての道を歩みますが、彼は元々その道を極めたわけではなく40歳を過ぎてから自分の能力が突然開花したのです。
ノイマンは数学の大天才でコンピュータによる計算ロジックの基礎を作った人です、現在使われているスーパーコンピュータやパソコンなど全てのコンピュータの演算方式はノイマン型です。
人間は10本の指で数えます(10進法)が、コンピュータはONとOFFの2種(2進法)で計算を行います、しかも足し算しかできません。
引き算や掛け算もっと言えばルートなどの関数をコンピュータで行うには、全て足し算によるロジックに変換されて行われるのです。
最後のラッセルですが、アインシュタインと親交のあったアリストテレス以来の論理学(アルゴリズム)の大天才で数学でも天才振りを発揮していました。
1955年に「ラッセル&アインシュタイン宣言」を発表し、核兵器の使用を禁じ原子力を平和利用しようと訴えました。
この宣言には日本の湯川秀樹も含めた計11人の科学者が署名し、なんと全員がその後に何らかのノーベル賞を受賞しています。
ラッセルを人生の目標としたいというのは実は科学者としての生き方ではないのです、彼がノーベル賞を受賞したのは物理学でも化学でもなくなんと「文学賞」なのです。
人生の後年、彼はそれまで発見・提唱してきた論理学や数学といった分野から社会構造や教育理論、また組織学にそれを応用し多くの思想や哲学を創出し発表しました。
研究の対象を科学から人間、それも「心」の領域に科学者で始めて踏み込んだ人なのです。
その多くの論文によって示された理論の中でも特に有名なのが「パラドックス理論」や現在のAIの言語解析にも使われている「階型理論」と呼ばれているものがあります、これらは当時閉塞感のあった数学や物理学に新たなる思考の方向性をもたらしました。
実は、当時の科学者の多くの思考のカベは「心」にあったわけです、それを自らの体験を基に体系的に「心の科学」をまとめて論文として発表し続けました。
彼は98歳まで生きました、しかしそれでも「1日24時間では少なすぎる、もっと時間が欲しい」と言い続けていたといいます。
もっと多くの時間が彼に与えられたら、どんなに意義深い思想や理論が生まれたか解りません。
クールな科学という分野を生き、「人間」や「心」を大切にした人間味あるホットな大天才、もっと多くの人に知って欲しいと思っています。