寝室用のホームシアターシステムで重宝したデノン SC-C33XG(2004年発売、定価2万円)です。
寝室のモニターを大型に変えた際に目の高さが上になるのでラックも変えました、ところがそのラックに収まるセンタースピーカーが無く慌てて購入した経緯があります。
デノンSC-C55XGの良さを存分に知っていたので、大きさと薄さ重視で弟分のSC-C33XGに即決しました。
5.7Cm口径のユニット4台でのP.P.D.D.方式で低音域を60Hzまで伸ばしてはいますが、単体で確認するとほぼ低音域は出ていません、更に高音域も伸びがまったく感じられません。
ホームシアターなのでフロントスピーカーとサブウーハーで補正するので問題は無いのですが、音圧が低すぎてボイスが落ち込んでしまうのでフロントスピーカーも変える羽目になってしまいました。
このセンタースピーカーは寝室用のサブシステムでは問題ないのですが、リビングで使うメインにはかなり厳しいと言わざるを得ません、なにせ迫力感がほぼゼロです。
SC-C55XGの弟分なので期待はしたのですが、音色や迫力は別シリーズだと思えるほどです。
周波数特性こそ比較しても同じなのですが、やはりオーディオ製品は聴くまではデーターだけでは解らないという根拠はこういうことです。
ただ、形状は薄型でフロントバッフルに傾きが設けられているのでニアリスニングには必須のデザインとなっています。
つまりモニターの上にも向きを逆さにして設置できるのです(モニターがすっぽり入るシステムラックが必要です)、こういうところからも近距離で試聴する寝室用サブシステム用と捉えてもよいかと思います。
ホームシアター道楽復活後に、寝室用の小規模ホームシアターサブシステムのセンタースピーカーとして小型軽量で使いやすいかなと考え購入したヤマハNS-C210(2008年発売、定価7千円)です。
ヤマハ NS-C210
NS-C210は超安価ということもあり10年以上もロングセラーを続けているエントリークラスの製品です、ちなみに驚くことなかれ発売から10年経った2018年当時でも製造が続けられており、実売価格も5000円ほどの超お買い得な1台です。
8Cmアルミコーンのウーハー2個にバランスドームツイーターというスペック自体は価格からすると申し分ないのですが、とにかく音圧が低く中音域の張り出し不足でたとえ寝室用とはいえ本格的にサラウンドを愉しみたいならセンタースピーカーとしての役割を果たせません。
AVアンプのセンターチャンネルの調整で目いっぱいゲインを上げても、手持ちのどのフロントスピーカーと合わせても押されてしまうのです。
もっとも、同じクラスのフロントスピーカーと合わせるのが筋なのですが、寝室用とはいえオーディオとの併用なのでフロントスピーカーはしっかりしたものを使いたいのです。
アルミコーンのスペックを見ての購入で、期待通りなら「センタースピーカーの超ハイコストパフォーマンス機」として評価するつもりだったのですが、やはりスピーカーの音は確実に価格に素直に出るようです。
ただ、単独で鳴らした音質はパワーを入れてあげると中高音域が綺麗に張り出してきます。
実売価格が安価なので、2台買ってPCオーディオ用に使うという手もあります。
この場合は、縦にするとパイオニアが得意とするバーチカルツイン方式の疑似コアキシャルという仕様となり、真ん中のツイーター辺りから音が聞こえ、指向性が出て音場の定位がよくなります。
その点では、左右・上下が対象デザインなので縦横どちらの利用も可能なので重宝するスピーカーだと思います。
また、テレビ内蔵のスピーカーよりも全然まともな音質ですから、やはり2台使ってテレビの音質改善用に小型デジタルアンプとサブウーハーを合わせても充分機能するスピーカーです。
センタースピーカーは別にホームシアターのセンターチャンネル専用に使わなくてはいけないというルールも無ければ、それに特化した音作りがされているわけではありません。
何よりも手軽で安価というのが一番評価できます、いろいろな使い方で愉しむことができます。
ちなみに、オンキョーの5.1ChのエントリーセットBASE-V20Xに付いているセンタースピーカーと比較してみましたが、圧倒的にこのNS-C210の方が音質的には上です。
ここは、流石に安価とはいえ単品販売ものの意地を見せます。
尚、サランネットが外せない仕様となっています、これは購入前に気付くべきでした、ユニットの状態が目視出来ないのはマニアにとっては致命的です。
こういったスピーカーは予備やメンテナンス時の音出し確認ツールにも使用でき、1台持っていると何かと便利かもしれません。
90年代に入り、高性能な小型ブックシェルフの快進撃によってスピーカー部門のシェアを拡大していったオンキョー。
そのオンキョーが放った、本格的ホームシアター用センタースピーカーの一つがHTS-C10(1999年発売、4.3万円)です。
オンキョー HTS-C10
このHTS-C10はどこにもバスレフダクトが付いていません、そうですなんと密閉型のセンタースピーカーなのです。
余程のユニットに自信があるのでしょう、密閉型でありながら13Cm口径のユニット2発で38Hzまで低音域を再生するのですから驚きのスペックです。
ウーハーユニットのコーンはD-202AXに使われているコーンと同様のオンキョー独自のOMFコーンで、ユニットはサラウンドスピーカーのHTS-SR10と共有しており音質の相性は抜群です。
