小型ブックシェルフはやっぱりオンキョーということで、コストパフォーマンスが高いという噂のD-N9NX(2011年発売、オープンプライス)を購入してみました。
家電量販店での発売終了時の実売価格は3万円弱ですから、発売年度を勘案しておそらく発売当時の実売価格は4万円前後だと推測します。
尚、2016年に後継機と思われるD-NFR9TXが発売されていましたが2018年末でも新品が手に入りました、コストを下げる為にかなり量産したのでしょう。
オンキョー D-N9NX

ウーハーはアラミド繊維を4層ラミネートしたN-OMFコーンを使っており、13Cm口径で中心にアルミダイキャストの削り出しによるイコライザーを配して歪みを打ち消すように改良しています。
このイコライザーは振動板ではなくマグネットの中央先端に取り付けられているので、当然ですが鳴らしている時に触っても振動しません。
この時代のオンキョーの主流スピーカーの多くは特殊繊維で作ったA-OMFコーンを使っています、このコーンの差が価格に現れていると思います。
このD-N9NXとほぼ同じスペックで、コーンをA-OMFコーンに代えたD-102EXという小型ブックシェルフの名品があります。
どちらもツイーターには新開発のリングツイーターを使用し、何と100Khzまで高音域を伸ばしています。
単体での音質は高音域がかなりシャープに張り出してきて、ソースによってはトレブルを少し絞らないとバランスが悪いと感じるほど強烈に高音域が驚きます。
それでいて中低音域もそこそこ出ており、この価格でこの音色は隠れたエントリークラスの名品中の名品だと思います。
これを現在新規に製造したら、おそらく定価は5万円以上にはなるでしょう。
綺麗に響く高音域を得たいのであればこういったスピーカーを求めて、低音域はサブウーハーに任せるという割り切りでシステムを構築すれば、音質バランス的には中途半端な大型スピーカーを購入するよりも納得できる音質が得られるでしょう。
アンプを選べばかなり鳴らせるスピーカーです、サブシステムとしてしばらく鳴らし込んでみたい気がします。
エンクロージャーの仕上げも丁寧で素晴らしいです。
改めて聴き込んでみましたが、ジャンルを選ばず意外に綺麗に鳴ってくれるのには驚きました。
なかなかの優れものです、音色的にはエントリークラスの域を越えていると言っても過言ではないでしょう。
ちなみにリファレンスとして90年代後半に出た名機D-202AXと比較してみましたが、中高音域はD-N9NXの方が綺麗に出ていたには驚きます。
価格はD-202AXの半分以下でこの音なら文句無しです。

私は酔って記憶を無くすなどで何かと失敗談は多いのですが、オーディオ道楽での失敗は本当にシャレになりません。
酔った時は静かに音楽を楽しむ程度にしておくべきで、決して機種を入れ替えるとか配線を変えるなどを行わない方が良いでしょう。
ただ、酒好きなオーディオマニアは案外多くて、酔うといじりたくなるので困ったものです。
アンプやスピーカーはミドルクラス以上になると20Kg以上はあるので、素面(シラフ)のときでもラックから出して配線を変えるのは至難の業です。
まるで鉄の塊のようなものをラックから引きづり出しては膝で抱えながら配線を変えるのですが、酔っているとバランス感覚がおかしくなっているのか、アンプを抱えたまま後ろに倒れてしまったりするのです。
そこで配線に繋がれた他の機種が引っ張られてラックから落ちたりすれば、打ちどころが悪いと大怪我をしてしまいます。
更には、引っ張られた機器のコネクタ部分を破損させたり、ケーブルのピンが折れたり、これまでに何度繰り返したことか。
アンプにはAUXという外部入力端子が沢山付いています、これはコネクタを破損させた際の予備なのだとこういう時に解るのですね。(AUX入力は、本来は汎用ライン入力用です)
私は、30代の頃に足の甲にCDプレーヤーを落として、しかも運悪く角が刺さり骨にヒビが入って約2週間も靴が履けないほどの怪我を負った事があります。
5~6Kg程度のCDプレーヤーだったから良かったものの、もしも80年代のビンテージアンプだったら20Kg以上です、ヒビでは当然済まされなかったかもしれません。
ついでに言うと、落としたCDプレーヤーはモーターの回転軸がずれたのか、それともヘッドがずれたのか、それ以来読み取りエラーで使い物にならなくなってしまいました。
また、音が気になって音の調整をするのですが、酔うと耳が遠くなるのかつい大音量にしてしまい大切なスピーカーを飛ばした(コイルを焼き切ってしまう)事もあります。
更に、CDプレーヤーのトレイにCDを半分入れたところでついトレイを押してしまい、半分入った状態でトレイが引っ込み、CDを噛んでトレイにヒビを入れたこともあります。
当然、そのCDにも傷が付いて音飛びを起こすようになります。
私の失敗の90%以上が酔った時です、酒を飲んだらオーディオ機器をいじらない、これに限ります。
イマイマのオーディオ製品の音質確認するためにエントリークラスの小型ブックシェルフスピーカーを数種を入念にスペックと価格を調べて購入し音質を確認しました。
今回は、ヤマハのNS-BP182(2013年発売、定価1.8万円)を視聴しました。
尚、2013年発売ですが長期間製造されていたようで、2018年末でも新品を購入できました。
ヤマハ NS-BP182

