2024年2月 2日 01:00
成長軌道に乗せ安定的に収益を上げている企業を調べてみると共通する事項の一つに「3つ以上の複数事業を平行して行っている」という事実があります、また成功している経営者の多くは「最低3つの事業を持て」と言います、この話をベンチャー起業家たちと話をすると「私はそんなに器用じゃないので無理」と言いますが、ここで言っているのは主力事業に関連する事業を指しています。
例えば今流行のネット販売で自社の扱っている商品が化粧品だとしたら同じようなルートと仕組みで平行して行える洗剤やサプリメントのECサイトを構築すれば、それだけで3つの事業となります、さて何故複数の事業を平行して行うのが良いのでしょうか、それは常に「安心感」を得るためなのです。
仮に収益事業が一つだとしましょう、そうするとその事業の収益が思ったように上がらないとそのことだけで頭が一杯になります、何とか軌道に乗せようとすればするほど身動きが取れなくなってしまいます、しかし他の事業も平行していたらどうでしょう?
「これが駄目ならもう一つの方をメインにしよう」と気楽に考えるようになります、実はビジネスにはこの「事業の成り行きを気楽に考える」ということが空回り状況を抜け出す重要なアイデアや手法を生むのです、「これで失敗したら一貫の終わり」という切羽詰った余裕の無さと必死さが逆に停滞感を生んでしまうのです。
同じ手法や人材でできることを一度じっくりと考えてみましょう、そして成長する企業には何故共通して複数の子会社そして更にそれぞれの下に複数の事業が存在しているのかを理解することが肝要です、そこには必ず大きな意味も理由も在るのです、事業は「分散と拡大」、商品やサービスは「選択と集中」、ここを勘違いすると大きなチャンスを逃すことになります。
そしてもう一つ社員とパートナーの得意な能力を再度把握し検討してみましょう、実は宝の持ち腐れになっていませんか、事業は「分散と拡大」、商品やサービスは「選択と集中」、これは企業成功の一つの鉄則でもあります、では「分散と拡大」とは具体的にどのように行うのかを説明します。
私の友人で30代にも関わらずクラブ・居酒屋・ダイニングバーをそれぞれ複数計8店舗経営している事業家がいます、最初はクラブ1店舗だけでした、でも競合他社に押され低価格を打ち出したにも関わらずほとんどお客さんは入りませんでした。
そこで冒頭の「分散と拡大」を会うたびに説明し居酒屋とダイニングバーを併設させたのです、この時の私の考えとしてはクラブのホステスさんはそれぞれにお客さんを確保するために出勤前や退店後に食事などの「同伴」というお付き合いが常識的にあります、であればその場所を提供することで売り上げを他の店に回さず全て自社の店で吸収できます、またクラブのおつまみはダイニングバーや居酒屋から出前でとるようにします。
こうすることでクラブには調理師と食品在庫及び厨房は不要になります、いろいろ考えると各所で設備投資を抑え共有化が図れるのです、この仕組みは大当たりしました、たった数年で3つのカテゴリーで8店舗を構えるに至り全ての人件費などを支払ったうえで月の純利益が400万円と大成功したのです、そして酒・食材などの仕入れもダイニングバーと居酒屋で共有し大量仕入れで安く仕入れることができるようになりました。
もう一つのアイデアとして厨房を有効活用する為に近くのワンルームマンションを借り、そこに業務用冷凍庫と缶詰や乾物などの食材ストッカーを置きました、つまり食材とお酒をここに常にストックする事で在庫切れでのチャンスロス不安を一掃しました、更にはダイニングバーと居酒屋間での忙しい店への従業員のシフトが可能であり1店舗当たりの人件費比率も大幅にダウンし利益アップに貢献できました。
この場合「分散」は同じアルコールを売る店の形態を3つに分けそれぞれ複数にしたこと、「拡大」は店舗数と従業員数を指します、仕入れは単価が安くなり店舗数と従業員の数は臨機応変に店舗間でシフトすることが可能になるからです、その店に必須な人材とどのポジションも取れるマルチプレーヤーを各店舗で共有できるようになります。
「分散と拡大」戦略はどの店が人気が無くなって閉店しても他の店の売り上げがあるので全く不安はありません、場所を変えてまた新装開店すればよいのです、これが思い切った行動と冷静な判断で事業を行える礎となるのです。
これは飲食だけではなく普通の企業でも同じことが言えます、一社で経営者一人ではせっかくのチャンスも掴むことができなくなるのは言うまでもありません、複数の会社と事業、そして自由度の効くスタッフ、成功する為の最低限のリソースなのです。
最後に、経営者自身が「分散と拡大」を自ら推進しなくてもその戦略を行うグループ法人の一角を担うこともグループ全体をみれば同じことでその傘下に入れるかが成功する為の必須事項になります、そして稼ぎながら未来に活かせる生きた学びを得られるのです。