私の一押しは、ミニコンポサイズながらも実力勝負のオンキョーC-733(2005年発売、6万円)です。
オンキョーのCDプレーヤー中では超ロングセラーを達成した製品で、オンキョーの高音質デジタルアンプA-5VLを購入した際についで買いして組みあわせたところ、音質も音色もがジャストマッチして常用システムとして何の不足もないと聴き込んでしまったほどです。
A-5VLには相棒のC-S5VLというサイズもデザインも合わせたSACD/CDプレーヤーが同額で在り、SACDに対応せずにCD再生に特化した本機を購入したのです。
つまり、小型ながらもSACD時代にCDに特化したスペックを凝縮した小型高性能CDプレーヤーとも言えます。
また、経験を基にするとコンビで買ってしまうと常に1セットで考えてしまってセレクションの幅が狭くなってしまうのです。
例えばC-733はサイズ的にもティアックの高級デジタルアンプのAG-H600と合わせても色を除けばぴったりくるわけです、つまり仕様と価格がほぼ同じであれば如何様にも組み合わせできる機種の方が愉しめる、そんな理由からできるだけコンビになる機種を避ける傾向があるのです。
オンキョーC-733
C-733はサイズからは計り知れない実力を持ったCDプレーヤーだと思います、オーディオは決してサイズや価格ではないということを証明してみせたような一台だと思います。
このC-733の最大の特徴は高精度スーパープリシジョン・クロックを搭載しているところです、このクロックジェネレーターは外付けでも充分に製品化できる程の優れモノで、同社のそれまでの10倍以上のクロック精度を誇ります。
CDプレーヤーの命はサンプリング周波数の精度で、この周波数が正確でないと音質に歪が出てしまいます、そういった意味では極めてハイコストパフォーマンスなCDプレーヤーと言えます。
また、このC-733に採用されている数々のデジタル加工技術は、その後のオンキョーのデジタルアンプやコンビとなるCDプレーヤーに引き継がれていきます。
高音質デジタルアンプA-5VLと相性が良いのは当たり前なことかもしれません、同じ指向で音作りをされているのですから。
そういった意味では、オンキョーの新デジタル時代の黎明期に誕生した極めて貴重なCDプレーヤーの1台だと思います。
音色としては本当に中高音域が綺麗です、デジタルアンプA-5VLと合わせた時の響きや余韻は他の高価なCDプレーヤーでさえ安っぽい音に感じるほどです。
まさに鳥肌が立つように澄み渡った中にメリハリが在る中高音域で本当に素晴らしいです。
そして低音域は硬く締まった音がドスンと腹に響き、前に張り出してくるバスドラが心地よいです。
電源は二次巻線が左右独立方式、1.6mm高硬度アルミシャーシ、低ノイズモーターなど、どれを取ってもミドルクラスのパフォーマンスを誇っています。
価格とサイズからはとても考えられないほど、贅を尽くしたデジタル時代幕明けのオンキョーの勝負CDプレーヤーと言えます。
こういった製品を買える時に確実にゲットしておくのは、オーディオ道楽を行う者の一つの心得だと思うのです。
コンパクトながらも高性能な製品をさりげなく使っている、実に粋だなと思ってしまうのです。
尚、同時期に発売されたフルコンポサイズのC-777という機種があります、こちらはデジタルフィルターが付いており音質をアンプに合わせて変化させることが可能で価格は若干高くて7万円です。
中古を探していてフルサイズに拘る人であればC-777をお薦めします、価格は中程度の状態でC-733と同額程度の3万円前後ですからお得感もあります。
またC-733には、デジタル出力は光デジタルが2系統付いていますがデジタルコアキシャルは付いていません。
まあ光デジタルが付いていれば全く問題なしなのですが、光が2系統というのも面白い仕様だと思います。
1台でオーディオの常用システムのプリメインアンプと、ホームシアターシステムでのAVアンプにCDソースを供給することが可能となります、こんな使い方も憎らしいほどに暗黙の中に提案している製品なのでしょう。
また、外付けDACを2台繋いでDACの音色の違いを確認する際のリファレンスプレーヤーとしても同じソースを同時に聴きながら切り替え出来ますからDACマニアにももってこいのCDプレーヤーでしょう。
更にCDプレーヤーダイレクトとDAC経由での音の違いも配線の組み換え無しで行えますので、その意味でも非常に頼もしいCDプレーヤーなのです。
尚、C-733とペアとなる純正プリメインアンプは同サイズのA-933となっています。
A-933が手に入らなくても、ちょっと前のオンキョーのA-922Mなどでもベストマッチな音色を奏でます。