
オーディオ製品の中で、最も外気の影響を受けるのはスピーカーです。
スピーカーユニットのコーンは、多くが紙・布・ゴムなどの天然素材が使われています。
これらは熱や紫外線、また湿度に極めて弱い性質を持っています。
例えば、夏場に直射日光にさらされると1シーズンでユニットのエッジがボロボロになります。
また、湿気によってカビが生えると同様に1シーズンでボロボロになります。
故障とまではいかないまでも、直射日光でエンクロージャ(箱=ボックス)やサランネットが日焼けして見栄えが悪くなります。
また、レコードプレーヤやCDプレーヤーなどの可動部のあるものも熱には極めて弱いです。
可動部には、精密部品やピックアップなど熱に弱い素材が使われています。
オーディオ製品にはなるべく直射日光に当てない事、湿気と乾燥には注意する事が長く楽しむ秘訣です。
また、スピーカーにはサランネットを必ず付けることをお奨めします。
例え直射日光が当たっても、かなり緩和する効果とユニット自体を埃などから守る効果があります。
更に、指でユニットをつい触ってしまいシミや凹みから守る効果もあります。
サランネットを外すのは、メンテナンスなどでのユニットの状態の確認兼ユニットの掃除の時だけにしましょう。
デノンのベストセラーを誇るエントリークラスのCDプレーヤー、DCD-755の最新後継機であるDCD-755RE(2012年発売、定価5.2万円)です。
2019年の購入時も製造販売されており、超が付くほどのロングセラーなハイコストパフォーマンスCDプレーヤーです。
ちなみに私の所有しているDCD-755には「2019年製」とバックパネルにシールが貼ってあります、寿命が短いデジタル製品でありながら7年以上もマイナーチューニングを行いながら製造を続けるとは脱帽です。
ちなみに中古価格も一向に落ちず未だに旧タイプまでも定価の50%前後で売られているのですから、その人気ぶりが解ります。
デノン DCD-755RE
出番待ちで待機中

70年代や80年代、また最新のアンプに繋いで音を確認してみたのですが、やはり最新のアンプの方がデノンらしい大人の音色に落ち着きます。
シャープさとか張り出し感とかそういう良い意味での癖はなく、どっしりとした安心感のある音色です。
打ち込み系のフュージョンなども嫌味な刺激が無く聴きやすいです、逆に元気で明るい音でジャズやロックをガンガン鳴らし込んで聴きたい人には物足りないかもしれません。
深夜にビルエバンスのピアノトリオなどをしっとりと聴き込むときなどは最高の音色を提供してくれるでしょう。
デノンのハイエンドプレーヤーを聴いてしまうとメリハリや粒立ちが欲しい気がしますが、価格を考えたら頑張っていると思います。
エントリークラスとしては立派、価格を考えたら不満は出ないでしょう。

スピーカーケーブルを切って使うのが面倒くさい、もしくはもったいないということで長いまま丸めて使っている人がいます。
でも、これが音を悪くする原因になります。
導線を丸めるとコイルになります。
コイルは高周波ほど交流抵抗が高くなる特性を持っています。
つまり、巻き方によっては巻き数が増して高音域が小さくなって音が悪くなります。
また、長いとケーブルそのものがコンデンサの原理により、やはり高域や低域に影響する交流抵抗が生まれてしまいます。
ということで、スピーカーケーブルはできるだけ短く最適な長さに切って使うようにしましょう。
広い部屋で、5m以上と長く引く場合にはオーディオ専用のスピーカーケーブルを使う事をお薦めします。
スピーカー専用ケーブルは高価なのですが、長く伸ばしても交流抵抗が生まれづらい作りになっています。
ケーブル代をケチると、オーバーな話しミドルクラスのアンプがエントリークラスにハイエンドのアンプがミドルクラスの音質になってしまいます。
たった数千円をケチって10万円以上の音質損をする、これでは本末転倒ということでしょう。
※交流抵抗は、スペック上「インピーダンス」と示されています。
私が最近の小型スピーカーの音の個性を掴む目的で使っているリファレンススピーカーが、ヤマハのモニタースピーカーNS-10MT(1995年発売、ペアで8万)です。
ちなみにベースのNS-10Mは、マニアの間では「テンモニ」という愛称で呼ばれるほど知られた存在で、本機はその意味では「テンモニ・シアター」と区別する人もいます。
ヤマハ NS-10MT

