
ホームシアターシステムではフロントスピーカーにトールボーイ型を使うのが一般的な常識として存在しています、これには2つの大きな意味と理由が存在しているからです。
一つは接地場所と面積の問題です、中央に大型のスクリーンや液晶テレビを置くので部屋が充分に広いのであれば問題ありませんが、できるだけ画面を大型にしたいと考えるとどうしても設置面積の狭いスピーカーが要求されます。
その意味において、縦型にして容量を稼ぎ低音域まで出せる方式が考えられたのです。
もう一つが凄く重要な意味と理由があります、それは画面中央からボイスが聞こえるようにするためです。
通常のホームシアターシステムではフロントスピーカーが両サイド、センタースピーカーは画面の下に置きます。
そうすると、画面の中央からボイスを出そうとするとフロントスピーカーのスコーカーとツイーターは画面の上方向に来ていなければなりません。
ボイス成分は、フロントとセンタースピーカーに同じ音量が出るようにサラウンドで振り分けられています。
つまり、フロントの2つのスピーカーとセンタースピーカとの三角形の中心地点が画面の中央になるようにする必要があるのです。
この意味でもっと重要なのがこの3つのスピーカーの音量が同じである必要があるのです、つまり同程度の音圧のスピーカーを使う必要があります、この理由から画面の上側にスコーカーやツイーターを持ってくるために縦型のトールボーイ型が考えられたのです。
逆説的に言うと、この条件を満たしていればトールボーイを使う必要はないのです、これらの2つの条件を満たすのがトールボーイ型であるということだけです。

デジタル全盛時代ですがオーディオも然りです、例えばイマイマの音楽ソースはPCをメインにしている人も多く、CDなど嵩張るだけで面倒くさいと考えている人も多いでしょう。
そんな時代を象徴するかのように世の中にはUSBアンプやDACが溢れています、こういったデジタル機器は何れも新しいデジタルICなどが生まれると一気に陳腐化してしまいます、また価格もスペックとは逆行し安価になる一方です。
こんな時代には音質を決めるDACの性能が音的な価値ということでは全てであり、どんなハイエンドなCDプレーヤーを買ったところで数年後にはその時代のエントリークラスの音質に敵わないなんていうことも起きえるのです。
その意味で私はCDプレーヤーはデジタル音源の出力装置と割り切ってデジタル出力付きのエントリークラスを選んでいます、エントリークラスとはいえフルサイズコンポのそれなりの価格の物でないと安心できませんので何でも良いというわけではありません。
その代わり、DACはその時代のミドルクラスやハイエンドクラスに採用されているスペックを持つものを買って外付けで音質をフォローするスタイルにしています。
こうすることで、新しいスペックが出れば対応のDACを購入すればCDプレーヤーはそのまま使えます。
逆にCDプレーヤーが壊れても、その時代の安価なエントリークラスを買えばDACはそのままで以前の高音質のまま愉しめるのです。
初期の頃のものは別にしてデジタル時代のCDプレーヤーやDACに骨董価値はおそらく生まれません、そこがオールアナログ時代の製品と大きく違うポイントかもしれません。
稀に往年のハイエンドCDプレーヤーやハイエンドDACが高値で取引される事があります、これはその時代の最先端の音を聴きたいというニーズと歴史的工業品としての文化的価値を見い出してのことです。
またハイエンドでなくてもその時代のDACの音色が好みであれば必然的な価値が生まれ骨董価値も出てきます、事実世の中にはそういった特徴的な音色のDACは高値で取引されています。
昔のDACの音ってこんな音だったのかと往年の音色を懐かしむようなニーズが将来確実に生まれるでしょう、レコードやカセットテープが復活するのですから何が起きてもおかしくないのです。

いつの頃からだろうかハイエンドアンプからトーンコントロール機能が消えたのは、これは日本だけではなく海外のハイエンドオーディオ製品も同じような傾向になっています。
確かに以前はスピーカーに合わせて音質を調整することはありましたが、最近ではソースダイレクト機能を使って不要なコントロール部分を全てバイパスしパワーアンプ部分だけで聴くようになってきています、つまり使うのは電源スイッチとボリュームだけなのです。
ハイエンドなアンプには当然ハイエンドなスピーカーを使うのが普通です、その意味ではプリメインアンプに求められるのは入力セレクタと音量コントロール、そして小音量で聴く場合のラウドネス機能、レコードプレーヤー用のイコライザーとサブソニックフィルター、この程度があれば充分なのです。
トーンコントロールはフルレンジや未熟なスピーカーを使う場合には音質の補正という意味で重要な機能なのですが、ハイエンドアンプに安価なブックシェルフや自作のフルレンジを繋ぐ人はいないでしょう、それよりも余計な回路を排除してできるだけクリアな音質を創出したい、そんな意味合いが強いように思います。
また、オーディオ歴が長くなればなるほどトーンコントロールを一切使わなくなるのです、これは本当に不思議なことですが多分にもれず私もそういう過程を踏んで今があります。
オーディオ歴が浅い頃はいろいろ音を変えては楽しむものですが、徐々にソースダイレクトが実は最も聴きやすい音質だということが解ってきます。
そして、いつの日かトーンコントロール機能の無いハイエンドアンプを買い求めるようになるのでしょう。
性能の良いスピーカーがあればCDプレーヤーをダイレクトにパワーアンプに直接繋いで聴いてみてください、誰もがトーンコントロール機能は不要だと思うでしょう。

