80年代初期のエントリークラスのパワーアンプを検証-2~Lo-D HMA-3790
2024年9月 9日 08:00
1979年後半から1981年中盤ごろにかけて、オーディオメーカー各社からエントリークラスのセパレートアンプが相次いで発売され、瞬間的なエントリークラスセパレートアンプブームを巻き起こした時期があります。
この頃は、東芝や三洋、そして日立もオーディオブランドを引っ提げて各種のオーディオ製品を製造発売をしていた頃です。
その今は無き日立のオーディオブランドLo-D(ローディ)の「システムコンポ55」のパワーアンプであるローディのHMA-3790(1980年発売、定価3.1万円)の音を再確認しました。
ローディ HMA-3790(写真上)
その下のパワーアンプはテクニクスSE-A808で同年代のエントリークラスのパワーアンプを聴き比べ
音出し一番の感想は良い意味では「懐かしい音」です、悪い意味では「古臭い音」となってしまいました。
ただ、こういった音色は今の製品では絶対に手に入らないので、ある意味では極めて貴重な音色を奏でるアンプとも評価できます。
70年代によく行っていたジャズ喫茶で流れていた音そのものです、よい意味では聴きやすくワーキングBGM用で考えると思考や作業の邪魔をしない音色だと思います。
同じ年に発売されたテクニクスのエントリークラスパワーアンプのSE-A808とは対照的な音色で同じ年の製品でメーカーによってこれほどまでに音質も音色も異なるのかと逆に驚かされます。
ただ、意外や低音域が伸びておりふっくらしています、ただし硬質さやシャープさがないので「ブーミー」という評価になってしまいます。
中高音域もシャープさも張り出しもなくCDを聴くにはかなり厳しいアンプです、あまりこういった評価はしたくないのですが耳に優しいマイルドな音色を好む人には最適な音色かもしれません。
ただボーカルは何故か艶っぽく響きます、これは推測ですが使っているトランジスタが回路方式によって倍音歪が乗るタイプじゃないかと思います、真空管からトランジスタに変わった初期の頃はこういった特性が出る回路が多かったですから。
倍音歪が乗ると真空管アンプのように妙な艶っぽさが出るのは確かです、またダンピングファクターも真空管同様に低いと思います、これもCDを聴くと独特の艶っぽさが出る理由です。
そういった意味で考えると、プリアンプに現在多種出ている音変用(?)の1万円以下で買える真空管ラインアンプを繋ぐとかなりしっくりくる音色になるかもしれません、これは早々に実験してみましょう。
どんなアンプにも不要なものなどありません、要は個性を知って上手く使ってあげることがオーディオマニアの使命だと思うのです。