ヤマハNS-BP182はエントリークラスながら、ピアノ塗装を施した高級感溢れる外観で、音はソフトですが低域から高域まで信じられないほど綺麗に伸びています。
特にポップスのボーカルは凄く聴きやすい音色でリラックスして長時間聴いていても疲れません、音を絞っても音質に大きな変化がないのでワーキングBGMという使い方が最適です。
注意すべきは、バックサイドにバスレフダクトが付いているので設置方法に注意を要します。
後ろの壁から5Cm程度隙間を空けると低音域が豊かに響きます、離しすぎると低音域が弱くなります。
また、できるだけスピーカー回りには空間を設けたほうが鳴りは良いです。
トータルでの音質はマイルド系の刺激が無い音色で、ジャズやロックファンには物足りないと感じるかもしれませんがアンプを元気な音のアンプに変えると豹変します。
小型でこの価格ながらかなりの実力を持っています、小型ブックシェルフではハイコストパフォーマンスな1台でしょう。
ニアリスニングで静かに聴くようなシステムには最適な1台だと思います。
最後に一言、1週間ほど鳴らし込んでいると急に音が出るように変わってきました、エージングが必要なスピーカーだと思えば買ってすぐの鳴りの悪さにガッカリすることもないでしょう。

オーディオ道楽の一つの楽しみは、アンプやスピーカーの個性的な音を堪能することにあります。
外見からは伺えない音の個性は、人となりではありませんが本当に裏切られるものです。
ブラックフェースの精悍な面持ちのアンプが実にソフトで大人しい音を奏でることもあるし、その逆で品が良く落ち着きのある面持ちのアンプがド迫力の音を奏でることもあります。
スピーカーもまた同様で、大型のフロア型のスピーカーがマイルドな音で鳴ることもあれば、小型ブックシェルフ型の小さなスピーカーが思いもしないほどの低音を出してくれることもあります。
それぞれが良い意味での期待が裏切られて、本当にオーディオの世界って深くて面白いのです。
さて、そんな個性的な音を確認する際に重要になるのが同じソースを使うという事です。
それぞれ異なるソースで確認しても、そのソース自体の音が異なるので正確な試験はできません。
そういう確認に使う参考品を「リファレンス」と呼んでおり、CDなどのソースの場合はリファレンスソースと言います。
私のリファレンスソースは10枚ほどで、半分はアコースティックなジャズなのですが半分はポップスです。
ポップスは主にボーカルと電子楽器(マニアは「打ち込み系」と呼ぶ)の音を確認します。
また、ピアノソロやフルートなども音のチェックには欠かせないので、そういう意味ではクラシックのCDもリファレンスに加えることもあります。
また、リファレンスソースは時代によって録音性能に大きな変化が有りますので、同じジャンルでも年代を分けることが重要です。
同じピアノトリオのジャズでも、モダンジャス全盛期の50年代と2000年以降のフュージョンでは別ジャンルかと思うほどに音楽性も音質も大きく異なります。
そして、何れにしてもリファレンスソースは常に聴きこんで音を記憶しておくことです。
自分の頭の中に標準となる音を叩き込んでおくのです、これができてないと正しく評価することはできません。
リファレンスがしっかり記憶されていると、ここでこういった音が出るはずなのに出ていないとか、聴こえなかった音がするなど、微妙な表現力の違いを聴き分けられるようになります。
イマイマのオーディオ製品の音質確認するためにエントリークラスの小型ブックシェルフスピーカーを数種を入念にスペックと価格を調べて購入し音質を確認しました。
今回は、デノンSC-M41CWEM(2017年発売、ペアで2.1万円)を視聴します。
このスピーカーは、同社のCDレシーバーRCD-M41SP(2017年発売、4.3万円)向けに作られたスピーカーで、小型ながらも低音域から高音域までしっかり鳴らし込むバランス重視のスピーカーです。
音圧が低いのですが、10W以上のアンプであれば何らの不足感も無くガンガン鳴らし込めるでしょう。
デノンSC-M41CWEM

音質はナチュラルそのもので癖がありません、ジャズもクラシックもOK、そして長時間聴いていても疲れないハイコストパフォーマンスなスピーカーです。
逆に言えば癖の無さが物足りないと思う人もいるでしょう、私も一癖有るような鳴りっぷりの良いスピーカーが好きです。
ただ、こういった癖の強いスピーカーは聴き込むには気持ち良いのですが、気楽に聞き流せませんのでリラックスはできないでしょう。
ワーキングBGMとして小音量で音楽を長時間愉しみたい人には、こういったナチュラル系で癖の無い音色のスピーカーが最適です。
小音量で聴くには流石に低音域が弱いので、ラウドネスで調整するかサブウーハーを繋ぐと迫力あるサウンドに変わるのでジャズやクラシックを小音量でも愉しめます。
サイズはかなり小型なのですが、PCデスクトップではちょっと大きいなと感じてしまいます、やはり寝室などでのベッド脇に置くサブシステム用途が好ましいのかもしれません。
尚、本来の相手であるRCD-M41SPとの相性は抜群で、特にFMをワーキングBGMとして流し聴きするには最適であり、強く主張しない音色は本当に長時間聴いていてもまったく疲れません。
オーディオ道楽を長くやっていると、最初の頃求めていた個性的な音色からこういう音色も在りだと思うようになるのです。