
オーディオ道楽復活後は日夜オーディオ妄想が止まりません、先日は「間接オーディオっていうのはどうかな?」なんて漠然と考えていました。
光には間接照明というのがあります、音にも間接音響というのが在ってもいいのではないかと思うのです。
間接音響といえば隣の部屋に回り込んでくる音が間接音であり、直接スピーカーから出ている音とは異なり高音域が遮断された音で刺激の無いぼんやりとした音がします、これは光の間接照明と同様で刺激が無く聴きやすい音でもあります。
高音質を目指したハイファイオーディオではありませんが、何かをしながらの「ながらオーディオ」としては邪魔にならない実に好ましい音がします。
そこで密閉型の小型サラウンド用スピーカーを使って実験してみたのです、スピーカーを後ろ向きにして壁にスピーカーユニットが向くように配置して音楽を聴くのですが、これが思いもよらない効果がありました。
それはどこから聴こえてくるのか解らないという効果で、臨場感こそ有りませんがどこに移動しても同じような音質と音量で聞こえるのです。
また懸念していた高音域の減少もそれほど大きくなく、しっかりと高音域も聴こえてくるのです、これにはかなり驚きました。
後ろの材質や反射の仕方で聴こえ方がガラリと変わり実に面白い実験でした、置くだけで間接音響が出来上がるというスピーカーが在っても良いと考えてしまいます、また一つ愉しい夢が生まれそうです。

バブル経済崩壊後に本格的になってきたホームシアターですが、その中心に在ったのがAVアンプであることは言わずもがです。
初期の頃のAVアンプはオーディオ用のミドルクラスのプリメインアンプを改良し、サラウンドプロセッサーをプリアンプとメインアンプの間に配し、メインアンプを5チャンネル分無理くりに詰め込んだという恐ろしい代物でした。
ですから、重量も凄いのですが音はしっかりしていました。
価格は、主力のミドルクラスで15~25万円前後で、最上級クラスが50万円程でした。
エントリークラスは7万円程度でも、5つもメインアンプを積んでいるのですからかなり大型になっていました。
しかし、今の時代はエントリークラスだとデジタルアンプを積んで3万円台から出ています。
しかもワイドFMチューナーを搭載し、ブルートゥースでスマホと接続できるデジタル対応の音楽エンターテイメントステーションと化しています。
更に驚くのは、ミドルクラスともなると7.1Chならず9.1Chや11.1Ch、ハイエンドクラスでは13.2Chと恐ろしいほどのチャンネル数を実現しています。
どんな部屋で9.1Ch以上を実現させようとしているのかは不明ですが、9.1Ch以上でのサラウンド効果を確実に期待するなら相当大きな部屋が必要とするはずです。
逆に、最高級版になるとAVプリアンプとAVパワーアンプとのセパレート型となり、セットで100万円を越えるものも出ています、AVアンプの世界も確実に二極分化しています。
ここで驚くのはミドルクラスのAVアンプの機能の充実ぶりです、レコードからCD、またブルーレイ対応とアナログ+デジタル音源と映像をコントロールして更にモバイルオーディオにも対応しています。
勿論、サラウンドモードは最新版も入れてかなりの数のサラウンドモードを搭載しています。
しかも、複雑な各チャンネルの音量や音質設定が専用のマイクを使ってワンタッチで行えるという自動設定モードまで組み込まれています、これならビギナーでも扱えます。
当然、音質は犠牲になっているのでしょうが、そもそもAVアンプは迫力ある音の再現が目的ですからそれほど神経質な音質は求められないでしょう。

オーディオ史には数々の戦争が起きており、これも後に多くのレジェンドや武勇伝を残しています。
さて80年代のアンプ798戦争が終焉を見せた頃に突然のように勃発したのがハイコンポ戦争でした、ハイコンポとはミニコンポサイズ(幅30Cm程度)の製品のうちフルサイズコンポの定格出力だけを絞り音質はフルサイズコンポに劣らぬハイファイ製品を指します。
またハイコンポの暗黙の定義は、システム販売と並行して単体でも発売されていることでした。
火付け役はケンウッドのK's(ケーズ)シリーズで、アンプのA-1001はユニークなスタイルと音質であっという間に大ヒット&ロングセラーを構築していきました。
オンキョーはフルサイズコンポのインテグラシリーズで培った技術を投入したインテック205シリーズとインテック275シリーズを展開します、これもまた人気を博しインテック両シリーズも新製品が出るたびに大ヒットを飛ばしました。
ビクター・デノン・パイオニア・マランツなどの各社も一斉に追従し、こうしてオーディオ界はミニコンポ一色の世界に移行していったのです。
慌てたのはサンスイです、遅ればせながらAU-α7を出しますが既に先行他社が築いた要塞はあまりにも強固で参戦すらさせてもらえない状況となったのです。
この結果サンスイは体力をどんどん奪われていく結果となってしまったのです、戦争とは常に非情な結果を齎すものです。
最後になりましたが特筆すべきはハイコンポの音質です、フルサイズコンポのエントリークラスのアンプの価格の2倍近い価格のハイコンポのアンプ群は定格出力こそ低いものの決して馬鹿にできない高音質のアンプが多いのです。
価格帯は6万円前後が主流ですが、3~4万円前後のフルサイズのエントリークラスの音質よりも断然上です。
「小粒でもピリリと辛い山椒」という言葉がありますが、「小型でもビビルくらい高音質なハイコンポ」と言いたくなるほどです。
ケンウッドやオンキョーのハイコンポは、スピーカーさえ選べば下手なフルサイズのアンプを買うよりも低域もしっかり出るし中高域の切れ味も抜群です。

