
ホームシアターではサラウンド効果による音場作りが必須です、それを手軽に楽しめるように考えだされたサラウンド方式とはどのような原理によってなされているのでしょうか?
最新のドルビーアトモス方式は録音の時からチャンネル別のストリーミングを行っているので除外するとして、多くのサラウンド方式のベースはステレオ録音です。
つまり、2つのマイクで音を録音してステレオでの録音情報から各チャンネルの音を疑似的に作り出しています。
70年代には既にマトリックス方式というサラウンド効果を楽しめる回路が考えだされ、電子工作マニアを中心に楽しまれていました。
これは左右のチャンネルの成分の比率を変えてミックスした後にエコーをかけてリア用のチャンネルに振り分ける代物で、これがその後のサラウンド方式のの基本原理となりました。
この技術の凄いところはモノラルから周波数別に分離編成して疑似ステレオを作り、更にそれを元に疑似サラウンドにした疑似4Chという方式まで考え込まれていたことです。
ここで5.1Chを例にとって、それぞれのチャンネルの成分の振り分け方を説明しましょう。
こういった情報は一切公開されてなく、昔のマトリックスサラウンドの原理と実際にそれぞれのチャンネルからどの成分が出ているかを自身の耳で確認した結果からの総合判断ということを最初に能書きしておきます。
まずフロントの左右は基本のステレオでの音情報そのものです、センターはフロントの左右チャンネルから中高音域だけを取り出してミックスさせています、したがってセンターからは左右の音がミックスされた中高音域だけのモノラル再生ということです。
また、同様にサブウーハーは左右チャンネルから低音域だけを取り出してミックスしたモノラル再生ということです。
面倒なのがリアのサラウンドチャンネルです、まず右サラウンドチャンネルはフロント右チャンネルにフロント左チャンネルの中高音域成分を20%~30%の量でミックスしエコーをかけています。
同様に左サラウンドチャンネルは、フロント左チャンネルにフロント右チャンネルの中高音域成分を20%~30%の量でミックスしエコーをかけています。
このリアのサラウンド用チャンネルの成分の比率とエコーの遅延タイムを変えてAVアンプメーカーの各社仕様のサラウンド方式を作り上げているのです、またリアチャンネルはイコライザーで音質の調整を行っているAVアンプが殆どです。
どんなことでも原理を知ると応用も可能です、今の時代のようなAVアンプが無い70年代のマニアは、こういう原理を元に独自にそれぞれの方式をDIYしては大いに愉しんでいたのです。

10年ぶりにオーディオ道楽を復活させ、以来毎日のように世の中の最新オーディオ情報を得るために雑誌の購読やネットなどでの情報を愉しみながら得ています。
オーディオの世界は私が封印していた10年間に大きく変化していました、まず驚くのがオーディオの世界も二極分化を起こしており低価格のエントリークラスの製品と高価格のハイエンド製品に製品化が集中しており、ひと昔前のミドルクラスに製品が集中していた時代とガラリと変わっています。
つまり売れ筋がエントリークラスとハイエンドということになります、ただどうしてもそれが欲しい場合は別として見栄だけでハイエンド製品を買うのはどうかと思うのです。
静かな地方の広い部屋で高音質のSACDでクラシックを聴くのであればハイエンド製品は充分にその存在感を示してくれます、でも騒音の響く都会の狭い部屋でハイエンド製品を買ってもその価値を出せずに無駄な出費となります。
それよりも都会であればエントリークラスの製品を買って音楽ソースにお金を回す方が余程オーディオを大いに楽しめるのではないかと思うのです、オーディオは気楽に楽しめる方が良いです、下手にハイエンドの高級オーディオを買うと楽しむ前に本当に気を使ってしまいます。
友人を呼んでの家飲みなどは難しいでしょう、過去に社員などと家飲みして翌朝アンプやスピーカーにアルコール類の飛んだ後や油成分での指の跡などがべったりついていて、その汚れを落としながら気が滅入ってしまったことがあります。
パーティを行う部屋に置くオーディオ製品は汚されても壊されても気にならないものが一番いいです、そういう意味でオーディオルームのメインシステムとパーティを行うリビングのセカンドシステムを綺麗に使い分けるのも一考です。
勿論リビングのセカンドシステムは汚されても壊されても良いというわけではありませんが、自分自身が酔って汚してしまうかもしれません。
オーディオシステムの使い分け、製品も二極分化なら使い方も二極分化で対応するのがよろしいようです。
これオーディオDIYの記事で取り上げるほどの製作なのかな?
フォステクスの10CmフルレンジスピーカーP-1000Kを、フォステクスのP-1000K専用エンクロージャP-1000Eに取り付けてみました。
「かんすぴシリーズ」の最上位製品で本来は小型デジタルアンプも付いたDIY入門者向けセットですが、数千円の安価なデジタルアンプは不要なのでユニットとエンクロージャの単品をそれぞれ別々にネットショップで購入しました。
左右ペアセットで送料込みで1万円程度、DIYオーディオ超初心者向けとして手軽にオーディオDIYを楽しむスターターキットとしてはお奨めの製品です。
フォステクスP-1000K 10Cmフルレンジスピーカーユニット

フォステクスP-1000E 組み立て済み専用エンクロージャー

ユニットの結線に半田付けは不要で、端子をカチっとはめて後はネジでユニットを固定するだけで終わりです、1台当たり5分もかからず完了してしまいます。
最も時間がかかったのが、ユニットをまっすぐに固定するための予備穴マーキングです、これでDIYキットといえるのかは疑問が残るところです。
夏休みの工作で、お子さんにスピーカーを作る喜びを教えるには良い教材かもしれませんが、大人にはちょっと物足りなさ過ぎて面白味がないです。
あっという間に完成!


