
オーディオに限らず家電製品には、昔から「オープンプライス」という販売制度があります。
このオープンプライスというのは定価を定めずに小売店が自由な価格で販売できるというもので、メーカーにも小売店にも幾つかのメリットが生まれます。
メーカーのメリットは、新製品を出して旧型になり在庫処分価格で卸しても定価の表示が無いので小売店が価格を下げなければ在庫処分だということがバレることはありません。
小売店も在庫処分価格で大量に買い取っても、旧来の価格で販売できるので利益率が上がりメリットが享受できます。
ただし困るのがマニアです、マニアはデーターが重要でいつ発売されたのか定価は幾らだったかが重要なデーターであり、オープンプライスだと定価が解らないので中古で購入する際などに躊躇する傾向があります。
オーディオの中古市場でもこの傾向が明確に現れているのが解ります、定価を表示していない(できない)製品は大量に売れ残ってしまいます。
ヒット商品だったのかコストパフォーマンスの良い商品だったのかなどの情報を、定価と販売価格との差から計ることができないからです。
メーカーや小売店にとっては都合の良いオープンプライスという制度、オーディオマニアにとっては実に迷惑な制度だと思うのです。
そこでオーディオマニアが参考にするのが発売当時の実売価格という指標です、オーディオショップや量販店での実売価格から本来あるべき定価を導き出しているのです。
できないものはできる方法を策定する、どの分野においても前向きに取り組む人が勝者となるのです。

今ではCDレシーバーやエントリークラスのAVアンプにおまけのように付いているFMチューナーですが、音質が良いとはいえあくまでもオーディオソースとしてはFMラジオです。
でも大学時代はそんなFM放送もジャズ特集などをオープンリールデッキで録音しては楽しんだものです、レコードを買う前の内容の事前チェックもできて当時は実にありがたいソースだったのです。
レコードを買うと高いので録音で我慢するのですが、時が経てば結局最終的にはレコードがどんどん増えていきFM放送を聴くことも少なくなります、そしていつの間にかFMチューナーはお飾りとなってしまうのです。
このFMチューナーですが意外な使い方があるのです、それはアンプが故障したときやスピーカーを自作するときなどのテスト用ソースとして極めて手軽でいいのです。
私はこういったケースには小型軽量で扱いやすい90年代に発売されたハイコンポ用のFMチューナーを使っています、CDでジャズやポップスの音を確認してFMチューナーで人の声のテストを行うのです。
FM放送は何時の時代にも必ずニュースや音声ドラマなどが流れています、人の声は極めて重要で音の基本かと思うくらいに中音域中心でこれを生声の様に綺麗に再現する必要があります。
中音域が綺麗だと低音や高音が伸びていなくてもある程度の満足感が得られます、逆に中音域が引っ込んだような音だと小音量でもうるさく感じてしまうのです。
電源オンで各種の音源が得られるFMチューナーは、ある意味では最も手軽なリファレンス音源だと思います。
ちなみに時々聞きたくなるバロック音楽はFMの特集で好きになったジャンルの一つです、わざわざCDを買ってまで聞くまでもないようなジャンルもFMチューナーなら手軽に楽しめるのです。
また、寝起きのコーヒーを飲みながらのFM放送のニュースはテレビを観るよりも疲れが無く快適です、目からの情報は意外と頭が疲れるのです、朝の自覚のないストレスはボディブローのように午後になると襲ってきます。
また就寝前の時間も私のFMタイムです、夜間は静かな曲を流す番組が多いので聴き流しには好都合なのです。
オーディオファンなら、確実に1台はしっかりした音質のFMチューナーを寝室などのサブシステムにセッティングしておくことをお奨めします。

