
私が小学生の頃に日本発の真空管式のコンピューターが誕生し、その後急速にコンピューターが進化しました。
中学生のころからコンピュータに憧れていた私は高校は電子工学を学べる工業高校に進学し、大学は当時コンピューターを自由に使える唯一の工学部を持つ大学に進みました。
そして大学卒業後はコンピューター業界へと進み、プログラマーが皆無の時代にソフトウェア業界にシフトしていきます。
つまり、私の年代はコンピューターの歩みと人生がシンクロしているので順次最新技術に触れる事ができ自然な形でIT技術とデジタル工学を学んでいけたのです。
その点では2000年以降にIT業界に入ってきた人は大変です、過去の事例や技術を学ばないと今に活かされた技術の核心が解らないのですから。
現存するOSやアルゴリズムの多くは、全て80年代から90年代に確立され進化を遂げてきた技術です。
したがって、そのアーキテクチャーの根本原理を知らないと100%活かした新たなアルゴリズムを生むことができないのです。
だから今、ITアーキテクチャやアルゴリズムの権威と評される人は皆60歳以上という高齢者ばかりなのです。
なので若い人は後追いで過去の核心技術を学ぶ必要があるのです、今習得すべき技術と過去の技術の両方を学ぶのは相当厳しいと思います。
オーディオ道楽も然りなのです、オーディオもITとほぼ同時期に同様に進化してきたのです。
私が小学生時代に真空管だったオーディオ製品は中学時代にはトランジスタに、高校時代にFETやパワーICに推移していきます。
その時代を代表する回路や部品、またメーカー別製品の特徴もオンタイムで少しずつ覚えていけば良かったのです。
オーディオソムリエではありませんが、私は過去の製品の品名を聞けばメーカー(ブランド)・発売年・価格・増幅回路方式(アンプ)・ユニット構成(スピーカー)・エンクロージャータイプ(スピーカー)・特徴をほぼ完璧に言い当てる事ができます。
これは、少しずつ覚えていけば良く無理なく自然に記憶できた産物です。
冒頭のIT同様にオーディオも最近始めた人は大変です、メーカーによる製品の特徴も誕生した経緯も知らないので同じ金額でも価値のある製品を目利きすることができません。
その時代の価値のある製品は必ず将来プレミアムが付きます、またその音色は独特の価値ある音なのです。
「経験に勝る術は無し」、道楽の世界でも例外なく通じるようです。

既に10年以上も前になりますが、ホームシアターでの複雑なスピーカーの音量調整や音質調整をサラウンドモード毎に自動で設定するオートマチック設定機能付きAVアンプが誕生しています、現在では7.1Ch以上のAVアンプのほとんどがオートマチック設定機能が付いています。
このオートマチック設定機能は専用のマイクをAVアンプに接続して、このマイクを視聴位置に置いて自動設定モードにすると各チャンネルから音を出しながら調整を自動で行ってくれます。
AVアンプの各チャンネルの音量バランスから音質などの設定は意外と面倒で、視聴しながら少しづつ微調整を行い最終的にこの状態がベストという設定を得るのに数日かかることもあります。
また一度安定してもセンタースピーカーやサラウンドスピーカーなどをグレードアップした場合には1から全てやり直しとなります、更には面倒な調整をサラウンドモード別に行うのですから、何も気にせずじっくりとホームシアターを愉しむ為には避けて通れない面倒な手順だと思います。
こういった面倒な調整に嫌気を指してAVアンプを嫌い手軽にサラウンドを楽しめるサウンドバーに移行する人もいます、こういったユーザー泣かせの面倒な手順をできるだけ簡単に行ってくれるのが先のオートマリック設定機能ということです。
ただ、各スピーカーを同じシリーズで揃えている場合は良いのですが、自分の好みでアレンジしてスピーカーを接続している場合はこの自動設定モードは不要な長物のように感じることがあります。
何故なら自動設定のバランスが自分好みではない場合が多いからです、私の場合はこの気付きがあって以来全ての調整をマニュアルで設定するようになりました。
フロントとセンターをまずベストにマッチングさせれば合わせるようにサラウンドを設定すればよく、慣れてくると全てマニュアルでやった方がソースに合わせて自分の好みの臨場感を即座に創出できるのでむしろ都合が良いのです。
音楽や映像のソースは供給元によって、また時代によって驚くほどにバラバラです、であればそのソースを試聴しながら調整するほうがソースに入っている音を最大限に引き出せるのです。
車も私は断然マニュアル派です、加速感が得られないオートマチックはどうも運転してる感が少なく好きになれません。
同じようにホームシアターも面倒でも自分好みの音質へのグレードアップ感が得られるマニュアルが好きなのです、何でも他者にやってもらうことがあまり好きではないのかもしれません、全てを自分でやるのが私的だと思うのです。

