この数年来の高騰に暴落、某国の公式通貨になるなど何かと話題を振りまくビットコインですが、ビットコインの未来はどのようになるのでしょうか?
株式などと違い過去の統計が全くない暗号資産であるビットコインは未来予測は極めて難しいものがあります、しかし特性やシステム理論から照らし合わせるとある程度の予測は可能となります。
ビットコインを代表とする暗号資産(仮想通貨)は発行に際してホワイトペーパーを策定します、ここには発行手順と最大発行数も記載されています。
これを正しいとして算出すると現在の状況が継続すればビットコインは約15年後には全て発行済みとなります、この状況を「枯渇」と呼んでいます。
ビットコインの取引に協力している参加者に協力報酬としてビットコインが支払われています、これをマイニングと言います。
このマイニングは半年に1度発行数を半減するように自動化されています、これを半減期と呼んでいます。
さてここで全てのビットコインが発行済みとなると少なくても新たなコインを報酬として受け取ることができなくなります、この瞬間に一般的な取引協力者は一瞬にして姿を消してしまいます。
そうすると安全性を確保するための51%以上の計算能力を保持することが難しくなり、この時点で51%以上(計算上は47%でも可能だとする論文もある)の計算能力を持つマイナーが存在すれば乗っ取りという危険性が高まってきます。
そうならないようにシステムを変更していくでしょうが「枯渇」は一つの大きな衝撃を与えることには間違いありません、それまでの間は需要が有る以上は価格こそ乱高下しながらも確実に維持し続けていくと見ています。
ただ枯渇後のビットコインはどうなってしまうのでしょうか、前例のない暗号資産の未来を予測するのは極めて困難です、しかし仕組みを正確に理解する者であれば何が起こるかはそう難しい予測ではありません。
ブロックチェーンはこの先地球上に何を齎していくのでしょうか、その答えは「新たなるエコシステム(経済秩序)」という言葉が相応しいのかもしれません。
株式が取引所にIPO(上場)し自由に売買できるようになった当時、たったの数年で無一文の人が巨万の富を得た時代がありました、これが先行者利得という事実です。
アメリカンドリームに代表されるエンジェルファンドの世界では「ファーストムーブアドバンテージ」という言葉が存在します、先に動いた人が有利になるという意味で同じように先行する人が成功することを物語っています。
さて日本のブロックチェーンの現状はどうでしょうか、多くの人はフィンテックつまり金融に絡めたシステムに応用することを第一義としています。
しかしブロックチェーンの本来の優れたポイントであるデータの保障(高信頼性)という意味ではIoTへの応用が最も適切だと思うのです、そういう意味で現在産業用ブロックチェーンの開発が最先端で行われています。
また取引台帳が保障され改ざんできないという点において、今後個人間での相対取引(P2P取引)に大いに活用されていきます。
これも日本は遅れており、海外ではP2P取り引きのコア技術としてブロックチェーンを取り入れようとする動きが盛んです。
さてここでブロックチェーンはどのようにして新たな経済秩序を齎すのでしょうか、そしてその未来は如何なる世界を築いていくのでしょうか?
その答えを知っている人は全世界でも極限られた人達である事だけは事実です、そしてしばらくの間公開されることもないでしょう。
ただ一つ言えること、それはブロックチェーンシステムは運用コストが極めて安価に行えるという点です、仕組みによっては無人化も可能になります。
ここで世界中に広がる個人間取引によるフリーマーケットが家に居ながら利用できるとしたら、いったいどんな経済秩序が生まれるでしょうか?
コインチェックによる「NEMコイン」の流出問題はいまだに記憶に新しい人も多いでしょう、それ以前にも「NEMコイン」はシステム障害によって大きなダメージを被ったばかりです、この裏にはどんな事情があるのでしょうか?