最近のホームシアターでは昔のようにプロジェクターではなく高画質の4K大型液晶テレビを使うのが一般化してきています、ここでテレビを使うのですからホームシアターを愉しむだけではなく通常のテレビとしても観る機会が多くなります。
この場合にテレビの音声をそのまま聴くのでは芸が無さ過ぎます、せっかくのホームシアターシステムなのですからテレビ単体での音声もホームシアターシステムの高音質疑似サラウンドで大いに愉しみましょう。
この場合の接続方法ですが、もっとも簡単なのはテレビのHDMIが音声出力に対応していればテレビとAVアンプを繋ぎ、入力セレクタで繋いだコネクタを選択すればDVDやブルーレイと同じようにテレビ音声を疑似サラウンドでしかも高音質で愉しむことができます。
また光デジタル音声出力やアナログ音声出力が出ている場合はそれを使っても実現します、最悪でもイヤホンジャックにRCA変換ケーブルを使って音声出力を取ることも可能です。
どの方法をとってもテレビのスピーカー出力はミュート(消音)にしてテレビ自体から音声が出ないようにする必要があります、要は原理を知ってテクニックを駆使すれば何でもできるということです。
またテレビドラマをDVD化されたものも多く販売されていますが、これらの音声は映画の音声のようにサラウンド対応ではなくステレオもしくは疑似ステレオになっています。
したがってAVアンプのモードはステレオ5.1Chにしないと音声が綺麗に再生されません、もしくはステレオモードでサラウンドをオフにしてフロントとセンターだけにした方が音質的にはナチュラルで愉しめます。
更に昔のドラマは全てモノラルですからAVアンプのソースモードをモノラルにして音質だけを高めるようにした方が効果的です、ソースに合わせていろいろやってみて経験として学ぶことが重要です。

数年前に還暦を越えて五十肩を患いました、自分は大丈夫だと思っていたら多分にもれず突然のように襲われました。
五十肩とは「肩関節周囲炎」の複雑な症状で、間接周辺の筋肉や筋などの組織が同時多発的に作り変わる際に起こる炎症だと言われています。
特に上半身を使うスポーツをやっていた人に起こり易く、大きな力を一気に出せる構造から小さな力を継続して出せる構造へ進化する過程で起こる症状です。
オーディオ道楽復活からちょうど1年目に発症し、腕をちょっとひねっただけで激痛が走り往生しました。
でも不思議なことにオーディオ道楽をやっている時にはこの痛みが気にならないのです、重いアンプでは30Kg近くもありラックにセットしたり移動するのは男性でも一人だとかなり厳しいものです。
ストックラックの最上段は150Cmほどの高さで、完全に腕を伸ばして上げないと置けません。
この伸ばして上げる運動が一番痛いのですが、何故かアンプやスピーカーだと傷みが無く力が入るのです。
五十肩は1年ほどで自然に治るらしいのですが、早く治すには痛みを堪えてリハビリを行うとよいという医師の記事もあります。
また、友人も医師からリハビリの方法を教えてもらい実行したら楽になったと言います。
そのリハビリですが、力の入れ方がオーディオ道楽での移動やセットする際の動きとよく似ているのです。
いずれにしても厄介な五十肩ですが、オーディオ道楽には特に大きな障害になることもなく自然に約1年で収まったのです、オーディオ道楽がリハビリになっていたのかもしれません。

オーディオ道楽とはオーディオだけに限らず多くの知識が自然に身につくものです、中でも身につけておくとオーディオ人生の楽しみが倍増するのが各種のインターフェースとオーディオ機器の電気的な知識です。
それ故にオーディオとはある意味では電気工学と音響工学そのものであり、道楽というよりも学問の学びと同じような性格のものだと思います。
特に各種ソースの媒体による信号の性格、アンプやプレーヤー類の接続に関わるインターフェース、音そのものの性格による音響工学、この知識が更に良い音を作り出すために必要になってきます。
これらの結果において最終的に音になるわけですが、音そのものは空気振動であり耳にどのように入ってくるかなどまでノウハウが必要になることもあるのです。
さて、このような知識とノウハウが貯まってくると自分の思うようにオーディオ機器を繋ぎ好みの音を作っていくことが可能になります。
例えばCDプレーヤーとアンプの間にノイズリダクションと音質向上の目的でラインアンプを入れるとか、パワーアンプだけでCDを聴くとか、不要な機器を外したり必要な機器を加えたりと自由自在に音を作り愉しむことができるようになります。
基本的に信号の種類と電気的特性が同じであればどのような機器でも接続することが可能であり、場合によってはホームオーディオ用の機器とPA用の機器も各種の変換ケーブルを駆使すれば混在させることができます。
これは先ほど説明したようにコネクタの違いこそあっても、信号の種類と電気的特性が同じなのでコネクタの変換だけを行えばよいわけです。
また85年以前のアンプには「CD」入力端子がありません、でも「AUX」に繋げば問題なく接続できます、こういった知識が更にオーディオの愉しみを味わい深いものにしていくわけです。
時間をかけて、そして実体験を通して各種の知識とノウハウを身につけて大いにオーディオを愉しんでほしいと思います。