
電化製品は独特の臭いを発することで知られています、特に通電中は熱を発するので敏感な人はその周囲に行くだけで臭いを嗅ぎわけることができます。
この電化製品の独特な臭いは、通電によって温まることにより使われている部品の材料や接着剤、また加熱した際のシャーシや冷却フィンなどの金属の発する臭いが混ざり合って独特の臭いの元となります。
さてオーディオと加齢臭という話ですが、本当にアンプは年を追うごとに臭いが変わってくるのです、使っていても使っていなくても20年程すると独特の加齢臭を発するようになります。
殆どしない製品もあるのですが、メーカーによってはかなり強烈な臭いを発する製品もあります。
機械の加齢臭ですから人間のものとは異質ですが、何とも言えない臭いで私はどちらかというと苦手な臭いです。
埃が燃えたような臭いがする製品があり、最初は中に溜まった埃が発熱によって発していると思って分解してみたのですが埃は殆どなく別の原因だと解りました。
このアンプの加齢臭の原因は電源トランスに在りました、他の電化製品には大型の電源トランスはほぼ使うことはないのでこの臭いはしませんが、アンプは電源トランスが重要でどの機種にも使われています。
この電源トランスの錆止めや絶縁対策に使われている樹脂製のワックスが、経年経過と共に劣化してきて先の独特な臭いを発するようになります。
メーカーや製造国によって若干違うのですが、私の経験上アメリカ製のトランスが最も強烈な臭いで次に日本製です、ヨーロッパ製は経年経過で臭いが変わることはあまりないようです。
アメリカ製のものはアメリカの雑誌などによく使われているインクの臭いと同じように鼻にツンとくる臭いで、どちらかというと化学薬品的な臭いです。
対して日本製のものはムフッとくる腐敗した有機物の臭いに近いです、有機物っていろいろありますが枯れた木やどぶ川のような臭いです。
最後に日本のオーディオメーカーに一言、「音質を極めるだけではなく、後々の臭いのことも少しは気にしてくれると嬉しい!」。

最新のサラウンド方式であるドルビー・アトモスやDTS:X方式での立体3次元サラウンドを手軽に実現できるのがイネーブルドスピーカーという存在です、ドルビーサラウンドの最新のドルビーアトモスではフロントスピーカーの上面から音を出すフロントハイというチャンネルがあります。
このチャンネルによって5.1Chでは平面だったサラウンドが3次元のサラウンドに変わります、したがってドルビーアトモス対応のAVアンプは7.1Ch以上のチャンネル数が必要になります。
フロントハイでは天井にスピーカーを設置しなければならないのですが、このイネーブルドスピーカーは天井にスピーカーを設置しなくてもフロントスピーカーの上に乗せるだけでフロントハイと同じ効果が得られるという代物です。
イネーブルドスピーカーのスピーカーユニット面は斜め上を向いています、この角度によって音が天井に反射してフロントハイと同じ効果を得られるように考えだされた方式です。
ドルビーアトモス対応の最新AVアンプではイネーブルドスピーカーを使用するかしないかを設定でき、イネーブルドスピーカーを使用する場合は必ず設定をオンにしなければ効果を発揮できません。
音の反射で上空から音を響かせるのですから、フロントスピーカー以上の強力な中高音域が必要とします。
したがって、イネーブルドスピーカーは小型ながらも最大入力W数が150W以上と強力なユニットが搭載されています。
デノンのイネーブルドスピーカーSC-EN10Mを単独で音質を確認すると、低音域も100Hz程度まで出るし超小型ながらも流石に中高音域の伸びと張り出しは凄いです。
しかし実際のシステムに組んだ場合ではフロントとサラウンドスピーカーとの音圧差が出て効果はあまり感じられません、各チャンネルの音圧をしっかり合わせる必要があり、フロントやサラウンドと同じシリーズのセットで使わないと意味が無い存在となる可能性もあります。
シリーズで使用できない場合は、無いよりもまし程度となりますがマンションなどで壁にスピーカーを取り付けられない場合は有効な手段となるでしょう。

自分で言うのも変なのですが、昔から私の行動は理解の範囲を越えることがあります。
寝る間も無いほど本業のビジネスが忙しいという時期ほど、道楽やブログも積極的にやるようになるのです。
一つが忙しくなると頭の回転が普段よりも良くなるというか冴えてきて、次から次へと同時並行でどんどんアイデアが出てくるのです。
アイデアが出るとやってみないと落ち着かなく、結局徹夜してでもやってしまうという感じです。
この歳になって飲んだ後でも平気で徹夜できる自分にも驚きますが、一旦落ち着くと今度はガソリンが切れたように爆睡します。
頭が冴えている時に一気に各種の事をやってしまう、この一挙集中的な活動が若い頃からの自分のスタイルになっています。
このやり方で短期間に有り得ない事を達成させてきたのだから、いまさらスタイルを変更したいと考えたこともありません。
オーディオ道楽の復活も本業が本格稼働した直後でした、計画では隠居後にオーディオ道楽を復活させようと考えていたのですが、新事業を興そうと動き出した瞬間に各種の道楽も復活してしまったのです。
更には新しいブログの開設、他の事業会社もホームページなどを一斉にリニューアルさせての新事業の活動開始です。
「陰極まれば、陽極まる」、休むときには徹底して休む、行動開始したら一気に全ての事に全力で取り組む、この活動の陰陽バランスが自分には合っているようです。
昔から絶対に私にはできないと思える事、それは毎日同じようなライフスタイルの継続であるルーティングです、新たな思考を必要としないことには何故か興味を覚えないのです。

