圧倒の存在感を放つ大型フロアスピーカー~アルテック 620B
2024年9月13日 08:00
大学時代は早く社会人になりたくて仕方なかった、その理由はフロア型の大口径ユニットを搭載したJBLやアルテックのスピーカーを自分で稼いだお金で買いたいから。
そんな強い思いは、オーディオショップでたまたま試聴した本物の音に出会ってしまったからで、その後は何度も何度も夢に出てくるほどの忘れられないものとなりました。
その代表とも言えるスピーカーの一つが、アルテックの620B(1978年発売、ペアで97.4万円)です。
アルテック 620B
38Cm口径の名スピーカーユニット604-8H
38Cm口径の同軸2ウェイユニット(ウーハーユニットの真ん中にホーン型ツイーターを付けた1本で2つのユニットで構成されるスピーカーユニット)である名機604-8Hを使った620Bは、103dB(デジベル)というスピーカーシステムでは最高レベルの驚異的な音圧を誇り、低出力のアンプでも軽々とドライブ可能で地を這うような重低音を響かせます。
604-8シリーズはもともとはホールやライブハウスで使うPA用スピーカーのユニットとして考えられたもので、音圧の高さや頑丈さなど抜群の耐久性を誇ります。
音圧は普通、大型ブックシェルフでも90dBの前半です、小型ブックシェルフなら85dB以下です。
103dBと言うのはおそらく他にはPA用のパッシブ型のスーパーウーハーくらいしか思い当たりません、それほどの規格外の値だという事です。
この38Cm口径2ウェイフルレンジユニットのアルテック604-8シリーズの最終版である604-8Hは、現在でも往年のマニア垂涎のスピーカーユニットで、今ではこういったユニットを使った620Bのようなフロア型は既製品では手に入りません。
その大きさもさることながら、重量がすごくて1台70Kg以上あります。
移動する際のトラックに積むのに、大の大人が3人がかりでようやく持ち上がるほどで、一度設置したら易々と移動もできないのです。
そこで、ただコレクションしておくだけでも保管が大変なので飲食事業会社の直営イタリアンレストランでの音響設備のメインスピーカーとして活躍させることにしました。
その大きさと音質にお客さんも気になるのかみなさん興味津々の様子です。
良い音を聴いていると自然にリラックスしてきて、食事も美味しくいただけるのです。
周波数レンジが20Hz~20KHz、20Hzという非可聴域まで重低音域が伸びているスピーカーもなかなかありません。
20Hzというのは、耳ではほぼ聞こえずに肌による風圧か床を伝わってくる振動しか感じません。
サブウーハーを使うまでもなく、サブウーハー以上の超重低音を床まで振動させながら地を這うように響かせます。
こういったスピーカーに音質云々という評価は一切不要です、黙ってこのユニットの発する音色を大いに愉しんで聴くのが良いのです。
聴いた者でしか、この音色を語ることはできない伝説の名機中の名スピーカーなのです。
高音域はCDが音源だとかなり辛いのですが、ネットワークの調整で何とか聴ける領域まで調整することが可能です。
CDを音源とする場合は、スピーカーネットワークのレベル調整で高音域のレベルをMAXに上げたほうが音質的にはバランスが取れます。
そして、アンプの低音域調整を下げて全体的なバランスを調整してあげることが重要です。