新たな技術やデジタルインフラが誕生すると多くのアイデアマンが事業を興し、提案書を大手企業に持ちこんで資金援助を依頼します。
しかし多くの人達は資金調達もままならず事業構築すらできません、結果周囲からは「技術オタク」と言われてしまいます。
「技術オタク」とは一定の技術分野の知識や情報に広く精通しているのですが、ただそれだけの人を指して言います。
ところでエジソンは、優れた先人たちの技術力よりも劣った製品を後発したにも関わらず何故天才と呼ばれたのでしょうか?
近年では、ビル・ゲイツやスチーブ・ジョブズは何故他者の考えた技術アイテムをコアに事業化し成功したのでしょうか?
多くの天才たちは黎明期は技術オタクと同種の人達です、でも単なるオタクとは何かが違うのです。
その違いの最たるものが「マネタイズ」にあります、もっと言えばアイデアを具体的にするためのマーケティング戦略であり更にそれを含めたビジネススキームです。
天才は発案したものを実際にお金を集めて具体的な形にします、そしてそれをどのようにして利益に繋げていくのかの成功シナリオも完璧なまでに作り上げるのです、ここが天才とオタクの大きな違いです。
天才は技術を極めるだけではなく、現在の社会情勢を正確に掴んで世の中に認められ使われることを意図した製品を「待ち」に徹して絶妙のタイミングで世に出したのです。
そして成功シナリオが完璧であれば大きな事業と化し成功者として崇められるのです、新技術を世に広めるマネタイズ手法や成功シナリオは「ビジネスモデル」という知財になり特許出願することもできます。
アイデアを考えるだけでは単なるオタクで終わります、それをどのように近未来においてビジネスにしていくのか、ここが天才とオタクを分けるのです、完璧なビジネスモデルを考えられる人は極僅かです、だからお金も集まるのです。
IT事業に身を置くと連日のように提案してくる人と出会います、しかし提案書には重要なマネタイズ手法とマーケティング方法が抜けているのです。
その時点でその人に興味を湧くこともなく企画も頭に入りません、何故ならオタク思考で考えた取るに足らないものだからです。
アイデアを出す人など5万といます、こういう人達とビジネスしても何も生まないことは過去多くの経験から嫌というほど知っています。
「天才はコア技術と結果を重んじ、オタクは周辺技術と過程を重んじる」、だからオタクと組んでも結果が得られるはずもないのです。
オタクが100人寄っても何も生みませんが天才が一人いればあらゆるものが生まれます、大工を100人集めてもビルが建たないのとまったく同じです。
私は過去多くの映像関連の特許出願と同時に世界初のデジタル映像処理システムを多数世に送り出してきました、特にデジタル動画技術に関しては世界初を連発させては製品化し、セキュリティショーなどでは多くの企業から事業提携のオファーを貰い共同事業化し推進させました。
特に監視カメラへの応用、リアルタイム動画合成、動画高圧縮技術と高速画像伝送など、いまだにこれらの公開記事は特許情報も含めてネット上にキャッシュされており山のように検索されます、これらの事業は技術も含めて全て譲渡し技術も技術者も存続されています。
そして今再び復活させ注力しようとしているのがやはり専門としてきた映像に関する新技術です、特に旬なのが超VR(バーチャルリアリティ)ですが加えて顔認識技術に注力しようとしています。
この顔認識の利用範囲は防犯だけではありません、簡単に言うと人間カウンターに成り得るのです。
そのポイントに何人の人が通行するのかという調査があります、これは公道だけではなく駅構内やデパートなどでの通路の確保などでは重要な調査です。
これらは現在、人の手によるカウンターで計測するというデジタル全盛時代にも関わらず何ともアナログな世界なのです。
こういった人間カウンターがこの技術によりあっという間に自動計測が可能になります、しかも性別・年代を誤差10%未満で記録します。
この技術に加えて映像をそのまま画像情報で残すのではなくデジタルデータ化する技術があります、更に暗号化分散化して改ざんできいブロックチェーンと組み合わせて製品化すればあらゆる分野に応用できるのです。
そうした中で某テレビ局から面白い話しが入りました、その利用法は技術企業では想定できないようなリアルタイムでの利用法であり異業種コラボ特有のケミストリーなのです、この技術はいったいどこまで飛躍するのか楽しみでなりません。
2022年11月に公開されるや5日間で200万人を超えるユーザーを獲得した対話形式のAIであるチャットGPT(chatGPT)ですが、試してみるとその文章能力や回答が完璧過ぎて驚くばかりです。
極ローカルな情報に関してもどこから探してくるのか完璧に回答します、おそらく関連するホームページやブログまで事細かに検索して情報を得ていることが解ります。
そしてこのAPIが2023年3月1日に公開されました、APIとは独自のシステムからチャットGPTと連動させるプログラマブルインターフェースでチャットGPT同様に全てがオープンとなっています。
ITの世界でいうオープンとは無料で公開するシステムなどを指しており、誰もが自由に使うことができるものです。