先ず最初に一言ですが、センタースピーカーはホームシアターシステムの必須なるスピーカーであり決してお飾りではありません。
ある意味ではフロントスピーカー以上に重要になります、その理由はこの記事を読んでいただければ納得してもらえるでしょう。
通常のホームシアターシステムではフロントスピーカーが画面の両サイドに設置し、センタースピーカーは画面の中央真下に置きます。
そしてサラウンドシステムの特性上、この3つのスピーカーにボイス成分が振り分けられています、サラウンド方式によってはセンタースピーカーだけに振り分けられる場合もあります。
一般的なサラウンド方式の場合にはボイスを画面の中心から綺麗に出そうとすると3つのスピーカーの位置と音量バランスが重要になってきます、映画鑑賞ではボイスが画面の中央から出ていないと気持ちよく愉しめません。
したがってフロントスピーカーのスコーカーとツイーターは画面の左右上方向に、センタースピーカーが画面の中央真下に設置すという理論が足り立つのです、つまり3つのスピーカーの逆三角形の中心が画面の中心と合っていなければならないのです。
この意味において、もっと重要なのがこの3つのスピーカーの音量が同じか若干センタースピーカーが高めである必要があるのです、つまりこの理論からセンタースピーカーはフロントスピーカーと同程度もしくは高めの音圧のスピーカーを使う必要があります。
こういった事情でセンタースピーカーの役割を考えるとセンタースピーカーが如何に重要かが解ります、たった1つの小さなスピーカーですがホームシアターでは極めて大きな意味を持つスピーカーなのです。
私はハイエンドからミドルクラスの沢山のセンタースピーカーを持っています、ホームシアター熱が最大の時では保有数が10本を超えていました。
その意味は、フロントスピーカーを入れ替えたときにそのスピーカーと音質や音圧が合うセンタースピーカーが不可欠だという事を経験上学んだからです。
その時々のフロントスピーカーによってセンタースピーカーとの相乗効果を最大にする為にどれほど苦労したか解りません、ホームシアターシステムを新たに組む際に最後まで決まらないのが常にセンタースピーカーなのです。
フロントスピーカーに対して音圧と音質が上でも下でもなく丁度良いものを合わせなくてはバランスが取れなくなるのです、多くのホームシアターファンはフロントスピーカーは上位機種にどんどん変えていってもセンタースピーカーは以前のものをそのまま使っている人が多いです。
これではボイスが飛び出してこないのでサラウンドも効果を発揮できません、センタースピーカーを変えただけで音場の迫力がガラッと変わるのです。

1986年初頭に日本のオーディオ界に激震が走ります、世にいうアンプ798戦争の勃発です。
きっかけは、サンスイが高性能プリメインアンプのAU-α607を¥79,800で発売したことに起因します。
これに追従するかのように1986年以降は、ソニー・オンキョー・ケンウッド・ヤマハなど多くのオーディオメーカーが798でこれでもかとハイスペックな製品を投入してきます。
特にソニーは物量勝負をしかけます、大型トランスやコンデンサで電源を強化し非金属の1枚形成強化シャーシを使い、資金力にものを言わせての重量級製品を投入しました。
そんな中でマランツのとった戦略が実に素晴らしいのです、物量勝負ではなく他社製品と比べてもまったく劣らぬ高性能なアンプを80%程度の低価格で価格戦略を繰り出したのです。
その先兵がPM-80(1989年発売、6.5万円)で、なんとA級とAB級をスイッチで切り替えられるということもあってかクラシックファンからジャズやロックファンまで広く受け入れられ、あっという間にシェアを奪いました。
このPM-80は多くのファンを取り込んで空前の大ヒット&大ロングセラーを続けました、ただシェアを奪われたのはサンスイではなくソニーやオンキョーなど対サンスイ連合艦隊だったという皮肉な結果を生みます。
更にサンスイは1990年に入って798を脱し機能を強化し価格を1~2万円ほど上げてきました、これに対抗するかのように他社も同様に価格を徐々に上げてきます。
しかし、ここでもマランツは再度PM-80a(1994年発売、7.5万円)を投入し再度価格戦略で勝負をしかけます、これもまたズバリ的中しPM-80と同様の結果を齎します。
デノンのデジタル移行化戦略、マランツの価格戦略、こういったオンリーワン戦略を繰り広げたメーカーがオーディオ氷河期を自助努力で乗り越えられたことはあまり知られていません。
現在この両ブランドは資本提携によって共存共栄する一つの経営母体となりました、唯我独尊という経営戦略指向で意気投合するのは当然なのかも知れません。
道楽性の強いオーディオ製品もメーカーの経営にはシビアな経営戦略がものを言うのは当然のことです、こういったオーディオ史を学ぶと経営戦略という生きた学びも同時に得られるのです、私も事業推進や経営戦略策定に大いに参考にしたものです。