デジタル全盛期に誕生したアナログプレーヤー(レコードプレーヤー)、ソニーのPS-LX350H(1999年発売、定価3.5万円)です。
真空管アンプなどと共にアナログプレーヤーも実家に保管中で、取り急ぎのデジタル時代に誕生したアナログプレーヤーを検証する目的での購入でした。
デジタル時代の最新のアンプで、デジタル時代に誕生したアナログプレーヤーでレコードを再生したらどんな音なのでしょう。
ソニー PS-LX350H
オンキョーのデジタルアンプA-5VLに接続して音質チェック
アナログプレーヤーでまさかデジタルアンプに繋いてレコードを聴く日が来るなんて、誰が想像できたでしょう
80年代に入るや世はレコードからCDに一瞬にして切り替わります、そしてレコードプレーヤーも徐々に姿を消して行きます。
ところが1990年代の後半に、突然のように中古レコード市場が活性化しカセットテープやオープンテープまで復活してきました。
流石にオープンテープデッキまでは再生産されませんでしたが、レコードプレーヤーやカセットデッキは各社から再び発売されてきました。
本機はそんな時代に誕生した、手持ちのレコードを手軽に愉しめるエントリークラスのレコードプレーヤーです。
MM型のカートリッジ付で交換針まで2本付いています。
ターンテーブルはベルト式、80年代前半でも既にダイレクトにターンテーブルを駆動するブラシレスサーボモーター式が全盛期だったのでベルト式とはちょっと驚きますが、最近のエントリークラスのレコードプレーヤーは安価に出来るベルト式が主流のようです。
アームの作りなども安っぽく、取りあえず音を出すのが目的という感じです、80年代のずっしりとした機械的な重厚さをまるで感じません、ターンテーブルは勿論のこと総重量も驚くほど軽いです。
さて、付属のMM型カートリッジの音質ですが可も無く不可も無いという音です、というかCDの音に耳が慣れてしまっているのか薄い音に感じてしまいます。
ちなみに、リファレンスに高音質デジタルアンプのオンキョーA-5VLをあえて使ってみました。
私の中でのリファレンスになっている針圧1.5gでの音はナローレンジそのもの、おそらく50Hz~12KHz程度しか出てないでしょう。
針圧を2gに上げたら低音も増し、中高音域も少し張り出すようになりました。
針圧1.5gでこの音ということは付属のMM型カートリッジはおまけに付いているような代物だと思います、同じ楽曲のCDとレコードで比べてみると一聴瞭然です。
カートリッジは交換可能なので単体販売している高級なものに変えれば音質は劇的に変わると思います、ちょっと時間が有る時に確認してみましょう。
尚、本来は禁じ手のスピーカーと同じ台に乗せて試聴しましたが、スピーカーが箱鳴りを起こすような代物ではないのかPS-LX350Hのインシュレーター(底面に付いている振動防止処理が施された脚)がよく効いているのか、ボリュームを上げても振動を拾うようなことはありませんでした。
レコードをたくさん抱え、聴く為のレコードプレーヤーが故障していて使えない人には取り急ぎのレコードプレーヤーとしてはこういったお手軽なものでも良いかもしれません、ただ付属のカートリッジのままでの音は期待しない方がよいでしょう。
しかし、本当に技術の進歩は早いし凄いです、70年代に今のアンプが存在していたら現代ではエントリークラスでも当時なら名機ですね、本当に近年のエントリークラスのアンプは綺麗な音で再生するのでびっくりします。
約30年ぶりのアナログプレーヤーの操作でしたが、改めてレコードをかけてみるとやっぱり面倒ですね、レコードの扱いもそうですが片面20分のために袋から出してセットして針を落としてと聴くまでの準備が大変です。
アームのゼロバランスの取り方から針圧調整という面倒な初期設定、CDが当たり前な時代に生まれた今の人に正しく調整ができるのかと心配になってしまいました。
この久しぶりの面倒で煩わしい感触、でもジャズを聴くぞっていう感じがすごく新鮮でいいです!
そして、曲間に入る「ピチッ、ピチッ」というスクラッチノイズ、なんだか心は70年代に引き戻されてしまいます、あくまでも嫌みなノイズなのに爽やかな気持ちになってしまう状況を理解できるでしょうか?
この久しぶりの感覚を再び味わう時がまさか来るとは、私の人生ってやはりオーディオと共に歩んでいるのです。