仮想通貨はそもそもブロックチェーンによって管理されている実体のない価値を持った数字です、その取引に関してはブロックチェーンの取引保障と改ざん不能という機能に頼っています。
しかし実際に顧客との間で取引を行うのはブロックチェーンそのものではなく、ウォレット(口座)を介して取引システムによりシステマチックに行われています。
つまりブロックチェーンの取引台帳は保護されているものの、ウォレットに関しては別の仕組みによってセキュリティを図られなければならないのです。
顧客のウォレット管理においては一般的に「マルチシグ」という方式によってセキュリティが強化されています、ところが先の「NEMコイン」に関しては導入するという広報は流れていたものの見送られてきた経緯があります。
この「マルチシグ」とは一ヶ所にIDとパスワードを保管するのではなく、それぞれのパスワードを分割して複数のノード間で分散保有するという仕組みです。
これによって一ヶ所のノードがハッキングされても、ウォレットに辿りつくことはできずにコインが不正に送金される事もありません。
今後の仮想通貨は「マルチシグ」導入が必須になることは間違いありません、更に言えば安全なウォレットサービスが必須になります。
強固なウォレットを誇る仮想通貨が望まれる時代になるのです、何故なら仮想通貨は金融資産という位置付けになったのですから。
思えばバブル経済期直前に多くの銀行や証券会社がネット取引サービスを開始しました、当時不正アクセスによる送金や取引詐欺が横行しテレビや新聞を賑わした記憶が蘇ります。
その都度に金融機関のセキュリティ能力は大きく飛躍し現在の安全な取引の提供に繋がっています、仮想通貨による新たな秩序の誕生とは事件や事故をきっかけに一つのスタンダードが出来あがっていくものです。
また世界的なスタンダードが構築されたとき、それはもう話題性の世界から実世界へと浸透していくことになります。
仮想通貨の隠れた課題の表面化、これを良しとみるか悪とみるか、ここで言える事はたった一つだけです、「既に仮想通貨は政府や金融業界だけではなく社会において無視できない存在になっている」ということです。
デジタルコンテンツとは昔のように文字情報だけではありません、静止画像や動画そして音楽情報もコンテンツとしてクラウド化され扱われるようになりました。
実はコンテンツのクラウド化は現在最も音楽業界や出版業界が進んでいます、今や音楽はCDだけではなくmp3(デジタル変調方式の一つ)でアップロードやダウンロードするようになりました。
書籍はについてはコピー防止のセキュリティ付きPDFファイルが一般的になっています、ここで問題になってくるのが著作権です、著作権が守られなければアップロードする人が少なくなりコンテンツそのものが衰退していきます。
そこで求められるのがコンテンツの著作権保護と例えハッキングされても使えなくする暗号化などのセキュリティです、その意味で注目されているのがオウンドメディアなどのデジタルマーケティングツールとブロックチェーンとの融合技術です。
私が現在最も注目しそして実現しようとさせているのがこのオリジナルコンテンツの著作権保護とコンテンツの安全を守るための施策なのです、その人しか持っていないオリジナルなデジタルコンテンツは今後大きな価値を持ち、そして有益に取引されなければならないと考えています。
その為にIT技術を駆使したデジタルコンテンツの安全なるクラウド化が急がれています、勿論セキュリティに加えて著作権保護が盛り込まれているのは言うまでもありません。
この数年ほどの新規発行される仮想通貨はICOどころか知人への優先的な縁故販売でさえ思うように進まないのが現状です、その理由の一つがERC20+コンセプトのみのトークンが世に溢れ、大損する投資家が量産され新規仮想通貨に懐疑的になっているという事実があります。
ERC20とはイーサリアムのトークン発行スタンダードブロックチェーンであり、イーサーコインをGAS(取引にイーサーコインが使われる)として動くブロックチェーンでありアプリケーション的な要素は無く独自性もありません。
また開発コストも近年では数百万円でも請けるところが現れ大幅に開発コストが削減できますが、その中身は独自のコントラクトやコンセンサスがあるわけではなくイーサリアムトークンだけという代物です。
つまりイーサーコインをGASとした他の仮想通貨と交換可能な単なる引換券に過ぎず、そこには技術的な優位点は何も垣間見ることができません。
その結果として他者差別化をコンセプトのみに頼らざるを得なくなります、そこで概念や哲学だけは立派な企画書を作りあげ投資家に訴えるのですが、もうこの手の仮想通貨(トークン)は世に溢れており投資家の心を擽るまでには至らないのです。
私の所へもこの数年間に持ち込まれる仮想通貨企画書は全てこのパターンでコンセプトを聞くだけで辟易してしまいます、当然のこと「当社はERC20だけのトークン発行案件は請けおいません」と断っています。
今この世に必要なのは本物の独自の取引スキームを大金を叩いて開発した技術的優位点を誇るオリジナルなブロックチェーンです、つまり将来ERC20のようなオリジナルのスタンダードになれるブロックチェーンです。
他のブロックチェーンではできないような機能を有し、多くの参加者に賛同されるようなDApps開発が手軽に行える機能を有していなければならないのです。
これが本物のブロックチェーンであり社会貢献できる代物に成りえるのです、コンセプトだけの仮想通貨のおかげで本物のオリジナルブロックチェーンを構築しながら資金不足に泣くプロジェクトが現実に世界には数多く存在しています。
投資家はコンセプトに踊らされずに、もっと技術的優位点を見極める目を養ってほしいと思うばかりです。