2022年9月 7日 08:00
内閣府のEジャパン構想から早20数年、当時の「ユビキタスコンピューティング」という何処でも何時でもアクセス可能という言葉も今となれば当たり前となり死語と化しました。
入れ替わるように、この数年ではクラウドコンピューティングという言葉が浸透し始めています。
これは仮想コンピュータ空間を意味しており、何処にいても専用端末を持たずに会社に務めているのと同じようにバーチャルサーバーにアクセスしてあらゆる業務を行えます。
例えばホテルやネットカフェ、また空港や各種施設において利用できるレンタルパソコン、これらからクラウドサーバーにアクセスすれば会社にいるのと同じように業務が行えます、つまり出張などでもパソコンを持ち歩くことから解放されます。
セキュリティもかなり強力でログオフによりワーキングメモリは全てクリアされて形跡も残りません、かなり前から研究されていたシンクライアント端末がより機能アップしたシステムと成りつつあります。
さて、これらのシステムの台頭によってこれからの時代にいったい何が起こるのでしょうか、それは本格的なSOHO時代の幕開けを意味しています。
日本ではSOHOという言葉も以前から使われていましたが、欧米諸国のように浸透するまでには至っていませんでした。
SOHOとは、スモールオフィス・ホームオフィスという意味で簡単に言うと社員数に関わらず「小さな本社、家庭事務所」を指します。
現在の日本では自宅を事務所と併用するホームワーキング(自宅業務)が多くの起業家のスタイルとなっていますが、これはSOHOとは次元が180度異なるもので混同することなく正しく理解する必要があります。
SOHOの本質は組織において数名の本社機能社員だけを事業所勤務として、社員の多くは家庭に居ながら一つの大きな事務所で業務を行っているのとまったく変わることなくあらゆる業務を遂行できるというワークスタイルを指しています。
社員は国内だけに留まりません、海外であろうが何処に居ても全員が本社に出社して業務を行っているかのようなバーチャルオフィス空間を指しているのです。
今後、複数同時アクセス可能なテレビ会議システムと連動したバーチャルワーキングシステムも急速に普及してきます、そしてその結果オフィスビルの空室率が急上昇すると予想されます。
もう一つSOHO本格化時代で変わるもの、それは一旦家庭に入った女性の社会復帰と首都圏と地方の就労格差の緩和です。
つまり家で子育てや主婦業を行いながら、これまで務めていた企業に継続して勤務しているのと同じように業務を行うことができるのです。
更には極端な話し、世界中を旅しながら報酬を得られるなんていう夢のような時代になるのです。
この結果、男女の差はどんどん縮まり成果だけの成功報酬型の評価基準に変わってきます、つまり経済格差に加えて本格的な能力至上主義での二極分化も同時に浸透することを意味しています。
要は時代のトレンドを読み、その時代に合わせて何をすべきかがビジネス成功のヒントとなります。
最後にもう一つ、このSOHO時代が本格的に到来すると今のような起業する人が激減します、そして一匹狼的な起業家は窮地に陥るようになります、起業したら自身の組織を持つか、あるいはどこかの組織に何らかの方法で属することが必須になってきます。
そして起業独立支援やその対象となる人へのB2Cサービスは確実にこの世から消えていきます、時代の流れとは実に非情なものなのです。