
70年代中盤から80年代中盤にかけて、オーディオ界にDCアンプなるものが存在していました。
当時の高級ハイエンドセパレートアンプや、ミドルクラス以上のプリメインアンプに採用されていたDC増幅回路とは、0Hzつまり直流から増幅できるという恐ろしいアンプでした。
ちなみに、DCとは直流の事で交流はACと言います。
音は当然空気の振動ですから、音楽音源も通常20Hz~20Khzほどの周波数帯域の交流なわけです。
しかし、自然界にはあらゆる周波数帯域の音が存在しています、ただ人間の耳には聞こえないだけです。
例えば波や風の音には5Hz以下の重低音まで含まれています、和太鼓なども単一周波数ではなく10Hz以上の各種の周波数帯域の音の合成によって人間の耳に和太鼓の音として聴こえるのです。
つまり、人間の耳には認識できなくても自然界に存在する音をそのままに再現しようとすると可聴域以外の低い周波数と高い周波数を増幅できるアンプが重要になります。
そこで誕生したのが究極のDCアンプだったわけです。
セパレートアンプではトリオのパワーアンプL-05M、プリメインアンプではサンスイのAU-DシリーズなどがDCアンプの代表格です。
他にも、70年代のヤマハのアンプA-5などはエントリークラスでもDCアンプです。
更に凄いのは周波数レンジの幅です、通常はA級ハイエンドアンプでも20Hz~100KHzですが、サンスイのDCアンプは0Hz~300KHz、トリオの場合は0Hz~600KHzもあり、高域特性も極めて高いのです。
このDCアンプの投入で、サンスイはプリメインアンプのシェア40%以上と一気にアンプ界の頂点に上り詰めたのです。
しかしレコードの再生などで、レコードに傷が有る場合など重低音域の電流がスピーカーに流れコイルを破損する事があります。
そこで、レコード再生時は10Hz以下の音をカットするサブソニックフィルターを付けるという工夫までされているのです。
CDの場合は、音源そのものに20Hz以下は入っていませんのでフィルターオフでも何らの問題もありません。
これらのDCアンプと38Cm口径以上のウーハーで聴く重低音は、もう音ではなく風圧を身体に感じるほどです。
大音量で聴くと、バスドラの重低音でテーブルの上のグラスなどがカタカタと揺れる事もあります。
本物の重低音、一度聴いたら確実に虜になります、こうしてハイファイオーディオの道にずっぽりとハマっていくのです。

デジタルオーディオ全盛期の現在、世の中にはユニバーサルプレーヤーなるものが存在しています。
このユニバーサルプレーヤーとは、現存する全ての映像と音楽の方式とファイルを再生できるという優れモノです。
DVD・ブルーレイ・CD・SACDは当然として、自身でPCを使って録画や録音したものまで再生することができます。
また、USBやブルートゥースにも対応しており、PCやスマートフォンからダイレクトに映像や音楽ファイルを再生することができるのです。
またPCが無くても、インターネットでPCのようにネット上のファイルを再生する事もできるオールマイティなプレーヤーです。
私はオーディオとホームシアターの共有メインシステムにはパイオニアのブルーレイ・ユニバーサルプレーヤーを使っています、1台でDVDからブルーレイやCDの再生とそれぞれのプレーヤーを繋ぐ必要がなく実にスマートにシステムを組むことができスペース的にも配線的にも重宝しています。
また、画質も4K対応で昔の1K映像も疑似4Kに自動でリアルタイムにエンハンスして出力するという機能まで装備しているのです。
画質は綺麗で音質もそこそこです、それなりのDACも積んでいるのでしょう、音質の評価でも外付けDACと大きな遜色はありません。
ハイファイオーディオと違ってホームシアターは割り切りが一番かもしれません、音質を極めるよりも愉しむことを重要視するのが長続きする方法だと思います。

