
ホームシアターを楽しむためには、音の浮遊感を感じるように視聴位置の前後にスピーカーを配置します。
サラウンドの基本形は5.1Chで、フロントLR(左右)・センター・サラウンドLR・サブウーハーとなります。
フロントスピーカーは設置面積を少なく済むようにトールボーイ型を用いるのが一般的ですが、ステレオ再生ではハイファイオーディオの音質を求めて大型フロントタイプのスピーカーを用いても何らの問題はなく好ましいとさえ思います。
センターチャンネルはボイス、つまりセリフなどの音情報が主になりますので中高音域が張り出してくるようなスピーカーが好ましく、スクリーンやテレビの下に置く場合を想定してトールボーイ型を横にしたような横長のスピーカーを用いるのが一般的です。
また重低音域はソースにも含まれていませんので下は100Hzまで出せれば問題なく使えます、むしろ低音域よりも高音域が綺麗に伸びている方が重要です。
ライブ映像などではセンタースピーカーはボーカルパートとなりボーカルを綺麗に再生できるスピーカーであることが望ましくなります、今のような横長のセンタースピーカーが無かった時代は小型ブックシェルフを横にしたり小型で横長の業務用スピーカーなどを用いていました。
サラウンドスピーカーはセンターと同じように中高音域しかソースに入っていませんから同様に中高音域が綺麗に伸びており張り出し感が重要になります、距離的にはフロントやセンターに対して1/3程度の距離となりますので、音圧が低くても問題ありませんが低すぎるとサラウンド効果が得られませんので注意が必要です。
サブウーハーはAVアンプをそのまま使うのであればアクティブ型(アンプが内蔵されている)スピーカーが必要です、現在では専用に作られたサブウーハーを使うのが一般的です、こういった専用のサブウーハーが無かった時代にはモノラルアンプと大口径のスピーカーにスピーカー側でのハイカットフィルターを用いて自作したりしたものです。
サブウーハーは前方向であればどこにおいても音場には影響しませんので、真ん中に置く必要はなく部屋の隅でも構いません、重低音は直接的にくるような指向性がなく周波数が低いので部屋に充満するように広がるからです。
この5.1Chの配置がホームシアターにおけるスピーカーの基本形となります。
これに、フロントの上面(フロントハイ)にサラウンドを加える方式が「7.1Ch」、更に視聴位置の横上面(サラウンドサイドハイ)を加える方式が「9.1Ch」、更に後方サラウンドの上面(サラウンドハイ)を加える方式が「11.1Ch」、そして視聴位置の真後ろ(サラウンドバック)に2つのスピーカーを距離を置かずに加える方式が「13.1Ch」で現在最もチャンネル数の多いサラウンド方式となります。
これらを実現させるには、AVアンプがこのチャンネル数分のサラウンドシステムを搭載している必要が有るということと、このチャンネル数分のスピーカーが当然不可欠となります。
あくまでもサラウンドシステムの基本は5.1Chです、先ず初めに5.1Chでサラウンドを充分にマスターしてから上位のサラウンドに移行するのが無難です。

