2024年5月 6日 01:00
10年ぶりに事業家に復帰する以前に必然的に経営コンサルタントを生業の一つとして行っていた時期があります、この間に「コンサルタント」という立場に関して様々に思考し様々な思いがありました。
そもそもですが「コンサルタント」と単に呼ぶ場合は「経営コンサルタント」を指し企業の抱える様々な経営課題を解決し利益向上という結果を齎すことを保証する立場の人や組織を指しています、近年では拡大解釈されITコンサルタントや投資コンサルタント・起業コンサルタント・飲食店コンサルタントなど、「特定の分野や業務に特化した問題解決と利益向上などの支援を行う者」もコンサルタントと名乗るようになりました。
ただ経営以外の特定の分野であってもそれなりの利益向上という結果を齎しているのであれば私も大きな問題意識を抱くことはありません、しかし近年では様々な活動を行う人が「コンサルタント」を名乗るようになり、結果を保証するどころかお金をもらっても利益に結びつかない無責任なアドバイスだけを行う人も多数います。
当然のこと結果を出すわけでもなく酷い場合は損失や致命的な後遺症を与えておきながら表に出るや逃避する詐欺まがいの活動を行う人も見受けられます、そんな現状を鑑みて「コンサルタント」という世界に身を置き「コンサルタント」を名乗ること自体に苦痛を感じるようになってしまいました。
経営コンサルタントは勿論のこと、どんな特定の分野のコンサルタントであっても「コンサルタント」を名乗る以上は最低でもコンサルタントとしての誇りを持ち最終的な結果責任を果たして頂きたいと思います、まずは自身がその分野や業種に長けているかということ、経験や実績という根拠を持ち合わせているかということ、これは最低限の必須事項かと思います。
経営者として事務所を構えて社員を雇い資金調達を行い独自の事業を興して自身の手で利益活動を長期間行った事がなければ経営コンサルタントは絶対に務まりません、経営者や会社の抱える課題そのものが自身の事のように痛みを感じとり正確に理解することができないからです。
また「ものづくり」などの助成金申請を行うことでコンサルタントを名乗るのであれば少なくても自ら自社商品開発を経験していなければ本当の「ものづくり」を行う者の思考や課題を理解することができません、自社商品の企画から販売までの過程や苦労に加えて他社差別化を何処に見出しているのかなどの詳細なコンセプトを理解することは不可能です、結局誰もがすぐ考えられるような課題の指摘しかできません。
そういう不確かな思考が文章にきっちりと現れ助成金を採択する人を魅了することはできないでしょう、自身で「ものづくり」を経験している本物の助成金申請コンサルタントなら資料を見ただけでクライアントから何も聞かずとも採択される申請書類を書き上げる事ができるのです、しかもそれこそが申請代行するコンサルタントの命であるはずなのです。
手軽に身一つで株主の存在の有無どころか社員を雇用し独自事業を興した事がないのであればクライアントの方が経営者のスキルもレベルも上位でありコンサルタントそのものの存在価値はゼロとなります、つまりクライアントは自身よりも多くの経営や事業推進の経験をしてきて自身の抱える問題や悩みを的確に解消してくれる人と思えるから依頼するのであってそうでなければその人をコンサルタントとして採用する企業は皆無です。
経験が無い人を採用するとしたら経験値の浅い身一つの個人事業主レベルの人だけとなります、したがって収益も時間を割いた割に極めて限定的になります、何故自分がコンサルタントとして採用されないのかクライアントの立場で考えれば容易に理解できるはずですがコンサルタントを名乗る人の多くは自信過剰で経験の無さを認めようとしない人が多いのです、事実は小説より奇なり、しっかりと事実だけを受け入れていただきたいものです。
経営者は自身の生活より家賃や債務支払い、そして社員の給与を優先し無ければなんとしてでも資金調達するのが当たり前です、これを経験した事がないのであれば経営者の心の痛みも本当の経営の優先課題も理解することはできません、同じようにIT会社でIT導入によって会社の抱える課題を解決し利益向上に貢献した人でなければITコンサルタントは務まりません。
投資も起業も飲食店も同じことで自らそれらで多くの経験をしているという実績が重要なのです、そしてクライアントの事業をよく理解しなければなりません、事業の本質を見極めるためには何回も現場に行き商品を手に取り使ってみて確認していただきたいのです、自身でクライアントと同じことをやってみて初めて解決すべき課題が見えてきます、ましては他者事のようにその事業や商品に興味すら覚えないのであればいったい誰がそんな人をコンサルタントとして信頼するでしょうか?
事業を行う経営者は自分と同じ目線でその会社や事業を愛情を持って育ててくれる人だと確信するからコンサルタントに選ぶのです、ここを多くのコンサルタントは解っていません、なぜなら自分がコンサルタントを雇ったことがないからです、言わずもがな世の多くのコンサルタントが時間をかける割に食えていないという理由がここにあるのです、またこうして考えると本物のコンサルタントは極めて稀な存在であるはずなのです。
しかし近年では猫も杓子もコンサルタントと名乗れる時代です、それによってコンサルタントを懐疑的に捉える人も多数存在していることも事実です、こんな自身の首を絞めるような現状が続けばコンサルタントは確実に低収益の尊敬されない職業の代表格になっていくと思います。