私は本ブログにおいても5年以上前からAIライターの出現に触れてきましたが、このチャットGPTの回答はプロライターの能力をはるかに越えていると言っても過言ではありません。
文章の正確性だけではなく質問形式を変えていくと別の視点で観た回答を出してきます、音声合成システムと組み合わせるとどんな質問にも正確に答えることができる家庭教師やセミナー講師にもなるでしょう。
オープンAPIが公開されたということは今後ありとあらゆるアプリケーションに組み込まれていきます、そしてどんどん人間の仕事を奪っていくことが予想されます。
奇しくも某大学の外国人卒業生が日本語による答辞をチャットGPTを使って2分で作成したというニュースが流れました、自身で作成したら数日かかる内容だといいます。
また数日前のアンケートによると、まだ日本人の70%以上が知らないというチャットGPTですが、おそらく1年後には誰もが知らないうちに利用している存在になることは間違いないでしょう。
この大きな流れに乗って自身の利益に繋げられるかどうか、これも一つの勝敗を分ける試金石となることは容易に想像できます。
「不動産テック」という言葉は一時期業界紙面を賑わしていましたが、最近ではほとんど見なくなりました。
ほんのちょっと前までは、IT業界の巷では「ポスト・フィンテック」分野として注目されていた技術カテゴリの一つで、世界的な名称としては「リアルエステートテック」であり、日本では解りやすく「不動産テック」と呼ばれています。
フィンテックが金融のIT化であれば、「不動産テック」はまさに不動産業界のIT化を指しており、不動産の売買や仲介を省力化し利益率を高めようという試みです。
特に、政府もこの分野に注目しており、人口減少が起こる中で中古住宅販売市場規模を現在の10兆円から20兆円に引き上げたい意向を示し各種の支援を行おうと計画しています。
具体的な動きは既に浸透しつつあります、例えば中古住宅の売買におけるAIを駆使した概算見積もりに始まり、近い将来は売買契約に係る重要事項説明書などを自動作成してしまうなど多岐に渡っています。
またデジタルマーケティングも今後は多くの不動産企業が採用してくると考えています、オウンドメディアなどを活用しての極めて有益な「ここだけ情報」や自社の投資会員として抱え込むための投資家向けの最適な投資プランの作成など、その企業にしかできないオリジナルの手法が次々に展開されてくると思います。
更には今後は限られた地域での地域通貨的なデジタル金融媒体との連携が考えられます、ここに私は非常に強い関心を示しています。
日本の不動産は排他的且つ閉鎖的と世界中から言われています、つまり正確な詳細情報が専門業者でないと掴めないのです、この分野は今はまだ誰も気が付いていません、意外やIT業界の大穴分野かも知れません。
「不動産テック」という言葉が聞かれなくなったのは既に話題性が無くなったからです、つまりこれは業界の常識となり標準となったからに他なりません。
多くの人は話題を振りまいた言葉が使われなくなると「廃れた」と考えます、しかし成功者は祭りの後にこそ利益を取りにいくのです。
中国最大のクレジットカード会社による日・中・韓のキャッシュレス化の調査結果が発表されました、日本は中国や韓国に比べてクレジットカードや電子マネーの保有率は高いのですが現金決済額はダントツで1位でした。
つまりキャッシュレス決済の手段を保有しながらも、いまだに現金で支払っているケースが多いということです。
日本人1人あたりの月の平均現金利用額は、何と中国の平均の7倍の2万円以上という結果になりました。
東京2020オリンピックの開催により、キャッシュレス化が一気に進むと目論みされていましたが新型コロナウイルス禍で観光客は皆無となり期待も虚しい結果となりました。
何故日本人はキャッシュレス決済手段の保有率は高いのに現金決算を継続するのでしょうか、その答えは実に簡単でキャッシュレス決済できる店が少ないからです。
居酒屋やレストランなどでの外食ではクレジットカードさえ使えない店がいまだに多いのには驚きます、また商店街の小さな昔ながらの八百屋や魚屋などでも使える店はほとんどありません、他方中国ではどんな小さな店でさえクレジットカードやデビッドカードが使えます。
日本のキャッシュレス化が進まないのは「キャッシュレス決済を使わないのではなくて使えない」のです、政府のキャッシュレス化の目標達成には消費者を対象に推進する姿勢から販売店を対象に推進する方針に切り替える必要があるのではないでしょうか?
私の場合の現金支払いは月に1万円前後と日本人の平均の半分ほどです、使い道は商店街にある昔ながらの喫茶店とお昼の弁当代です、それ以外は全てキャッシュレス決済を利用しています。
これらの店で交通系電子マネーでも使えるようになれば、ほぼ現金を持ち歩く必要がなくなります。
給与のデジタル払いが進む日本ですが他方ではいまだに電子マネーさえも使えない店が多い事実、各所でデジタルデバイドが起きている気がしてなりません。
もし現金利用が皆無になれば私は手ぶらで出歩くようになるでしょう、スマートフォンとキーホルダーだけで全ての用が済むのですから。