アメリカに遅れること10年後の60年代後半、突如として起こった日本におけるオーディオブームですが現在最も熱いブームが起きているのは中国と香港のようです。
70年代~90年代初頭までオーディオショップが乱立していた日本、ショップの売り場の半分以上がアメリカ製のハイエンド機種の再生中古品でした、特にマッキントッシュやマランツのアンプにJBLやタンノイのスピーカーは人気がありました。
マッキントッシュの中古アンプは今なお人気があり、当時の販売価格の数倍で取引されています。
同じような現象が2000年以降に中国や香港で起きています、そして真空管やデジタルICを使ったオーディオメーカーが百社を超えるほどに乱立しています。
その中でも世界ブランドとして名を馳せているメーカーも徐々に誕生してきており、中国メーカーは今後も目が離せません。
同時に日本の中古市場で日本製のビンテージ物のアンプのジャンクを大量に買い求めるために、この数年で日本の中古市場も高騰してきています。
日本での70年代のように、ジャンクを買い取り本国で再生して高値で売るビジネスは大きな経済圏を形成しているようです。
この現象がベトナムやタイなどにも飛び火して、アジアでは70年代から90年代の日本製のオーディオ機器の再生品が高値であるのも関わらず飛ぶように売れているようです。
時代は国を変え回り戻ってくる、日本のオーディオ文化は2005年ごろから復活の予兆と言われ続けていますが、70年代後半から90年代初頭のようにマニアが狂喜乱舞した時代はおそらく二度とこないような気がします。
それよりもアジア諸国に向けた製品を作り出していく方が企業戦略としては正しいのかもしれません、現在のヨーロッパのオーディオブランドのほとんどが海外戦略中心で活路を見出しています。
日本のオーディオメーカーもおそらくは同じ道を辿るようになり、日本のオーディオマニアが買い求める商品の多くは中国や香港製になっていくのでしょう。
時代の流れというのは寂しいものですが抗ったとしても愉しくはないでしょう、それよりも何事も時代の流れに合わせた愉しみ方を探す方が生産的で幸福だと思うのです。
ネット上で賛否両論の情報が飛び交っていたので、つい興味本位で買ったスピーカーユニットがワンダーピュアが販売するWP-FL08という8Cm口径のフルレンジです。
エンクロージャーは別に購入しないといけないのですが、推奨のエンクロージャーをそのまま素直に購入しました。
ユニットがペアで6,000円、エンクロージャーが7,000円ほどで都合1万3,000円です。
ワンダーピュアWP-FL08+専用エンクロージャ

組み立ては極めて簡単、フォステクスのかんすぴセットと同様にケーブルをカチッと繋いでネジ止めすればあっという間に組み立てあがります。
ネジ止めの下穴も開いているのでなにも気を遣うところもありません。

このエンクロージャーですが、作りはフォステクスのP-1000Eよりもかなり豪華な作りで角の丸め処理も見事だしサランネットも付いています。
何と言ってもターミナルがバナナプラグ対応の高価な真鍮無垢の金メッキものを使っているのです、これ個別に買えばペアで2,000円以上する代物です。

ユニットはOEMだと思うのですが作りはしっかりしています、問題はエンクロージャーです。
組み立てが終わりユニットのエージングがてら音出しテストを実施しました、これはまた別途き報告します。

50年以上も前から存在するオーディオ神話に、「ジャズはJBLで、クラシックはタンノイで聴け」というものがあります。
JBLはアメリカ発祥のスピーカーメーカーでタンノイはスコットランド発祥のスピーカーメーカーです、どちらもスピーカーメーカーとして早くから世界ブランドを確立しファンを二分してきたスピーカーの一大世界ブランドです。
確かに軽快に鳴らすJBLのスピーカーはジャズやロックに向き、繊細な音でゆったり鳴らすタンノイのスピーカーはクラシックに向きます。
また定説の補足的に存在するのが、ジャズの本場はアメリカでJBLは楽器奏者にもPAを通して親しまれてきてジャズやロックに必要な音を知っているからというのがあります。
同様にタンノイは、ヨーロッパで生まれた多くのクラシック音楽に精通した音作りをしておりクラシックに向くのも確かな根拠があります。
こういった定説を鵜呑みにして自身で経験していない人は多いと思います、つまりJBLでクラシックをタンノイでジャズやロックを聴いてみたことがあるのでしょうか?
実際に聴いてみるとJBLでのクラシックもタンノイでのジャズも全然悪くない音で鳴ってくれます、そもそもですが世界ブランドを確立するような製品はジャンルを特定して開発しているわけではないのです、良い製品はどんなジャンルの音楽も綺麗に鳴ってくれるのです。
メーカーの目指すものとそれを使う側の求めるものが違ってくるのはどの業界にでもあります、おそらくですがスピーカーユニットの音そのものよりも外見から来る偏見的なものが多いのではないかとさえ思うのです。
JBLを不動の世界ブランドに押し上げた製品に1957年発売のD44000(俗称パラゴン)があります、幅2メートルの左右一体となったまるで家具のようなスピーカーで家具職人が1台ずつ手作業で作り上げます。
日本に初めて上陸したのは1965年で170万円でした、現在でも内外をオーバーホールされた完全なものだと中古でも300万円ほどで取引されています。
その後にはミニチュア化させたミニパラゴンを多くのマニアが設計図を基に手作りで作成し、それが世に安価で出回っています。
このパラゴンはクラシックファンに親しまれた製品です、そしてパラゴンに使われていたスピーカーユニットがその後のJBLスピーカーユニットの系譜を作っていったのです、つまりJBLスピーカーでクラシックも綺麗に鳴らすことができて当たり前なのです。
同じようにタンノイでジャズやロックを聴く人も居ます、そもそもヨーロッパでもジャズやロックフェステバルが数多く開催されファンも多いのですから当たり前なのです。
定説も良いけど囚われてはいけません、でも確かにジャズはJBLとかアルテック、日本製ではダイヤトーンとかオンキョーのスピーカーを使い大音量で鳴らすと音の響きは最高なのです。

