
オーディオ技術も時代と共に大きく進化し、そして常識も180度ひっくり返るようなことが起きます。
70年代中盤に起こった日本のオーディオブーム、当時は大型のスピーカーユニットを使って大きな面積で音を出すことが低音再生の基本でした、つまり面の時代です。
その後、マグネットやコーン紙の技術の進化により、またエンクロージャー技術の発展が加わり、小型でも低音域が綺麗に出るスピーカーが続々と誕生してきます。
面で空気を振動させるのではなく空気圧の押し出す力で空気を振動させるのです、更にその空気圧をエンクロージャーで共鳴させ有効に使う方式が多数編み出されてきます。
近年では小型スピーカーユニットを使い、一つの点から全ての音が発せられるのが良いという楽器と同じ原理を再現するようなスピーカーシステムが多数誕生してきています。
それに連れスピーカーがどんどん小型化し、狭い空間でも高音質で試聴できるようになってきたのです。
時代と共に技術が進化し常識が覆ってくる、どんな世界でもそうですがオーディオも多分にもれず時代と共に常識がどんどん変化していきます。
その技術の進化や常識の変化を積極的に愉しめる人もいれば、その進化や変化についていけない人もいます。
これもまたビジネス思考と極めて酷似していると思わざるを得ません、道楽での思考は確実にビジネスにも現れるようです。

オーディオ道楽と同時並行してのアンプコレクターは少なくありません、そんなアンプコレクターは頻繁にアンプを取り替えては愉しんでいます。
これはネットでの記事の話しですが、100台以上をコレクションしている人が週一で取り替えては愉しんでいるのだそうです。
私もそこまで頻繁ではありませんが、メインシステムやサブシステムとは別にスムースに入れ替えできるように設置したテンポラリシステムを組んでいて、月に数回アンプを入れ替えては音出ししています。
また、平行してこのシステムのスピーカーは2台づつセットし、3ヶ月で入れ替えるローテーションを組んでいます。
さて、アンプコレクターのこの頻繁にアンプやスピーカーを入れ替えては音を出して愉しむ裏にはどんな理由があるのでしょうか?
ここにはアンプやスピーカーごとの音質の確認以上に重要な理由があるのです、それは「大切なアンプに対して無通電状態を長期間置かないということと、大切なスピーカーのウーハーエッジを硬質化させない」という理由からなのです、つまりコレクションアイテムの正常動作を維持させる為に行っているのです。
80年代までのアンプには大型のトランスや電解コンデンサが使われています、これらは無通電状態が長いと劣化し寿命を短くしてしまいます、それを防止する目的で頻繁に入れ替えては通電させているという訳です。
スピーカーも長期間稼動させないとダンパーやエッジが硬化してしまいせっかく良い音で鳴っていたものも劣化の原因になってしまいます、硬質化したダンパーやエッジはちょっとした音量でもヒビ割れが生じたり穴が空いてしまうのです、その意味でアンプほどではありませんが適度に稼働させることが重要なのです。
アンプ100台なら週一でも一周りで2年かかります、この程度の無通電期間なら何とか劣化させずに維持できるでしょう。
私の場合は50台程度のコレクション数ですから月に一度で4年で一周りします、これがギリギリセーフの周期でしょう。
こんな厄介なコレクションはオーディオだけではないかと思うのですが、維持させながらその機種の音質の特徴も各種のスピーカーとの相性もしっかり記憶させることができるので、一石二鳥だということです。
また入れ替えにはけっこうな筋力を使いますから、一人で設置できなくなるほど筋力が衰えた時がアンプコレクションの止め時なのかもしれません。

ホームシアター道楽の復活で、先ず最初に60インチ4K液晶テレビを買ったのですが10年前と大きく違っていたポイントがあります、それは音声入出力用のRCA端子(コンポジット端子)が付いていないことです。
オーディオと言えば昔からRCAが基本で映像はS-VIDEO(S端子)でした、ところが2005年以降はデジタルインタフェースの普及でコネクタもガラッと変化してきます。
音声は光デジタルやデジタル同軸となり、映像を伴う場合はHDMIが基本になります。
それでも、つい最近までは互換性を保つために最新の機種でもRCA端子とS端子だけは残っていましたが、ほんの数年前からこれらも付かなくなっているのです。
更に、最近ではUSBオーディオが主流となり音声入力端子がUSBしかないデジタルアンプも誕生してきています。
アンプ部がアナログのオーディオ製品は何とかRCAコンポジットが付いていますが、この先どうなるか解りません。
レコードの復活で最新型のレコードプレーヤーも続々と誕生してきているものの、そのうちレコードプレーヤーもデジタルアンプに対応する為にデジタル出力されるようになるのでしょうか?
少なくてもレコードプレーヤーは、やっぱりアナログチックなRCAを残してほしいと思うばかりです、何故なら手軽にビンテージアンプの音質を愉しめなくなってしまうからです。
そんなわけで、私の手元には各種のコネクタに対応する為のアダプターや変換ケーブルが山のように在るのです。