オーディオ界には、昔から名機と呼ばれる製品があります。
しかし、その明確な定義というのは存在していません、オーディオ評論家やオーディオマニアなど多くの人から絶賛された製品が後に名機と謳われるのです。
その意味でアンプの名機の多くはその時代を代表するような傑作品で、価格・音質・スペックとどれをとっても優れた製品を称え名機と呼ばれます。
その意味からして高級なハイエンド製品は全て名機かというとそうでもありません、何故なら価格が高くて音質が良いのは当たり前だからです。
手頃な価格でありながらハイエンド製品に劣らぬ音質で大ヒットを飛ばし、且つ後続機を出しながらシリーズ化されロングセラーを続けたミドルクラスの製品に付けられる傾向があります。
サンスイであればAU-α607であり上位機種のAU-α907ではありません、ソニーであればTA-F333であり上位機種のTA-F555ではないのです。
私もこういったミドルクラスでありながら、上位機種やハイエンド製品と同じ回路を使った定格出力だけのダウンサイジング版など、音質・音色は同じで価格だけが手ごろ感のあるアンプを高く評価し購入する傾向にあります。
また、後に系譜を辿るとその製品が実は名機であることが解ると後追いで優良中古を求めることもあります。
70年代のヤマハのCA-2000が絶大な評価を得た後、その系譜の発祥であるCA-1000が製造中止になっていたにも関らず人気を博して中古価格が上がり初め慌てて購入したこともあります。
こういった製品は、歴史的な価値と製品そのものの音質的価値が評価され後に名機と謳われるのです。
名機と謳われるアンプにはそれなりの意味と理由が存在しています、持つ喜び以上にこういった名機は何年経っても音質の古さを感じさせません。
名機とは名機と呼ばれる根拠がしっかり在ります、ストックラックに収まっていても名機に相応しいオーラを何時までも放っているのです。

先日はホームシアターとハイファイオーディオを一つのシステムで共有化する方法をお伝えしましたが、今回はこれを更に発展させてDVDやブルーレイでのホームシアターとCDやレコードでのハイファイオーディオを完全に共有でき、それぞれの音質を損なわない方法をお伝えします。
先日もお伝えしたように、フロントスピーカーはホームシアターとハイファイオーディオで唯一共有するスピーカーですのでハイファイオーディオに耐えうるスピーカーを用意します。
このスピーカーにAVアンプのフロントチャンネルのスピーカー出力とハイファイオーディオ用のプリメインアンプのスピーカー出力を繋げば良いわけですが、2つのアンプをパラレル接続するのは電気特性上アウトです。
スピーカーセレクターを投入して切り替える方法もありますが、都度切り替えるのも面倒ですしスマートに行いたいものです。
そこで私が実践している方法をお教えします、まずDVD/ブルーレイプレーヤーはAVアンプに繋ぎます、またCDプレーヤーはプリメインアンプに繋ぎます。
そしてAVアンプのフロントプリアウトをプリメインアンプの入力コネクタのAUXに接続します、フロントスピーカーはプリメインアンプのスピーカー端子に繋ぎます。
こうするとCDを聴く時には、CDプレーヤーとプリメインアンプだけをオンにして通常通りにCDに入力セレクタを合わせて聴けばステレオ再生でのハイファイ音質でCD鑑賞できます。
また映画をホームシアターで愉しむ時は、DVD/ブルーレイプレーヤー・AVアンプ・プリメインアンプをオンにして、プリメインアンプの入力をAUXにして音量調節すれば高音質でホームシアターが愉しめるのです。
こういった方法を考え出す際に、重要なポイントはスピーカーをどこに接続するかという出口から辿っていくと解り易いす、逆にソースの入力側から辿っていくとスピーカー出力側で頭が混乱します。
この接続法はあくまでも私の中でのベストな方法です、無駄な電力消費をせずに音質を高める方法だと思います。
消費電力を気にせず費用も幾らかかっても良いというのであれば手っ取り早くハイエンドのAVプリアンプを購入し、フロントチャンネルにハイファイオーディオ用のパワーアンプを繋ぎ、その他のチャンネルはマルチアンプのAVパワーアンプを接続すれば最も簡単に実現できます。
ちなみにこの方法は私の方法に比べて消費電力は3倍以上で、予算的にも最低でも5倍ほどかかることを覚悟してください。
AVプリアンプとAVパワーアンプだけで100万円以上します、こんな高額なシステムで映画の鑑賞だけならまったく意味の成さないシステムになります。
むしろSF映画などでは大人しい音色となり迫力不足にがっかりするかもしれません、高級なAVセパレートアンプはクラシックのオーケストラなどのコンサート等のブルーレイディスクで本領発揮できるシステムなのです。