ホームシアターではサラウンド効果による音場作りが必須です、それを手軽に楽しめるように考えだされたサラウンド方式とはどのような原理によってなされているのでしょうか?
最新のドルビーアトモス方式は録音の時からチャンネル別のストリーミングを行っているので除外するとして、多くのサラウンド方式のベースはステレオ録音です。
つまり、2つのマイクで音を録音してステレオでの録音情報から各チャンネルの音を疑似的に作り出しています。
70年代には既にマトリックス方式というサラウンド効果を楽しめる回路が考えだされ、電子工作マニアを中心に楽しまれていました。
これは左右のチャンネルの成分の比率を変えてミックスした後にエコーをかけてリア用のチャンネルに振り分ける代物で、これがその後のサラウンド方式のの基本原理となりました。
この技術の凄いところはモノラルから周波数別に分離編成して疑似ステレオを作り、更にそれを元に疑似サラウンドにした疑似4Chという方式まで考え込まれていたことです。
ここで5.1Chを例にとって、それぞれのチャンネルの成分の振り分け方を説明しましょう。
こういった情報は一切公開されてなく、昔のマトリックスサラウンドの原理と実際にそれぞれのチャンネルからどの成分が出ているかを自身の耳で確認した結果からの総合判断ということを最初に能書きしておきます。
まずフロントの左右は基本のステレオでの音情報そのものです、センターはフロントの左右チャンネルから中高音域だけを取り出してミックスさせています、したがってセンターからは左右の音がミックスされた中高音域だけのモノラル再生ということです。
また、同様にサブウーハーは左右チャンネルから低音域だけを取り出してミックスしたモノラル再生ということです。
面倒なのがリアのサラウンドチャンネルです、まず右サラウンドチャンネルはフロント右チャンネルにフロント左チャンネルの中高音域成分を20%~30%の量でミックスしエコーをかけています。
同様に左サラウンドチャンネルは、フロント左チャンネルにフロント右チャンネルの中高音域成分を20%~30%の量でミックスしエコーをかけています。
このリアのサラウンド用チャンネルの成分の比率とエコーの遅延タイムを変えてAVアンプメーカーの各社仕様のサラウンド方式を作り上げているのです、またリアチャンネルはイコライザーで音質の調整を行っているAVアンプが殆どです。
どんなことでも原理を知ると応用も可能です、今の時代のようなAVアンプが無い70年代のマニアは、こういう原理を元に独自にそれぞれの方式をDIYしては大いに愉しんでいたのです。