バブル景気が崩壊した90年代の前半、突然のように各社から安価で小型のミニコンポが揃って売り出されるようになります。
最初は横幅30Cm前後のミニコンポ、更には25Cmになり、ついにはハーフサイズの20Cm幅のマイクロコンポと年を追うごとにサイズはどんどん小さくなっていきます。
その中で、システム販売と並行して単体でも発売される高音質のミニコンポやマイクロコンポの製品群をハイコンポと呼ぶようになりました。
こういったハイコンポ、特徴的な製品の幾つかをコレクションしていますが改めて全製品の音質を確認しました。
6万円前後が主流のミニコンポアンプどころか4万円が主流のマイクロコンポアンプの音質が本当に驚くほど良いのです。
定格出力こそフルサイズコンポに比べると半分にも届かないのですが、出力の低さはどのアンプもまったく感じません、むしろ普通に使う分には適正な出力だとさえ感じます。
更には同年代の各社のエントリークラスのフルサイズコンポの価格よりも30%~50%程度高額な定価設定です、定格出力をあえて下げてでも価格に見合う音質向上を目指したことは明らかです。
逆の見方をすると、ハイコンポ全盛時代に誕生したデノンのPMA390を代表とした各社の薄型エントリークラスのフルサイズコンポは極めてコストパフォーマンスが高いとも言えます、この薄型エントリークラスのアンプも同年代に別の熱き戦いが繰り広げられたのです。
ちょうどこの時代には高性能な小型ブックシェルフが次々に誕生してきました、日本だけではなく世界中のオーディオメーカーが口裏を合わせたかのように同じ傾向になっていきました。
その高性能な小型ブックシェルフと合わせたハイコンポの音質は極めて相性が良く驚くほどの高音質なのです、考えるにどの時代もアンプの音質の傾向はどうもその時代に主流となっているスピーカーの音質に合うように作られているのではないかとさえ思えるのです。
どのメーカーのハイコンポもフルサイズコンポのエントリークラスアンプ以上の音質で、低音域から高音域まで見事に伸びており中高音域のメリハリのある音色はどのジャンルもバランス良く聴かせます。
試聴で改めてハイコンポの実力を再確認しました、各メーカーのそれぞれがサイズに見合わぬ実力機揃いで本当に凄いの一言です。
時代を越えた各種のアンプとスピーカーを繋ぎ換えては聴き比べをすると、これまでに見えなかったものが見えてくるようになります。
オーディオ道楽前にはここまで徹底して短期間で各種の機器を聴き比べた事はありませんでした、この生きた経験は必ずどこかで大きく役に立つことでしょう。
何故なら過去にも意味も理由も無く私が物事に没頭することはないからです、没頭する事には自覚が無いだけで未来のどこかで意味と理由がちゃんと存在していることを知るのです。

スピーカーユニットで、特にウーハーやフルレンジはしばらく使っていると自然に本来のユニットの持つ音質に変わってくると言われています。
これを、熟成させるという人もいますが正しくはエージングと言います。
靴は履き慣らして捨てる前が一番しっくりと足にマッチするように、スピーカーもエッジが劣化してきて破れる直前が一番良い音がするのかもしれません。
ただ、私的には硬く締まった音が好みですから、エッジが柔らかすぎるユニットは敬遠する傾向があります。
私の経験の中で、エージングによって最も音が変化したのは12Cm口径のフォステクスのスピーカーユニットFF-125です。
買ったばかりの頃は、中音域と高音域がうるさく感じて長く聴くことが出なかったのですが、数日鳴らし込んでみると低音域も伸びてきて全体的にバランスが取れて聴きやすい音に変化してきたのです。
正直、他のスピーカーで鳴らし込んで音が劇的に変化したという経験はほとんどありません。
ただ、数年間使ってなかったスピーカーを久しぶりに聞くと、ちょっと音が変わった気がするのは確かです。
これを、しばらく鳴らしているとまた元の音に近付いてきます。
スピーカー自体はパワーをかけて鳴らしていると熱を発します、この熱によってコイル近くのダンパー等が柔らかくなることが考えられます。
まあ、効果の程は解らないのですがエージングを日本語では「枯化(こか)」と言います、つまり枯らしているわけです。
音が良くなると言われて、音楽を聴かないのに数日間鳴らし込むというのはどうなのかとも思います。
もしかして、マニアの言葉を鵜呑みにしてスピーカーの寿命を縮めているだけなのかもしれません。

近年のオーディオ界にもデジタル化の波が押し寄せています。
オーディオと言えば昔からアナログの世界です、何故なら音という世界はアナログな存在ですから最終的にはアナログでしか音を聴くことはできないからです。
それでも、最終段までオールデジタルというデジタルアンプやデジタル音源が氾濫するようになっています。
そこでそういった機器類の多くはリモコンで操作する機器が増えており、リモコンが壊れると本体だけでは何もできない機種も多くなりました。
特にホームシアターで活躍するブルーレイプレーヤーやHDDレコーダーなどは、今では操作の全てがリモコンによるものになっています。
ここで何が問題かというとリモコンが壊れてしまった時です、勿論新しいリモコンを買えば良いのですがリモコンの価格がけっこう高いのです、更に古い機種になると既に製造中止のものまであります。
そこで自分で修理しようと試みても100%修理不可能です、最近のリモコンは修理することを前提に製造されていませんし、防水処置で電池交換の蓋以外は開かないように密閉されているものが殆どです。
また、仮に分解できたとしても昔のようにボタンが付いているわけではなく、薄い表面皮膜がスイッチの代わりをしているので接点を磨くくらいしかできないのです。
多くのリモコンの故障は、内部にあるマイコン自体もしくは周辺ICの故障であり圧着製造なので交換すらできません、また交換用部品も手に入りません。
こういったトラブルを解消する方法は、購入の際に価格は高くても名の通ったブランド品を購入するというのが一番です。
何故なら、名の通ったブランドであればかなり古くてもその機種を操作可能な純正リモコンやそのリモコンが既に生産中止になっていてもアップグレードの代替え品が必ず存在しているからです。
更に、数社のブランド製品を一台で操作可能なマルチリモコンという製品がありますが、マルチリモコンも名の通ったブランドが対象となっています。
マルチリモコンは専業のメーカーが存在しており、純正品に対して半額ほどの価格で新品が購入可能です。
つい価格が安いので無名の機種を買ってしまうと、リモコンが壊れたとリモコンを探すも中古で1万円以上もするものを購入するしかないという悲劇が後々生まれるわけです。
こういった意味からも、リモコンで操作するオーディオやホームオーディオ機器は必ず日本製の名の通ったブランド品を購入する事をお薦めします。