自動車や家電などではオーバーホールというメンテナンスサービスが存在しています、オーバーホールは医療でいう蘇生手術と同様で古い機種を全て分解して悪い個所や部品を直しながら新品の時と同様の性能が出るようにするサービスです。
例えば、40年以上経ったボロボロになったアンプが当時の元気な姿で再度使用できるようになるのです。
フルオーバーホールされたサンスイAU-6500
綺麗に傷防止テーピングや湿気防止のラッピングされて戻ってくる

この究極のメンテナンスとも言うべきオーバーホール料金が半端じゃありません、技術者が全て手作業で行いますので当然かもしれませんが、既に手に入らない部品まで手に入れて交換するのですから手間と時間を考えれば相応の料金だと思います。
交換された部品は、このように別袋に入って付いてくる
これは、何をどれほど交換したかというエビデンス
今回はトランジスタとレギュレーション用サイリスタが交換されたようだ

そんなニーズが昨今多くなったのか、オーディオメーカーを引退した人が細々と個人事業主として行っているケースもあり、メーカーよりも安価で丁寧に対応してくれますので好評のようです。
概ねですが70年代のミドルクラスのプリメインアンプですと購入価格以上の費用がかかることもあります、したがってオーバーホールされた名機は当時の定価の倍の中古価格であっても決して高くはないのです。
普通なら買い替えたほうが良いと考えるのですが、70年代の音はどんなにお金を積んでも今では手に入らないのです、音の価値とはこういうことです。
スピーカーやアンプは音の媒体にすぎないというのが私の持論です、したがって価値があるのは音そのものなのです。
その価値ある音を得るためにお金を払う、そんな考え方をすればオーバーホールで現在に無くしてしまった音が蘇るのであれば願ったり叶ったりです。
またオーバーホールに出すと基板のクリーニングや錆びついたトランスも綺麗にペイントされて戻ってくることもあります、コネクタもつまみ類もピカピカ、スイッチ類の接点不良なども全て綺麗になって帰ってくるのです。
オーディオ製品は機械ですが大病を患って入院し元気になって退院するという、まるで生き物のように感じてしまう瞬間です。
サンスイ指定業者でオーバーホールした検査合格証
いまだに当時のサンスイのシールが使われているなんて・・・


ホームシアターと言えばサラウンド、サラウンドと言えばドルビーサラウンドですがドルビーサラウンドとはいったいどんな代物なのでしょうか?
ドルビーサラウンドシステムは、1977年に公開された映画「スターウォーズ」で使われた効果音システムを家庭でそのまま楽しめるようにと考えられたシステムで、ドルビーラボラトリーズによって1981年に技術的仕様が公開されました。
そのドルビーサラウンドは、その後ドルビーサラウンドプロセッサーとして外付けでの装置が誕生しましたが、それをいち早くアンプに取り入れたのがデノンのAVアンプでした。
デノンは世界で初めてドルビーラボラトリーズから認定を受けたメーカーなのです、その後ドルビーサラウンドはセンターチャンネルを追加しての本格的システムとして1989年に「ドルビープロロジック」が公開されました。
ここから本格的なホームシアターブームが到来したと言っても過言ではありません、そして1995年にはデジタルディスクリート化を施したドルビーデジタル及びDTSが、更に2007年にはロスレス音声を採用したHDオーディオに発展していきます。
そして現在最も新しい方式が2014年に公開されたドルビーアトモスで、これまでのようなマイナーチェンジではなくサラウンドの大革命ともいうべき仕様なのです。
これまではチャンネル単位での音作りであり基本はステレオだったわけです、それが一転してチャンネルベースからのサラウンドではなく、オブジェクトベースによるサラウンド方式へと別次元のサラウンド方式に変更されたのです。
つまり、ドルビーアトモスで記録されたDVDやブルーレイを本格的に楽しむにはドルビーアトモス対応のAVアンプが必要になるのです。
尚、ここでもデノンが先行してAVアンプに取り入れ、視聴会では「5.1.4Ch」方式と説明されていましたが、その後「9.1Ch」と表記されるようになりました。
尚、ドルビーアトモス方式から3Dサラウンドという立体音像が家庭でも容易に体験できるようになりました。
このようにサラウンド方式がどんどん変化して行きますので、その意味でAVアンプとDVDやブルーレイプレーヤーは定期的に買い替える必要があるのです。
つまり、AVアンプとDVDやブルーレイプレーヤーには記念品的な価値は生まれても継続的な実用価値は生まれないのです。
もし、現在中古で買うのであれば2015年以降のドルビーアトモス対応ということになりますが、当時の中古を買うなら現在の新品の方が仕様が更に上で価格は新品なので高いのですがコストパフォーマンス的には現在の方が高いと言えます。
したがってAVアンプの中古は常に二束三文で取引されるのです、ここがオーディオのビンテージアンプやレコードプレーヤーと最も異なるポイントです。