それもそのはずです、HTS-SR10と共に国際ホームシアターの音質認定であるTHX認定を受けたセンタースピーカーなのです。
しかも86dBの音圧で150Wの入力耐性です、どんなフロントスピーカーと合わせても十分に存在感を出してくれます。
単独での音質は、HTS-SR10に比べて中音域の張り出しが更に強く、センタースピーカーとして理想的な音質です。
低域音が伸びている効果なのか、男性の太い声がものすごく綺麗に表現され生音に近い表現力は流石に当時小型スピーカーで名を馳せたオンキョーだけあります。
ブラック塗装に見える外装は実はブラック木目であり、うっすらと木目の模様が浮かび見た目にも美しい仕上げになっています。
2005年ごろから急速に、カセットテープやレコードなどのアナログソースが復活してきているようです。
私もレコードを現在でも1000枚以上コレクションとしてストックしているので、レコードプレーヤーを復活でき嬉しい限りです。
レコードプレーヤーのピックアップ、つまりカートリッジの替え針が無くなったらどうしようとか、カートリッジそのものが壊れたらどうしようなどと心配していたのですがひと安心しています。
私は、レコードプレーヤーは2台所有していまして、そのうち1台はハイエンド物でターンテーブルしか付いておらず、アーム、カートリッジと全て好みの物を単品で購入して組み上げるスタイルになっています。
ですので、カートリッジは幾つも持っているのですが、これが面白いように機種によって音が異なるのです。
単品のカートリッジは安い物でも数万円しますので、コレクションするとあっという間にアンプ以上にお金が飛んでいきます。
そんな音が一変するカートリッジですが、もう一つ音が劇的に変化するものがあります。
それは、カートリッジが拾った信号を人間の耳に聞こえる周波数帯域に変換する為の装置で、イコライザーと呼ばれているものです。
レコードとはプラスチックに音声信号を掘って刻みます、したがって刻みやすくするために信号に変調をかけているのです。
イコライザーは、この変調された信号を元の信号に復調する機械と言う事になります。
CDなどの音質を決めるDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)と位置付けはまったく同じだと考えても間違いではありません。
こうしたイコライザーも単品で作られており、最高級品になるとイコライザーだけで200万円という超高級品も存在しています。
何れにしてもレコードを聴く音質は、カートリッジとアンプ内のイコライザーによって最終的な音が決まってしまうという事を覚えておくと良いでしょう。
CD以上に、アンプによって音が変化するのがレコードだという事です。
オーディオ氷河期突入後にも大ヒット&ロングセラーを達成したアンプの名作がありました、その一つがマランツPM-80a(1994年発売、7.5万円)です。
製品名の正式型式はPM-80AF(バックパネルの表記)ですが、カタログや説明書にはPM-80aとなっており中古市場において混乱を起こしやすいアンプです。
PM-80aもPM-80AFもどちらも正しい表記であり、同じ製品です。
マランツ PM-80a
初号機PM-80はアンプ798戦争末期の1989年に6.5万という戦略価格をぶつけて、そのスペックも見事なことから大ヒットを飛ばし市場を奪うことに成功したアンプです。
その後継機のPM-80aは、更にチューニングを施しスペックと価格を上げて満を持しての発売だったわけです。
デジタルソースを意識した仕様でありながら、アナログ部も電源を強化してノイズ特性を上げ、更にプリアンプ部・トーンコントロールアンプ部・メインアンプ部の各アンプ部を完全に独立させた分離回路構成をとっています。
更には、PM-80同様にA級/AB級と切り替えられるようになっており、音量に合わせた音質を得られるようにしています。
これによってジャンルを選ばず、万人に受け入れられ大ヒットしたのです。
価格からは考えられない贅沢な部品と作りになっており、90年代アンプの中では極めてコストパフォーマンスが高い秀作です。
デザイン的にもシャンパンゴールドで二枚構成のフロントパネルの採用など高級感に溢れます。
ただ、分解掃除の際にはこの二枚構成の仕組みが複雑でどう外せばよいのか迷った記憶があります。
音質的にはマランツ伝統のナチュラルサウンドで、押しも強くなければ張り出しも強くない、かといって引っ込んだ薄っぺらい音質ではなく各音域に余裕を感じる音色です。
癖が無いのがマランツの最大の特徴で、ジャンルを問わずオールマイティに使えるアンプです。
クラシックにはA級でジャズやロックにはAB級でという使い方ができ、どんなジャンルの音楽でも聴くという音楽ファンに受けたのでしょう。
大ヒット&ロングセラーのアンプって意外や音色に特徴が無いものなのです。
私個人的には聴き込むタイプのシャープに押し出してくるような音質が好きなので、こういった優等生の音質のアンプはメインで使うことはないのですが、他のアンプのリファレンスという意味では標準的な音質で極めてバランスの取れた貴重なアンプです。
時々思い出したかのように、ストックラックから引っ張り出しては音を聴きたくなる事がある愛着の強いアンプでもあります。