2023年6月20日 08:00
進化論といえばダーウィンの「種の起源」があまりにも有名です、「種の起源」によれば種は環境に適合させるために種の保存を目的とした突然変異によって進化するということになります。
これは、競争社会を形成し変化に適合できない種は淘汰の道を選び絶滅するということになります。
これをビジネス社会に置き換えて考えてみると、殺伐とした競争原理の基に行われる企業間のサバイバルゲームそのものになってしまいます。
また、ついてこれない企業は淘汰つまり倒産に追い込まれてしまうということになります。
このダーウィンの進化論に対して真っ向から異を唱えたのが京都大学の今西錦司名誉教授でした、彼の説は「生物は自分の生態に適合した環境を選んで生き残る」という住み分け理論を発表しました。
住み分け理論をビジネス社会に置き換えると、それぞれの企業は同じ業界であっても特徴を生かせる分野で棲み分けることにより成長していくということになります。
つまり棲み分け理論には競合や淘汰という殺伐としたものは存在せず、そこに在るのは共存共栄の平和な社会です。
「企業が進化し成長を考えるとき、企業を変異させ競合によって生き残るのではなく、それぞれの特徴に合わせた分野において共存共栄を図りながら業界そのものを成長させていく」、このような考えの方が我々日本人のワビサビの文化に受け入れられる気がします。
ダーウィンの進化論を自社に応用してきた企業は少なくありません。
日本企業の場合、進化論でなく棲み分け理論によって企業成長を考えるようでありたいと願うばかりです。
私も若き血気盛んな頃に、「競争こそ美学」という考えで他社を押しのけてさえも頂点を極めた時期がありました、そして大きな成功を手中に収めました。
その栄誉は一過性のものであり、直後には天国から地獄に落とされるほどの手痛い結果になりました。
そして敗者としてどん底を経験しました、その穴の中で見えたものは自分が自分を苦しめる地獄絵でした。
自己の経験において言わせてもらいますと、「他者を踏み台にした」成功なんて有り得ないのです。
共存共栄を目指した棲み分け理論の実践こそ、参加者全員が利益を共有し成功を収めることができると確信しています。