人気のウッドコーンスピーカーの実力の程は?~JVC SP-EXS1
2024年9月 2日 08:00
オーディオ道楽復活後、各種情報から気になってしかたなかったJVC(ビクター)の小型ウッドコーンスピーカーですが、8Cmの小口径ユニットのフルレンジを使った超小型スピーカーでありながら恐ろしく愉音を奏でるのです。
毎日通る駅地下にある楽器店の店頭で、信じられないほどの小さなスピーカーから愉音が流れていてつい足が止まってしまいます。
いろいろ調べてみるとJVCではスピーカーと呼ばずに「楽器」と呼んでいるのです。(だから楽器店でも扱っている?)
スピーカーのコーン(振動板)に硬質な生木材を薄くスライスしたものを、中央の突起の部分には生木材を薄く削り出した素材をつかっており、強力なマグネットでドライブする代物です。
オーディオ道楽封印中にこんな贅沢なスピーカーが誕生していたのです。
そこで手に入れたくて調べると単品物で数種類出ていますが、安価なものでもペア7万円もしています、どうしたものかと考えていたらネットでCA-EXS1という旧型のミニCDレシーバーコンポを発見しました。
オープン価格で定価は解りませんが、2010年に発売されたものでしたが在庫が残っていて6万円前後で購入できました。
ということで、USBデジタル対応のミニCDレシーバーコンポCA-EXS1(2010年発売、オープン価格)を手に入れました。
JVC(ビクター) CA-EXS1のCDレシーバー部
ipod/iphoneドックが上部に搭載されている
セットのミニコンポはまず買わない私ですが、ウッドコーンのスピーカーが欲しいからであってCDレシーバーはおまけ程度に考えています。
でも、このCDレシーバーは超軽量なのですがなかなか見事な音を奏でるのです。
定格出力40Wなのに消費電力が24Wなのです、これは確実にアンプ部はデジタルICを使ったD級アンプでしょう。
USBに対応しておりipod/iphoneドックも上部に付いています、ただ初期発売年が2010年ですので最新のipod/iphoneではコネクタ形状が合いません、新型を使う場合には変換コネクタが必要になります。
更にFMチューナー付きですからいろいろなシーンで使えます。
大型ブックシェルフのオンキョーD-77MRXは勿論、小型ブックシェルフのダイヤトーンDS-200ZXでも軽やかに鳴らし、シャープさはそこそこですが低音域が下までグンと伸びてトータルバランスはなかなかのものです。
8Cm口径のスピーカーをドライブするアンプです、それなりの音質調整がされており、こういった音質は大型のフロア型スピーカーに合わせたら確実に愉音を発するものとすぐ解ります。
イマイマのデジタルアンプは本当に馬鹿にできません、1万円以下のものでもかなりの音質なのですから。
さて、CDレシーバーの実力は解り、ようやく本来のセットスピーカーのウッドコーンを繋いで試聴してみます。
JVC(ビクター) CA-EXS1+SP-EXS1コンビ
かなり小さなコンポです
CA-EXS1の下にちょっと映っているのはサンスイAU-α607XR
これほど小さなスピーカーながら、つい先ほどまで鳴らしていたDS-200ZXと大きな遜色ない音がするのです、流石にこれには驚きました。
低音の押し出し感や中高音域のシャープさは当然のこと劣るものの、トータルでの音質バランスがもの凄く良いです、どんなジャンルもかなり気持良く聴かせてくれます。
そこで、次は本題のウッドスピーカーのみの試聴です。
このスピーカーはSP-EXS1という型式名が付いており、単体では買えないようですが中古では2万円前後で単体ものが中古市場にときどき出るようです。
CA-EXS1のスピーカー部のSP-EXS1
エンクロージャーの上下にカーブを付けたデザインはGood!
下にちょっと映っているのはダイヤトーンDS-200ZX
メーカー希望価格から勘案しておそらく3~4万円だと思うのですが、デノンの8Cm口径フルレンジ使用の小さなイネーブルドスピーカーがペアで3万円、それを考えたら人気のウッドコーンですからかなり安いかもしれません。
ちょうど音出し試験中のサンスイAU-α607XRが出ていたので繋いでみました、音出しの瞬間、正直一発で惚れこんでしまいました。
何この低音、あくまでも8Cm口径のフルレンジです、信じられないほどの低音域です。
後ろのカーテンが、音楽と共にバックバスレフダクトからでる空圧によって揺れるのがはっきりと解ります。
他のアンプと合わせても充分に使える小型スピーカーです、これ絶対に単体でも販売すべきです。
いつも通る楽器店の店頭で鳴っている音は、最初はラウドネスやトーンコントロールで作り込んでいると思っていましたが、試聴してみて小細工無しだとすぐ解りました。
確かにDS-200ZXのような硬く締まった低音域ではないのですが、量感的にはむしろ勝っているのではないかと思うくらいにぐんぐん押し出してきます。
ロンカーターのベースが気持良い音色で響きます、特殊なバスレフ構造の設計が素晴らしい成果を上げています。
加えて中高音域も聴きやすい音色です、これが本来のフルレンジ一発使いの良さです。
ただ、金属質な音色で響いてほしいハット系ドラムや高域のピアノの音色はイマイチです。
流石に素材が生木ですから、メタルコーンのツイーターのようなカキーンと響く金属質な高音域は望むことはできないのかもしれません。
また、男性ボーカルはちょっと籠った感じがでますが女性ボーカルでは艶っぽい響きが凄く良いです。
欲を言うと、8Cmという小口径ならもう少し中高音域が張り出してシャープさがほしいと思うばかり。
ユニット自体の作りもエンクロージャーのバスレフの設計も、低音域再生をかなり意識しているのがこういうところから解ります。
また、かなりの音量で鳴らしてもエンクロージャーは一切の箱鳴りを起こしません、これは立派としか言えません。
小型でホームシアターのサラウンド用にも使えるかと思ったのですが、低音域の良さを殺したくないのでサラウンド用には良い意味で使えない音色です。
低音域に助けられてトータルでの音色は、長時間聴いていても本当に疲れずにいろいろなジャンルを聴いてみたくなってしまいます。
これ決まりです、ベッドルームで休日のフォープレイなどモーニング・スムースジャズ用に是非使いたいスピーカーです。