デジタル音源黎明期の90年代に誕生した外付けDACの音質を再確認してみました、そのDACはデノンDA-500(1995年発売、定価7万円)です。
外付けDACの出始めの頃はこんなにも大きかったのですね、ほぼフルサイズコンポ程の大きさをしています。
それも含めてコレクション価値としては充分です。
デノン DA-500

当時のデノンの高級CDプレーヤーに搭載されていたデノン独自の波形生成方式であるALPHAプロセッサーを独立させた高性能DACで、今では極めて貴重なDACといえます。
このALPHAプロセッサーはその後に、デノンのハイエンドDVDプレーヤーやユニバーサルプレーヤーにも搭載されていきました。
現在、ALPHAプロセッサー搭載のDACの音を求めて当時30万円前後したデノンのハイエンドユニバーサルプレーヤーがマニアに買われていきます。
このDA-500は外付けの単独機能ですから、どのような機種であってもデジタル音声出力が付いていれば当時のデノンの音色を愉しむことが可能です。
更には光デジタルが3系統、デジタルコアキシャルが2系統の全5系統のデジタル入力切替とデジタルパス出力がありますので、デジタルセレクターとしても使うことができます。
音質確認には、同じデノンの最新CDプレーヤーDCD-755REをリファレンスにしました、DCD-755REは素直な音質で定評あるハイコストパフォーマンスなCDプレーヤーです。
DCD-755REダイレクトとDA-500経由を切り替えながら確認します。
DA-500を通すと下も上もグンと広がる感じが解ります、音が太くなるというのでしょうか、明らかに音色の違いが聞き分けられます。
また、音の立ち上がりが早いというか切れがすごいです、一つ一つの音が綺麗に分離され素晴らしいです。
圧巻はサックスのリードから漏れる空気音が綺麗に再現されることです、最初はノイズかと思ったほど小さな音まで逃さず変換しているのにはびっくりします。
これは今もなお使いたくなるDACです、音色の味変には丁度いいかもしれません。
真空管アンプとの相性も良さそうな音色です、本当にナチュラルで音の透明感が在ります。
小型ブックシェルフと言うよりも小型トールボーイのようなスタイルのビクターSX-LC3(2001年発売、定価8万円)です。
ビクター SX-LC3

上下にウーハーを2つ付けて真ん中にツイーターを置く仕様で、全ての音源が真ん中のツイーターから聞こえてくるというこの方式は疑似コアキシャル(同軸2ウェイ)と言い、2000年頃パイオニアをはじめ多くのメーカーがこぞって採用した方式です。
特にAV用のスピーカーでは当たり前のように多くの製品が誕生しました、またこのスタイルは横にすればセンタースピーカーとしても機能します。
さて、このSX-LC3はそれだけではなく、ウーハーに極めてレアな方式を用いたユニットを採用しています。
それはオブリコーン方式というもので、駆動軸が中心からずらしたところに在ります。
つまりユニット中心から見ると半径が上下で違うのです、SX-LC3の場合は上部のユニットが上部が長く、下部のユニットは下部が長くなっています、写真でもよく見るとそれが解っていただけると思います。
このオブりコーン方式は一定の共鳴周波数を排除する事で歪を無くして周波数帯域がフラットになるという特徴を持っています。
SX-LC3は、14.5Cmのオブリコーンユニットのウーハーを2つ使っています。
周波数は80KHzまで伸ばしておりブルーレイなどのハイレゾソースも綺麗に再生します、AV用途では狭い部屋でのフロントでも中規模程度の部屋でのサラウンド用やセンター用などいろいろな用途に向くスピーカーと言えます。
音質はアルミコーンを使っているせいか極めて硬質でシャープです、ジャズには持って来いの音色です。
特にサックスとボーカルの音色はピカイチです、小音量でも前に押し出してくる感じは小型ブックシェルフとは思えないほど豪快です。
大きさから考えるとちょっと高価に感じますが、アルミのオブリコーン2発使いなどを考えるとむしろコストパフォーマンスは高いと言え、小型の中では鳴りっぷりは高評価できます。
音質テスト後、小型ブックシェルフのリファレンスの座をダイヤトーンDS-200ZAやオンキョーD-202AXなどから奪っただけのことはあります。
音質を自在に操るスゴ技マシンが昔から在ります、それはグラフィックイコライザー(略称:グライコ)という、マルチトーンコントローラーです。
70年代後半から85年ごろまではホームオーディオで大人気製品の一つだったグラフィックイコライザーの中でも、グレードが高く高級仕様で大ヒットしたのがビクターSEA-70(1980年発売、6万円)です。
オープンテープデッキでFMやレコードを好みの音質に変えて録音しては2年程大いに愉しんだものでした。
90年代に入ると、ライブハウスやスタジオで使用されるプロフェッショナル仕様のグラフィックイコライザーが多発しました。
今現在は、ホームオーディオカテゴリでは製品化されているものがなく、現存するのは全てがプロユースの製品ばかりです。
その意味ではピュアオーディオ用の本機はいまだに使用しているマニアもいるくらいです。
ビクター SEA-70

