
レコーディングなどの業務用オーディオ界にはエンハンサーという聴き慣れない編集装置があります、このエンハンサーという機械は何をするのかというと原音を元に各種の整形を行う装置です。
例えば楽器の音の強弱や波形をシャープにさせて刺激的な音にするなど音を詳細に加工するのです、最近ではこういったエンハンス装置を使って古い録音を最近録音されたように加工するというリメイク版のCDなどは当たり前のように存在しています。
昔の録音のぼやけた音がくっきりした迫力ある音に変わるのです、まさに魔法の装置です。
また音だけではなく映像用のエンハンサーもあります、同じように昔のぼやけた映像がくっきりした現代の映像に変わります、更にモノクロ映像がカラーになったり1K動画が4K動画になるなど効果は凄いものがあります。
エンハンス技術は最近のものは全てソフトウェアによって行われます、つまりエンハンサーという装置にはDSP(デジタルシグナルプロセッサ)が入っており、高性能な信号処理を行う専用のパソコンだと思えば解りやすいでしょう。
こういった音や映像を加工する技術ですが、最近の高級ユニバーサルプレーヤー(DVDやCDなど全てのファイルを再生できるプレーヤー)や高級AVアンプにも搭載されています。
つまりリアルタイムに自動で音や映像が加工され、それを愉しむことができるのです。
一度でもリアルタイムエンハンスの音や映像を体験してしまうと、麻薬のようにそれ無しでは物足りなく感じてしまうようになります、こうして高額の製品を買うようになってしまうのです、メーカーの戦略って凄いです。
今ではデジタル対応と謳っている製品はすべてにGPUが入っています、アナログな音の世界もスピーカーの直前まではデジタル加工によって音が作られている製品も多いです、そんな意味でも「オーディオもデジタル全盛時代」と言われているのです。

オーディオ雑誌の多くには、70年代の発売当初から「オーディオ愛好家訪問」というようなオーディオマニアのシステムを読者に紹介しつつ、音の専門家が音環境等を調整してくれる企画があります。
こういった記事を見て、読者は自身のオーディオシステムや環境を構築する参考にするわけです。
私もこういった記事を読んで音響工学の複雑さを学びとってきた一人です、それはよいとして何が言いたいかというとオーディオマニアも人それぞれだなということです。
私が好感を持てるマニアは家族を入れないオーディオ専用ルームを持ち、常に部屋を綺麗にしていてオーディオ製品もラックなどに整然と並べています、またケーブル類はできるだけ外に見えないように上手く工夫して隠しています。
こういったところに気を使っている人のオーディオ写真を見ると、何故か気持が落ち着くのです。
逆に高価な製品を使っているにも関らずサイズが不揃いで、しかもスピーカー・アンプ・レコードプレーヤなどの置き方がメチャクチャで見栄えが極めて悪い人もいます、ケーブル類もそのまま直線距離で引いているので音には好影響でも歩くにも歩けない状態です。
写真では解りませんが何となく想像がつきます、「スピーカーやラックの後ろは埃だらけなのだろう」と、何故なら絶対に動かせなくて掃除出来ないような設置をしているのですから。
オーディオは音質を極める道楽、でも私は外見も音にしっかり出ると思います、部屋の中に自然に溶け込むようなシステム配置、こういった美的センスも重要ではないかと思うのです。
同じような音色なら私は絶対に見栄え重視で製品を組み合わせます、「オーディオにもエレガントさを」、これは私のポリシーでもあります、そしてオーディオルームもその人の個性がそっくりそのまま表面化するのではないかと思います。