ここ数年来、世の中に「紙コップスピーカー」というものを自分なりにアレンジして製作することが流行っているようです。
この紙コップスピーカーとは、スマホの下に付いているスピーカーから出る音を大きくしかも良い音になるように工夫する物で、無電源ということもあり多くの人が自分のアイデアで製作してはネットに公開しています。
この紙コップスピーカーですが、メガホンの原理で集音され紙コップ内で音が共鳴するので、音が大きくしかも共鳴によってある特定の周波数が強調され良い音に聞こえるという確かな音の原理を上手く利用したものです。
最初は紙コップだったのがポテトチップスの筒やサランラップの筒と大きなカップ2つを繋いだもの等、なるほどスピーカーのバスレフやダブルバスレフ、またバックロードホーンに見るような音の共鳴を上手く引き出すアイデアと音響技術的な根拠に驚くばかりです。
そして、最近では音響工学のプロ達も興味を示し、プロらしいアイデアで製作を行い展示会まで行っています。
また、こういったアイデアを商品化するメーカーまで現れました。
勿論、商品ですから紙ではなく木材・陶器・金属といった形が崩れにくく高級な素材が使われています。
しかし、本当に良く考えたものです。
スマホが誕生した頃に流行った、空のグラスにスマホを突っ込むと音が大きくなるという都市伝説的な話しがありましたが、これは本当に大きく良い音になります。
これが、工夫されてカッコよく加工された物が「紙コップスピーカー」なのだと思います。
私は、これも一つのオーディオだと思うのです。
何故なら、昔の蓄音機は電気を使わずゼンマイで動いていました。
ロウ板に刻まれた音の溝をピックアップで拾い、振動板で音にしてラッパのような形の共鳴管で大きくしかも良い音にしていたわけです。
紙コップスピーカーは、まったくこの原理と同じなのです。
こういったおもちゃのような物を通して、音の特性や音が空気の振動で起こるという音の本質を意識するようになれば良いことだと思います。
こういったおもちゃで遊んでいる若者の中から、近い将来ボーズ博士のような空間音響の天才が生まれることを望むばかりです。

ホームシアターを実際に体験してみると解るのですが、サラウンドスピーカーの音質って意外と重要なことに気付かされます。
音が出ればよいか程度に考えて安価なもので済まそうとすると、ほとんど効果が期待できない結果となることが多いです。
音質というか設置方法だと思うのですが、ちょっと視聴位置をずらすだけでまったくサラウンドからの音がしてこないということが起こります。
オーディオ全般に言えることですが音は空気の波であり空間で合成されます、この時に同位相だと強調され逆位相だと相殺されて音が聞こえなくなるのです。
サラウンドスピーカーは、フロントスピーカーと直接音がぶつからないように斜め後ろから角度をかなり内側にして設置するとこういった現象が起きずらくなります。
尚、低音域は中高音域に比べて波長が長いので音が相殺される割合も多く、その為にサラウンド用に小型ブックシェルフを使う場合は必ずバスレフダクトにスポンジを詰めてバスレフダクトから音が出ないようにする必要があります。
サラウンド専用に作られた小型スピーカーはそのまま使用しても、再生帯域が調整されているので問題ありません、その意味では私がサラウンド用として多用しているのが小型の業務用スピーカーです。
低音域が丁度良くカットされていて、中高音域の張り出しが良く指向性もあって難なくサラウンド用に使えるからです。
また、フロントスピーカーに比べてあまりにも音圧が低いと音量調節だけではサラウンドの音を調節不可能となります、フロントスピーカーと比べて音圧レベルが極端に低くないスピーカーを合わせる必要があります。
少なくてもサラウンドスピーカーはセンタースピーカー同様にホームシアターシステムの要のスピーカーですから適当に考えてはいけません、フロントスピーカーには神経を使うのですがセンタースピーカーとサラウンドスピーカーはおまけ程度にしか考えていない人が実に多いです。
これは逆です、センタースピーカーとサラウンドスピーカーがしっかりしていればフロントスピーカーは好みのものを選んでも案外音量調整だけですんなりと迫力あるサラウンドが楽しめます。
フロントスピーカーを先に決めて、後からセンタースピーカーとサラウンドスピーカーを合わせようとするとなかなか上手く調整できないものなのです。
ホームシアターシステムというくらいですから、人間の組織と同様に後方支援部隊がしっかりしていれば前線部隊は安心して活躍できるというのと同じなのです。