ヤマハのNS-1000Mに始まり、100M、10Mと最後の品版にMが付くスピーカーは、70年代後半に発売されて以来放送局の録音スタジオで使われる音質チェック用のモニタースピーカーという位置付けになっています。
NS-1000Mシリーズはヨーロッパの各放送局のスタジオルームのモニターとして採用され、一躍世界中で大ヒットを飛ばしたモニタースピーカーシリーズです。
1000Mが大型3ウェイ、100Mが中型3ウェイ、10Mが小型2ウェイのブックシェルフです。
そして、このNS-10MTはNS-10Mをシアター向けの音質に改良し満を持しての発売で、ジャンルを問わず癖の無い音で高評価を得ています。
発売がオーディオ氷河期のど真ん中の95年ではなく10年後の2005年であれば、おそらくペアで確実に10万円以上でも安いと感じるでしょう。
MTの最後のTは「Theater」のTで、NS-10Mよりも奥行きをとって容積を増やし、更に2つのマグネットを逆極性で合わせて電流歪を軽減したという贅と技術を思う存分に投入した特製ユニットを採用しています。
また、10Mの密閉型からバスレフ型にしてクラシックだけではなくジャズやロックでも迫力ある低音を響かせるように工夫されています。
音質は小型スピーカーの音質確認のリファレンスで使っているくらいですから当然癖がなく、低音域から高音域までフラットに綺麗に伸びた理想的なナチュラル音色です。
各楽器の音色が詳細に気持ち良いくらいに分離されて、その意味ではリファレンススピーカーとしても最適なのです。
リファレンススピーカーとは、アンプやスピーカーの音質を測る際の参考音質として使うものですから個性があってはリファレンスにならないのです。
ただし、神経質すぎるほどの繊細な音質は気楽に音楽を愉しむという使い方にはやや難があるように思います。
どうしても神経がスピーカーにいってしまい、音の一つ一つが気になって仕方ないのです。
やはり、音質測定機という位置付けがぴったりくるスピーカーだと思います。
こういった癖の無いモニタリング用の小型スピーカーが、近年発売されていないのが寂しい限りです。

オーディオ製品は部屋の中に機械を飾るようなもので、装飾品との兼ね合いから違和感を与えてしまうことに繋がります。
そういったオーディオ製品の設置で、特に気をつけたいのがコード類です。
私は、出来るだけコード類が見えないように配線の設計を行います。
特にホームシアターですと多数のスピーカーを使いますので、どうしてもスピーカーケーブルが部屋の中を這うようになります。
高い位置に置く場合は、ケーブルをむき出しにするのではなく、モールなどで綺麗に配線するようにしてほしいと思います。
また、ホームシアターなどでシステムの反対側の壁にスピーカーを置く場合にも、若干遠回しになっても家具の後ろ側を回すなり表面に出ないようにしたいものです。
この気遣いは実はトラブルを未然に防ぐためにも重要なのです。
例えば、スピーカーケーブルが歩く場所に出ていた場合には踏んでケーブルを傷めてしまうし、躓いてスピーカーを棚などから落としてしまう事もあります。
とは言え、電源タップのコードやCDプレーヤーなどのラインケーブルとスピーカーケーブルを一緒に纏めてしまうとノイズの原因になりますし、他の電気製品の電源を入れた途端に「バチッ」というノイズを拾ってしまう事もあります。
電源コードとオーディオの各種ケーブルは平行に這わせないということを鉄則とすると安全です。
また、オーディオラックの裏側を見て下さい。
各種ケーブルがぐちゃぐちゃになっていませんか?
こういうだらしない配線は、空気の流れを悪くして埃を貯め込んでしまい、その埃にダニが発生してアレルギーの原因を作ってしまう可能性もあります。
細かなとろろにまで気を配ってこその道楽というものです。