ヤマハが小型モニタースピーカーNS-10M(テンモニ)を更に小型化して、サラウンド用に作り変えたNS-10MM(発売1996年、セットで1.8万円)。
別名テンモニミニで、発売当時は小型すぎる大きさの割に豪快な音を出すと話題になりました。
ヤマハ NS-10MM
ウーハーは9Cmコーンで、NS-10M同様に見た目を同じにするようにホワイトコーンを使用しています。
9Cm口径に直径6Cmの大型マグネットを使用し、押し出すパワーを高めています。
ツイーターはノーマル仕様の2.5Cmドーム型で、サイズは異なるもののスペック的にはNS-10Mとほぼ同じです。
周波数特性は、100Hz~20Khzとサラウンドスピーカーの要件を満たしています。
当然ですが、単独で聴くと低音域はほぼ出てきませんが中高音域の張り出しはまあまあです。
超小型ながらもモニターという名が付くほどですから自然な音色を目指していますが、サラウンドとしてはイマイチパワー感がほしいところです。
個人的には使用頻度が低く、どうしても予備に回ってしまいます。
逆に2.1Chサラウンドで、サブウーハーと合わせてオーディオのサブシステムとして使った方が音色的にはしっくりくると思います。
道楽復活でホームシアターシステムを組むときに、不足したサラウンドスピーカー(7.1Ch用のフロントハイ用)を補うために緊急的に購入したJBL A120W(2018年発売、ペアで実売参考価格2.2万円<定価不明>)です。
このA120Wは、安価ながらもサラウンドで使うのはもったいないほどの高音質で驚きました。
とにかく中音域と高音域の張り出しが凄いのです、流石にサラウンド用に考えられたスピーカーだけあります。
また、小型ブックシェルフとしてメインでも使えるように音質が調整されており、サラウンドで使う時はミュートスポンジでダクトを塞ぎ、メインで使う時は外します。
JBL A120W
そこで、ミュートを外した状態でJBLと相性の良さで定評のあるサンスイのアンプAU-α607iと合わせて音出しをしてみたのです。
流石に低音域こそ物足りないものの、やはり中高音域の張り出しは数段階上のクラスのスピーカーに劣らない音質で、しかもJBLらしい元気で明るい音質なのです。
ここで閃きました、サブウーハーの投入です。
AU-α607iには専用端子が当然付いていませんので、RECアウト端子からステレオ-モノ変換ケーブルを使いコンパクトなサブウーハーであるヤマハYST-FSW050と直結しました。
この閃きは、ズバリと当たって見事にJBL A120Wの低音域不足を補い、少し離れて聴くとまるで大型3ウェイブックシェルフを鳴らしているような音になりました。
流石にサブウーハーですから、硬く締まった低音域ではなくもったりとした音質ではありますがBGM用としてはかなり使えます。
このJBL A120W、サラウンドスピーカー使用だけではなく通常のオーディオスピーカーとしても使えます、音質的にもかなり気に入りました。
使い方次第では、めちゃくちゃコストパフォーマンスの高いスピーカーと言えます。
流石にJBL、ジャズファンの期待を裏切りませんね。
11.4Cmウーハーに2.5Cmアルミドームツイーターという構成で、ツイーターはホーンを付けて指向性を向上させています、この効果なのかサラウンドに使った場合の高音域の破壊力は凄いです。
いろいろと工夫して愉しめるスピーカーだと思いますが万能とは行きません、人によっては独特の派手で元気過ぎる音質が刺激的な音に聴こえてしまうかもしれません。
かなり好みが分かれる音色のスピーカーだと思います。
やはり、ホームシアターシステムでのサラウンド用として使うのが一番ですが、小型のサブウーハーと合わせてテレビの音質向上システムとして使うという手もあります。
90年代に入り、高性能な小型ブックシェルフの快進撃によってスピーカー部門のシェアを拡大していったオンキョー。
そのオンキョーが放った、本格的ホームシアター用スピーカー群の中にあってサラウンド専用スピーカーのHTS-SR10(1999年発売、セットで4万円)です。
オンキョー HTS-SR10
このHTS-SR10はどこにもバスレフダクトが付いていません、なんと密閉型のサラウンド用スピーカーなのです。
余程のユニットに自信があるのでしょう、密閉型でありながら13Cm口径のユニットと2.5Cmソフトドームツイーターで中温域から高音域までが押し出してきます。
密閉型なのでバスレフダクトを塞ぐ必要もなく、サラウンドスピーカーとして理想的な音質に設計されたスピーカーです。
ウーハーユニットのコーンはD-202AXに使われているコーンと同様のオンキョー独自のOMFコーンです。
単独での音質確認では、当然のことサラウンド専用ですから低音域はほぼ出てきません。
また、パワーを入れると中音域の腰の強さが発揮され、伸びた高音域とのハーモニー効果で見事な音質になります。
また、懐が深いというか音場が広くちょっと視聴位置がずれても音量が変化することがなく、一度調整したら安定して映画に集中できるので私の超が付くほどお気に入りなサラウンドスピーカーでもあります。
