2024年3月14日 01:00
コンビニエンスストアの新業態を模索していたローソンは「ローソンマート」の新規サービスを開始し「低価格路線」と「価格弾力性」でセブンイレブンに対抗するための秘策を打ち出したことがあります、ところが3年間で500店出店という大規模プロジェクトは1年もしないうちにプロジェクト自体が崩壊してしまったのです。
ローソンストア100に限界を感じた首脳陣がもっと価格に弾力性を付けたいとのことから100円の枠を取り払い、お客さまにより適正な価格で商品を届けたいという思いで「ローソンマート」は産まれたのですが狙いは大きく外れてしまいました。
私は発表当初から「これはうまくいかないだろうな」という予感がありましたが敗因はどこにあるのでしょうか、一番大きな問題点は「自分が何者であるか」をはき違えてしまったことではないでしょうか、コンビニエンスストアとスーパーは全く存在コンセプトが異なります、「価格の弾力性に限界を感じた」時点でここに気付くべきことだったと思うのです。
コンビニエンスストアとスーパーのビジネスモデルの違いは明白で、スーパーは大量買い付けによる低価格路線を顧客に打ち出す一方で店内の品数を増やし「ついで買い」を誘い顧客の販売単価をいかに上げるかを基本とするビジネスモデルです。
対してコンビニエンスストアは生活に必要最低限のものが「何時でも必ずここにある」という信頼感を前提にした定価販売による高付加価値高利益追求型のビジネスモデルなのです、両者はその仕入れルートも物流も利益の追求の仕方も異なり「存在価値」が全く違うのです。
コンビニエンスストアという業態の本分をはき違えてしまっては一時的に良くともいずれ大きな失敗をもたらすことになるよい例ではないでしょうか、他者と競合するなら自分の本分は何かを忘れるべきではありません、経営者が自分らしさを失ったとき何の意味も価値も生まない面白味の無い企業に成り下がってしまうのです。