経営者の多くの悩み、それは自社の事業を上手く説明できないことにあります、特に「自社を一言で説明する」など雲の上の話です。
多くの経営者は自社の事業を正確には説明することができません、これはどこからどのように利益を得るのかというビジネススキームを確立していないからに他なりません。
では、どうして多くの経営者は他者の会社や事業を聞きたがるのでしょうか、そもそも事業が上手くいっている人は他社の事など聞きたがらないものです、聞いてもそれはご挨拶であって他者事には正直興味がないのが普通です。
では聞きたがる人はどんな人かというと、自身のビジネスに確固たる自信と実績がないからです、だから他者事が気になって仕方ないというのが本音なのです。
私はこのようなシーンでは「怪しい仕事で儲けてます」と言ってはボケています、この方がその場の緊張感を流せるし相手も意外やこちらを信じてくれて自身の弱みなども話してくれます。
兵法三十六計「仮痴不癲(かちふてん)」とは馬鹿な振りしてやり過ごすという策です、経営者は自身のビジネスに直結しない人の質問に真面目ぶって正直に答える必要もなければ上手く説明する必要もありません、馬鹿な振りしてやり過ごすことで案外気楽に過ごせることも多いのです。
何年もほとんど売り上げが上がらずもがく人は少なくないのですが、こんな人に多い特徴の一つがこれまでの「行動パターン」を一切変えないということに尽きます。
1年で充分です、そのやり方で上手くいかなければ何年やっても同じことです、でも不思議なことに何故同じことを繰り返しては行動を変えようとしないのでしょうか?
上手くいかなければ普通は方法を変えてやってみるはずです、これは料理人もIT技術者も職人と呼ばれる人たちはカット&トライという「やりながら試行錯誤を繰り返して」はスタイルを変えるやり方で一つの解を早期に導き出すのが常道なのです。
私が一つ思い当たるのが会社員時代が長い人がこの「変えない症候群」に陥りやすいのではないかと思うのです、会社員は長年慣れた業務フローが変わるのを本能的に嫌がります、この癖が染みついてしまったのかもしれません。
そして言い訳も共通していて「自分にはこれしかない」というものですが、稼げるネタが無いなら新しいものを早々に得ればいいのにと思います。
確かに結果が出ないと居ても立ってもいられない精神状態は解ります、それだからといってこれまでのやり方を何度繰り返しても時間とお金が無駄になるだけです。
忙しく動いて人と会ってさえいれば「そのうち何か変わるはず」などというのは精神的な究極の逃げです、そしてそれは幻想や妄想にすぎません、その幻想や妄想に取りつかれたゾンビはいたるところに徘徊しています。
それよりもピンスポットの有効な手段を得て手っ取り早く実行することです、例えば成功している人に頼み込んででも仲間に加えてもらうか、潔く借金してでも顧問に依頼するしかないと思うのです、経営者は結果が出ないお金の垂れ流しを最も恐れなくてはいけません。
僅かなお金を惜しんでこれまでの慣れたやり方に逃げ込んでいては本当に何時まで経っても結果は伴いません、今までやってきた結果が今なのです、今の状況が好ましくないのであれば今すぐにやり方を変え進化を遂げる必要があるのではないでしょうか?
進化の過程が最も心身にきびしいのですが、それはこれまでの苦しい期間に比べたらあっという間です、明るい未来を信じて進化の第一歩を踏み出してほしいと思います。
誰しも良いときと悪いときと繰り返すように起こるものです、ただ悪い状況のときだけ他者を頼ってくるのは考えものです、常日頃からの信頼関係が有って初めて悪いときにも良好なお付き合いができるというものです。
良い状況のときには自身の事だけにお金を使い、悪くなったら協力を求めてきても素直には応じられるものではありません。
多くの人が悪い状況のときには恥ずかしいほどに本性が丸出しになります、小さなお金を出し惜しんでは大きな信用を失っていきます。
困窮すれば心の余裕が無くなるのは仕方ないことです、それでも精いっぱいの誠意をもって事にあたらなければ長年築き上げた信頼など一瞬にして水の泡と消えてしまいます。
「貧しても鈍するな」とは昔の人はよく言ったものです、「お金が無い時ほどお金を出し惜しむな、むしろ積極的に他者に回せ!」は私がよく口にする言葉です。
たったの数万円を出し惜しんで信用を失い、そこまで見えていた明るい未来を棒に振る人も少なくありません。
今のこの瞬間の小さな原因が未来を決めてしまう大きな結果として現れるのです、今のこの瞬間を適当に流す人に希望に満ちた明るい未来など来るはずもありません、どんなに貧しても常に余裕を持って対応しなくてはならないのです。
ビジネス百戦錬磨の多くの経験を積んできた経営者同士がビジネス上で自社の会社生命をかけての商談、相互に兵法よろしく駆け引きの攻防戦によりタフな会談が数ヶ月にも及ぶことがあります。
過去に何度もそんな局面に直面してきて思うことがあります、周囲の緊張を他所に当事者同士は結構それを楽しんでいるのです、互いのビジネスセンスと作戦を評価しながらです。
他方ではテレビの影響なのかは解りませんが、僅かな金額の支払いや処遇などに対して駆け引きをしてくる起業家が台頭してくるようになってきたのにはびっくりします。
素直に直接お願いすれば済むことなのに、確実に伝わることを意図して双方を知る人を介して遠まわしに言ってきたり、建前メールを送ってきたり関係ないことを持ち出したりしてきます。
よほど経済的にも精神的にも余裕が無いのか、事実を知らないとはいえ年輩経営者の観察力を甘く見ない方がいいと思います。
そんな駆け引きしてくる人には駆け引きのリスクと怖さを身をもって教えることもあります、建前で「~でも構いません」と言われれば「はい解りました、ではそうしましょう!」と、「すべてお任せします」なら「では、こうします!」と言われるままに一旦は最終決定にしてしまいます。
「そんなつもりではなかった」と後で言われても、こちらは真摯に向き合っているにも関わらず建前で対応しているのですから言わずもがです。
本心でなければビジネス合意事項に建前を言わなければよいのです、相手の気持ちをくすぐるような行為は感心しません。
本音と建前を使い分けること自体が信頼に値しません、そしてビジネスとは独り相撲ではなく必ず相手がいます、更には結果重視で如何なる結果も潔く受け入れなければならないのです。
誰でも認めたくない事実の一つや二つは持っています、私も事業が頂点に達した瞬間に、M&Aにより上場企業の傘下に入るなど予期せぬ不都合な事実は過去に幾らでもあります。
そんな時は人間の本性が出てしまいます。
多くの人は、「事実を認めたくない」という気持ちが引きずり困窮しても軌道修正する決断できない状況に陥ります。
経営者は常に潔く振る舞っていただきたいのです、その潔さが最終的に逆転ホームランで勝利を収めることができるのです。
不都合な事実を認めたがらない経営者の多くは土壇場で他者に責任を押し付け保身に走ります、これでは例え再起できたとしても結果的に人生の敗北者になります。
土壇場での振る舞いのカッコ悪さ、その後は誰もがまた一緒にやろうとは思いません。
経営者であるなら瞬間の事実の善し悪しではなく、起こった事実を潔く受け入れて未来にどう生きるかを考えていただきたいのです。
「成功」とはその瞬間の小さな事実などはどうでもよいのです、人生を通して「成功か否か」と評価されるべきものなのです。