現在売られているCDの中にはSACD方式で録音されているものが存在しています、SACDとは「スーパーオーディオCD」のことでソニーとフィリップスが共同開発したCDの録音再生技術であり、1999年に発表され2000年以降にSACD対応のCDプレーヤーやCDが発売され初めました。
低域も広がったのですが、特に高域特性が100KHzまで伸びており繊細なクラシックの録音再生を可能にしました、現在ではミドルクラス以上のCDプレーヤーに対応しているものが在ります。
また近年では更にハイレゾ方式が出てきていますが、SACDに対応していれば当然ハイレゾ対応の製品だと考えても間違いでは無いでしょう。
尚、SACD対応のCDを非対応のCDプレーヤーで再生すると普通のCDと同様の方式で再生されるようにアップグレードとなっています。
私は、こういう意味でも最新のアンプのDACを信用してCDプレーヤーは消耗品として考え、定期的に新しいエントリークラスを購入する方が賢いと考えています。
最近のオーディオは完全なデジタル時代であり、どんどん新しい方式のDACが誕生して価格も大幅に下がってきています。
10年前の20万円以上のミドルハイクラスのCDプレーヤーでも、現在の5万円のエントリークラスのCDプレーヤーに音質特性的には完全に負けてしまうということも起こりえるのです。
クラシック以外のジャズやロックを楽しむ人なら外付けDACを好みのものに固定して、CDプレーヤーは消耗品と考え数年単位で最新のエントリークラスを買い繋ぐのがよろしいかと思います。
ただCDプレーヤーの中にはレコードプレーヤーのような構造の100万円以上する超ハイエンドのものであれば、製品そのものの骨董価値もあるので持つ意味はしっかり存在していると思います。
買い替えで使わなくなったCDプレーヤーは売っても二束三文ですから、BGM用やおやすみ用のセカンドシステムに使う方が得策です。
ちなみに10年前の15万円のミドルクラスのCDプレーヤーと5万円以下の最新のエントリークラスのCDプレーヤーの音質を同じアンプに繋いで比べてみたのですが、驚くことに最新の5万円以下のエントリークラスのCDプレーヤーの方が音がはっきり分離されて周波数レンジも広く感じるのです。
もっともリファレンスで使ったCDはジャズで50年代~80年代にかけて録音された物です、したがってリメイクされてはいるものの周波数レンジはそれほど広くはありません。
結論としてCDプレーヤーは安価なエントリークラスなものにして、高音質を目指すのであれば外付けのDACを購入する方が賢いし結果的に後悔することもないと思います。
オーディオは正確に原理と理屈を知って割り切ることが肝要です、何事にも知識と知恵がある者が無駄なお金を使わずに済み得をするのです。

私の場合ですがオーディオ道楽を行う上で何が最もストレスになるかというと、それは目が悪くて細かなものが見えないことです。
例えば機器の結線の際のコネクタの表示文字が見えません、スピーカーのケーブル結線ではみ出したヤバイ銅線が見えません、ネジ止めする穴も適合するドライバーの先端形状も解りません。
そこで昔から必須だったのが大きな虫眼鏡とライトです、でも片手が確実に使えないので設置の際は大変苦労したものです。
そんな時に「これ良いよ!」と人生の大先輩にプレゼントしてもらったのがハズキルーペでした、眼鏡のようにかけて使うのですがハズキルーペは老眼鏡ではなく基本的に拡大鏡です、なので30Cm~50Cm位の距離で焦点が合い文字などが2倍程度に拡大されます。
私の場合は単なる老眼ではなく弱視に乱視が入った複合的な目の悪さなので拡大されるハズキルーペは物凄い効果があります、また老眼鏡と併用すると更に効果絶大でかなり小さな文字まで綺麗に見えます、ハズキルーペは眼鏡に重ねてかけられるのです。
貰って以来オーディオ道楽には欠かせない存在になりました、メンテナンスも楽々です、細かい傷もよく見えます、何でもっと早く気付かなかったのだろう、あんなに解り易いCMを流していたのにと航海しきりです。

70年代からオーディオを道楽としている往年のオーディオマニアの間では、「音楽を聴く1時間前にアンプの電源を入れ温めておく」という常識的な習慣が存在しています、そしてこの真相にはしっかりとした根拠が存在しています。
解り易いのが真空管アンプです、真空管はその特性上ヒーターが充分に温まっていないと電子の飛び出しがスムースに行われずに音質にかなりの影響が出ます、と言ってもほんの5分ほどで安定します。
では何故1時間も電源を入れっぱなしにする必要があるのでしょうか、これは実際に経験するとよく解ることです、冬場の冷え込んでいるときなどは特に解り易いのですが電源オンしてすぐに音楽を聴くと低音も高音も張りがなく薄っぺらい音がします、しばらく聞いていると突然いつもの音に急に変わってくるのが解ります。
この現象は特に70年代後半~90年代前半に出たMOS-FETを使用したA級アンプでは顕著に出ます、不思議なことにトランジスタより後に出たFETというのが謎ではあります。
しかし1時間と言うのは少し大げさで、私の経験では長くても10分くらいでかなり安定します。
ヤマハの70年代のアンプはこの傾向が顕著で手持ちアンプのA-5というアンプは30分以上たたないとまともに鳴ってくれません、特に電源オンから3分間程は音量も上がってこないのです、最初は壊れているのかと疑ったほどです。
シリコンで作られたトランジスタやFETも真空管以上に熱を発します、メーカーではアンプの音質調整にある程度通電した状態で各種の抵抗値やコンデンサの容量を変えていき、音質が調った値で最終的な設計図を完成させています。
したがって、通電して温まった状態でないと本来のその製品の音質にならないという確かな根拠がここにあります。
最近のアンプであれば電源を入れてCDをセットしてローディングして聴きだすまでの時間が約1~2分です、このくらいでも音質の変化はほとんど確認できません。
つまり最近の製品であれば電源オンしてすぐ聴いても良い音で鳴ってくれるということです、逆に70年代や80年代のビンテージアンプはやはり聴く前に10分ほど通電するほうが無難だと思います。