センタースピーカーHTS-C10同様に国際ホームシアターの音質認定であるTHX認定を受けたサラウンドスピーカー、音質認定はダテではありません。
外見は写真では解りずらいのですが、フロントよりもバックが広く台形型に広がっており、この形状によって密閉型独特の定在波による歪みを低減しています。
85dBの音圧で135Wの入力耐性と、どんなフロントスピーカーと合わせても十分に存在感を出してくれます。
ブラック塗装に見える外装は実はブラック木目であり、光の当て方でうっすらと木目の模様が浮かびあがり見た目にも美しい仕上げになっています。
聴く為のシステムではなく、各種の実験に手軽に使える小型のCDプレーヤーのニーズが出てきてオーディオショップで見つけ即購入したマランツのCD110(2001年発売、オープン)です。
マランツ CD110
シーリングパネルを開けたところ
CD110はシステムコンポ用のCDプレーヤーのようで、定価はオープンで不明です。
デザインを見ると、シーリングパネルといい喫茶店などでも埃や水気を気にせず使えると思いますが、どんな目的があってのこういったスタイルになったのかは理解不能です、オーディオ氷河期のど真ん中での発売なので時代の申し子的な存在なのでしょう。
シーリングパネルを閉じた場合には電源とプレイ/ストップだけが操作できるように上面パネルにボタンが付いています、同じCDを繰り返し聴くようなBGMオーディオシステムとして使うことを意識したのでしょう、普通の使用ではシーリングパネルは開けたままとなるので中途半端な印象を受けます。
デザインは別にして、システムコンポ用なのに出力がデジタル光・デジタルコアキシャル・アナログと全て揃っており冒頭で述べたように各種の実験や音出し試験用途には持って来いのCDプレーヤーです。
単体の価格は不明ですが、おそらくアンプやスピーカーとのセット価格で8~10万円程度のシステムだと思います。
もしそうだとすれば、デジタル出力などを見ると上位機種の回路をそのまま使った可能性がありコストパフォーマンスはかなり高いのかもしれません。
高性能デジタルアンプをはじめ、80年代・90年代のアンプや最新のアンプなどに繋いでテストしてみましたが、デジタルもアナログもそこそこの音色で鳴ってくれます、聴き込むような音色ではないのですが決して安っぽい音ではありません。
アナログ接続だと全帯域で明るい感じはしますが中高音域の押し出し感やシャープさはありません、採用しているDACの特性だと思いますが聴き流しには癖も無く充分です。
大きさ的にもオンキューのA-905FXなどデジタルアンプと組み合わせて、ワーキングBGMやベッドルームでの聞き流し用に使うのであればむしろ好ましい音色であり充分に役割を果たしてくれるでしょう。
90年代に起こったハイコンポブームの中に在って低価格ながらも高性能なCDプレーヤーがありました、それがこのケンウッドDP-1001(1995年発売、定価4.8万円)です。
ケンウッド DP-1001
下はパラメトリックイコライザーのGE-1001
ケンウッドの本格派ハイコンポシリーズK's(ケーズ)シリーズのプリメインアンプA-1001やパラメトリックイコライザーGE-1001と同時に購入し、一時期サブシステムの一つとして寝室用に使っていました。
このDP-1001の何が凄いかというと、採用されているDACが「DAC7」というフィリプスが開発したスーパーDAC方式なのです。
「ハイコンポのCDプレーヤーに話題のDAC7を使っている」、もうこれだけで購入動機は充分でした。
DAC7というのは1bit型のDACでビットストリームによりアナログ変換します、ビットストリーミングには「SAA7350」を用いて「TDA1547」でアナログに変換しています。
現在、PCオーディオにおいて同様の方式を用いてCDの音情報をDSD変換して聴くという愉しみ方をしているマニアがいますが、なんとフィリプスは25年も前にこの方式を完成させていたということです、この事実を証明する製品の一つなのです。
そんな意味でもこのDP-1001は貴重な逸品と言えるのです。
音質確認にはA-1001とGE-1001、オンキョーの小型ブックシェルフのフラッグシップD-202AXを合わせて、25年前に私がセレクションしたサブシステムを再現して聴いてみました。
改めて聴いてみると、「当時こんな良い音で鳴ってたかな?」という第一声。
GE-1001で低音域を少し持ち上げてやると、大型ブックシェルフで鳴らしているかのような愉音がします。
中高域の締りや響きも最高です、ただピアノやサックス、更にはボーカルが男女共に少し硬い音がします。
カチッとした硬い音が好きな人にはピアノトリオは最高に愉しめます、ハット系ドラムの響きはけっこう前に張り出してきますしベースもずるっとせずにしっかり下まで伸びています。
これ眠らせておくのはもったいない、サブシステムで早々に使うことにしましょう。