どんな物事にも流動的に変化を繰り返す時期と、逆に一切の動きが止まる安定した時期が存在します。
企業においても然りで人材が常に入れ換わりを見せる時期もあれば、長期間同じ人材で物事が勢いよく進む時期とがあります。
安定期は物事が進み出すので、人材は安定期でも経営的には増収増益で活性化します。
オーディオもシステムというくらいで企業と同じように製品が次々と入れ換わる時期もあれば、音質のバランスが一旦取れてしまうとこれをいじりたくない時期があります。
これは本当に面白いものでそれぞれの製品の特性がピタッと合うことがあります、この安定した音質は何かを変えると異和感が出てくるようになります、だからしばらく変更する気にもならないのです。
そして、こういったシステムが安定した時にはシステムを考えずによくなるので音楽鑑賞に集中できるようになり、今度は予算をシステムからソースに切り替わるのでソースの数が増えていくのです、これも企業とオーディオのバランス感覚は同じです。
システムが動く時には本来の活動が止まり、システムが安定した時には本来の活動が活性化する、実に面白いバランスです。
オーディオやホームシアター道楽もこういった流動的な時期と安定した時期が繰り返しでやってきます、オーディオ道楽復活から5年ほどの流動期を得て、ようやく安定期に移行しかかっています。
流動的な時期はお金がかかるし、常に変化させているので各種に神経をとがらせては落ち着きません、それでも一旦安定するとそんな時期を思い出しては懐かしむのです。
私にとってのオーディオと経営は何か各種のポイントで相関性があるのです、そして道楽とビジネスとの摩訶不思議な一致、それは道楽が流動的ならビジネスも流動的になるということです、逆に道楽が安定すればビジネスも安定するのです。
陰陽思想でいう「陰極まれば陽極まる」という陰陽法則が当てはまるのです、いろいろなファンダメンタルズを学び道楽やビジネスに活かす、何事も上手く納める人とは道楽にも手を抜かないのです。

日々コレクションアンプやスピーカーの動作確認を兼ねた音質確認を行っているのですが、ここで面白い結果が表れてきて驚いています。
その面白い結果とは、90年代のハイコンポの音質が極めて優れているということです。
シャーシサイズに合わせて定格出力を下げ、高性能ながらも軽いトロイダルトランスを使用するなど各オーディオメーカーは安価ながらも音質を向上させた製品を大挙投入しました。
事実として、同年代の同メーカーの3倍以上もするミドルクラスのアンプよりも軽快な愉音がするハイコンポが多いのです。
設置も移動も軽量なので楽ですし、ダイニングや寝室で使うサブシステムに選んだ候補の多くがハイコンポだったのは必然でした。
低出力とはいえ、70年代のプリメインアンプ以上の出力でパワー不足はまったく感じません、むしろボリュームつまみが9時の位置でも大きすぎると感じるほどです。
オーディオ道楽黄金期は、サンスイの重量級アンプにダイヤトーンの大型ブックシェルフがメインだったので、小型ブックシェルフやハイコンポ類は確認のための投資という感じでろくに聴き比べもせずストックしてしまっていたのでしょう。
今考えるとなんてもったいないことをしていたのかと後悔しきりです、現在こういったハイコンポたちを存分に使ってあげようと各種の計画を練っています。
ハイコンポは音質が良く消費電力が少ないのも魅力で、高性能なプリアンプとチャンネルデバイダーを使ったマルチアンプシステムのパワーアンプとかAVアンプのプリアウトに繋いで音質改善とか利用方法は幾らでもアイデアが出てきます。
それが可能となるのはこういったハイコンポの多くがプリ部とパワー部を分けて使用できるというスペックになっているからです、これも驚きの機能なのです、80年代までは高級プリメインアンプにしか採用されていなかったスペックなのですから。
こういうスペックを見ても、パワーアンプ部の音質に自信があるという根拠を見つけることができます。
90年代のハイコンポ、何か急に親近感を覚えてしまいました。

ホームシアターを道楽にしている人なら今回の話しはすごく納得するはずです、それはリモコンが命という話しです。
近年のAVアンプやプレーヤー類には必ずモコンが付いてきます、そして多くの機能がリモコンが無いと操作できないのです。
リモコンが無くてもエアコンのように電源オンオフと基本的な操作は行えますが、各種のモード設定や音質効果の設定などは行う事ができません。
ミニサイズのエントリークラスですと、サラウンドの命であるサラウンドモードの変更さえもできないものが多数存在しています。
つまり「リモコンが無ければただの箱」、これが近年のホームシアター製品なのです。
これを裏付ける事実が有ります、オーディオショップにずらりと並んだ中古品、同じ製品で同じ状態でもリモコン有りと無しでは価格が倍以上異なるのです。
更には、中古ネットショップにはこれらのリモコンが1万円以上の価格で取引されているものもあるのです。
つまりこういうことです、下取りに出す際は10万円のホームシアター製品でも1万円以下です。
それならばと、リモコンだけネットオークションにかけて売ってしまい、リモコン無しのものは下取りに出す、こうするとトータルでは倍近い価格で売れることになるのです。
かくしてオーディオショップの店頭には、リモコン無しの役に立たない中古品が山と積まれているのです。
でも、これらはまったく役に立たないわけでもないのです、電気回路に詳しい人ならしっかりと使い物にしてしまうわけです。
AVアンプとはいえ、そのシステムのベースはオーディオアンプです。
リモコン無しでも使える基本部分は多数存在しており、設定を全てリセットしてパワー部だけを上手に組み合わせれば激安のシステムが構築出来てしまうからです。
知恵者はどんな世界でも得をするようです。