ミドルクラスのプリメインアンプが7万円という時代にマルチ周波数とはいえトーンコントロールだけで6万円、でもこれが当時は大いに役に立ったのです。
グラフィックイコライザーとは、本機の場合では12段階に左右別々に周波数を分別してトーンコントロールが可能で、特にレコードやFMチューナーからカセットテープやオープンテープに録音する際に劣化しやすい高音域などの補正に効果を発揮し、録音で音質が落ちるのを見事に補正してくれるトーンコントロールアンプです。
80年代後半になると録音性能やMDなどの高音質デジタルメディアの誕生で徐々に使われることが無くなったのですが、再生音質の向上用にいまだにニーズが高く中古でも発売当時の定価以上するものも少なくありません。
こういった製品は上手く使うと、どんなスピーカーでも詳細に音質向上が図れ、小型スピーカーが中型スピーカーに、中型スピーカーが大型スピーカーに化けてしまうのです。
ちなみに実験ではサラウンド用の70Hzまでしか下が伸びていない小型スピーカーが無理している感はあるものの40Hzくらいまでは下に伸びてきます。
またセンタースピーカーの中音域を上げてやるとリアルなボイスが飛び出してきます、使い方次第でいろいろと愉しめます。
更には、アンプやスピーカーの欠点や癖までも見事に補正してしまいます。
また、部屋による左右の反射の違いの補正なども行え、現在でも意外に各所で使えるのです。
現在、グラフィックイコライザーはプロ用しか出ておらず、ホームオーディオ用は皆無ですが、また再び脚光を浴びる日が来るかもしれません。
何といってもレコードやカセットデッキが復活して、当時の製品が大人気なのですから。
一般家庭には勿論のこと、オーディオ道楽を愉しんでいる人でもそうそう持ってない製品の代表格がスピーカーセレクターという製品だと思います。
そもそも、「スピーカーセレクターって何?」という感じだと思いますが、要は複数のスピーカーを1台のアンプに繋ぎ、スピーカーを切り替えては音色の違いを愉しむという機械です。
一番使われるのがオーディオショップでしょう、各社のスピーカーを試聴してもらうときに便利に使えます。
また、1台のスピーカーに複数のアンプを繋いでアンプの音質を検証する場合にも使えます、つまりスピーカーラインが出ている製品であれば接続して切り替えることができます。
そんなスピーカーセレクターの中で、最も定評があるのがこのラックスマンAS-5Ⅲ(現行商品、定価1.3万円)です。
初代からマニアに支持され続けて本機で3世代目となりますが、その安定感と評価は絶大です。
更に特筆すべきは中古価格です、どの世代も完動ものであれば定価のほぼ80%の価格で安定しています。
アクセサリー類でこの高値で安定した中古価格を維持しているものを他に知りません、極めて稀な存在です。
ラックスマン AS-5Ⅲ

何の変哲もない4系統のスピーカーセレクターですが、切り替えスイッチの感触も上質だし、切り替え時のノイズもありません。
秋葉原やネットショップなどではかなり安価なスピーカーセレクターが売ってはいますが、アンプやスピーカーを大切にしたいのなら最低でも本機のような安心して使えるものを選んでほしいと思います。
AS-5Ⅲは、1系統の出力にはスピーカーの他にヘッドフォンを繋いでソース音源のナチュラルな音色をモニタリング出来る設計になっています。
勿論、インピーダンスも調整されているのでダイレクトにヘッドフォンを繋ぎこめます。
何台ものスピーカーの音質試験には必須なセレクターですが、常用システムで気分に合わせてスピーカーを切り替える目的で使っても便利な1台です。
アンプの帝王ラックスマンのアクセサリー製品、オーディオ道楽を始めたら是非とも手元に置きたい逸品です。
デジタル対応製品が雨後のタケノコのように誕生してきた時代に、興味本位で買ってしまったDAC付きヘッドフォンアンプのオーディオテクニカAT-HA25D(2006年発売、定価2.5万円)です。
当時はSACDやPCデジタル音源云々言われていた時代で、それを先取りするデジタル製品が世に溢れていました。
192KHz/24bitDAC付きのヘッドフォンアンプとなれば買ってみない手はありません。
しかもDACでは先駆者であるESIのDr.DACと同程度のスペックで、価格は半額以下とハイコストパフォーマンスで相当売れた製品です。
オーディオテクニカ AT-HA25D

上面パネルはスケルトンになっており、DACチップを思いっきりアピール

ティアックの高性能DACと音質比較中

音出しでまず気になる点がボーカルの無声音です、くっきり出過ぎていて音情報を正確に出しているのでしょうけれど若干耳障りに感じるときがあります、特に「サ・シ・ス・セ・ソ」の発音が強く感じます。
その点、同じソースでもティアックのUD-H01は流石バーブラウン社の高級DACチップを使っているせいか、上手く音情報を処理して品があるだけではなく周波数レンジの広さを感じる高音域の響きが凄いです。
デジタル音源をヘッドフォンで手軽に聴くには良いかもしれませんが、CDプレーヤーであればエントリークラスでも内蔵DACをそのまま素直に使った方が手軽で良いかもしれません。
つまり、外付けDACとして使おうと思って購入するのであればあまりお薦めはできません。
基本的にティアックのUD-H01はヘッドフォンアンプがおまけに付いた高音質DACであり、本機オーディオテクニカAT-HA25DはあくまでもDACが付いたデジタル音声出力用のヘッドフォンアンプだということです。
ヘッドフォンで聴く習慣のない私には、買ってはみたものの無用の長物だったのかもしれません。
ただ、ソースの音質確認や夜間の試聴などでヘッドフォンを使う人には手軽にデジタル音源を愉しめる一台だと思います。
音色的にはイマイチ私好みではありませんが、人によってはこういったはっきりしたクリアな音色が好きな人が多いのでユーザー評価も高く大ヒットしたのでしょう。