最近のテレビコマーシャルやバラエティ番組のバックミュージックの多くに、私が大学時代や社会人になりたての頃に流行したモダンジャズがよく使われています。
こういったバックミュージックを聴くたびに当時を思い出すのですが、何故今こんなにも昭和な音楽が復活しているのでしょうか?
これはあくまでも推測ですが、近年の製作プロダクションの最高責任者の多くが私と同年代の人達です。
つまり当時のジャズは若者が未来しか見ていなかった高度成長期の時代の象徴であり、自分もよく聴いていた懐かしの音楽を選んでいるのだと思うのです。
そして当時のジャズやロックの多くが既に著作権がありません、つまり無料で自由に使えるのも後押ししているのでしょう。
その意味ではオーディオアンプのデザインも懐かしいデザインが復活しています、ヤマハは特にこれが顕著でここ数年のプリメインアンプのデザインは70年代の同社プリメインアンプのデザインそのもので70年代の同社プリメインアンプが最近の斬新なデザインのアンプのように思えてしまうのです。
こういった文化や学術の時代を越えた復活を「先祖返り」と呼ぶのですがファッションにも通じるようです、時々私が大学時代に流行ったファッションを身につけている若い人を見ると50年間の時代錯誤を起こしてしまうことがあります。
テレビなどでも取り上げられていたのですが、若い頃の両親や祖父母が着ていたファッションを写真などで見てかっこいいと感じてしまうようです。
時代は繰り返すと言いますが、まさかオーディオ文化が50年前に戻るとは流石に考えたことも無かったです。
そう言えばレコードやカセットテープ、更にはオープンテープやビデオテープなどのアナログ媒体も復活しています。
国民総貧困時代、でも皆が未来を見て強く逞しく生きていた元気で健全なる古き良き昭和の時代、そういう国民総前向き時代の文化の復活は大いに歓迎すべき社会現象なのかもしれません。
そしてオーディオ道楽復活で改めて驚いたのが、70年代~80年代のアンプの中古価格の高騰です。
名機と謳われた多くは当時の発売価格を上回り、当時誰も見向きもしなかったアンプまでも高値で取引されているのです。
ビンテージアンプコレクターの私としてはコレクションを売る気は一切無いので高騰しようが暴落しようが関係はありませんが、コレクションの価値が上がることに対して決して嫌な気持ちにはなりません。
古き良き時代の日本のオーディオ技術の崇高さ、現代の若い人が実際に手にして感動することは実に歓迎すべきことだと思います、こういった生きた善き経験を通した人が次代の日本のオーディオ技術を支えていくのです。
「感動」はどんな経験にも勝る明るい未来を切り開く原動力となります、何歳になっても日々感動して過ごしたいものです。
感動を通して右脳は活性化し肉体も精神も若返ります、感動することを忘れた人間の脳は老化し衰退していくだけです。

ヤマハから「サウンドシャワー」という名の商品が過去に発売されたことがあります、この言葉を最初に聞いたとき「音楽をシャワーを浴びるように全身で感じるオーディオか?」と思ったのですが全然違っていて浴室で使用可能な防水オーディオだったというオチでした。
この言葉が頭から離れずに何時かはシャワーを浴びるように音楽を全身で感じるオーディオ装置ができないかなんて考えているのです、間接照明が刺激がなくリラックスできるように間接音響もきっと心地良いと考えるのは極自然の思考です。
BOSEは「空間和音」という技術を創出し、空間で合成される音を最終的な音色としてスピーカー作りをしているオーディオメーカーです。
何かBOSEの空間和音での音作りにヒントが在るように思えるのです、例えば暴風雨の際の重低音域の音圧(風圧)は半端ではありません、身体が飛ばされるほどなのですから。
こんなにも物凄い音圧(風圧)でありながら耳には大きな音として感じません、これが音の空間合成作用により耳に聞こえる周波数が複雑な位相の合成によりキャンセルされて、合成されない重低音域だけが残るので身体が飛ばされる程の音圧(風圧)でもうるさく感じないのです。
こんなところに何かヒントが隠されているように思います、「サウンドシャワー」という発想を考えているだけでワクワクします。
中高音域はしっかり聴き取れているにも関わらず、ベースやバスドラの音で身体が揺れ髪の毛が飛ばされる、何か面白くないですか?
ということで現在間接音響の各種実験を日々行っているのです、面白かったのがスピーカーを壁に向けて間接音で聴いてみたときのことです、これが絶妙で体験したことの無い音場を作りだしました。
12帖ほどの部屋なのですがまるで大きなホールで聴いているかのような音響効果が出たのです、そして離れても横に移動しても音場がほとんど固定化しているのです、これはもしかして面白い装置が作れるかもしれません。