OTTO(オットー)は、現パナソニックグループの三洋電機がかつて用いていたオーディオ事業のブランドである。
1966年、初めてのオーディオ製品であるアンプとレコードプレーヤーが一体となったモジュラーステレオに付いた製品名がOTTO(オットー)であり、以後オーディオブランドとして用いられるようになった。
その後、70年代にはプリメインアンプやカセットレコーダー、スピーカーシステムなどを発表するも、Lo-D同様にオーディオ専業メーカーの勢いに押されブランドが定着することがなかった。
80年代後半、僅か二十数年で早々にオーディオ界からブランドが消えていくことになる。
私の記憶に残る製品は、80年代後半に発表されたスピーカーシステムのSX-Z3000で32Cm口径のウーハーのフラットコーンの前後にドライバーを付けたツインドライブ方式というものである。
OTTO独自のツインドライブ方式の図解
アンプによるBTLドライブをスピーカーでやってしまうという発想でしたが、発想ほど評価されなかった記憶がある。
何せ、当時はスピーカー598戦争の真っただ中です、セットで12万円が勝負という時代にセットで33万円をぶつけるのには相当の内容でないと難しいという時代だったのである。
Aurex(オーレックス)は、東芝のオーディオブランドであり、現在東芝グループである東芝ライフスタイル子会社の更に子会社である東芝エルイートレーディング(TLET)が、白物家電に用いていた「TOSHIBA」とは別に、オーディオ製品に用いられているオーディオブランドである。
Aurexというロゴは、「Audio界のrex(ラテン語のキング)」と言う意味で、1969年に初めて冠商品が発売される。
70年代に入り、オーディオ業界は老舗の大手家電メーカーに加えて新規参入の専業メーカーとが入り乱れてのメーカー乱立時代、いわゆるオーディオ黎明期だったのである。
そんな黎明期にあって、Aurexも先進的な製品を多数出すもどれもこれといった特徴もなく、早くも85年にはハイファイコンポーネントオーディオから撤退し、ミニコンポシステムなどのパーソナルオーディオに移行するも90年代初頭には一旦オーディオ事業から撤退する。
2002年、東芝エルイートレーディング(TLET)が設立され、パーソナルオーディオとしてのCDラジカセなどで再びブランドが復活する。
2018年には、業界初のCDラジカセでハイレゾ音源対応商品を出すなど、ハイファイオーディオ復活の予兆を感じさせる商品も出し始めている。
NEC(エヌイーシー)は、日本電気株式会社のオーディオのみならず電化製品に一般的に用いられたブランドである。
NECで最も有名なのがコンピュータ部門で、富士通や日立と共に世界に誇る日本のコンピューターメーカーの一社である。
オーディオ製品としては、放送機器事業の派生から数年間だけ民生オーディオ製品を出すに留まっている。
特に1983年発売のプリメインアンプA-10(9.8万円)は、幻の名機と謳われいまだに高い人気を誇り高値で取引されている。
NECで記憶に残るのは、上記のA-10及びその後継機くらいで他にこれといった大きな業績をオーディオ界に残しているわけではない。
現在、日本電気に関する情報を調べてみても、オーディオに関する歴史そのものが抜け落ちているほどである。
Lo-D(ローディ)は、日立製作所のオーディオ製品のブランドである。
60年代後半からアンプやスピーカーのブランドとして数々の製品を発表し、根強いファンに支持されて一定のシェアを維持し続けた。
70年代中盤にはハイエンドアンプや、独特な形状のギャザードエッジユニットでのスピーカーなどで話題を振りまいた。
80年代中盤以降は、東芝・三洋などの家電メーカー同様に、オーディオ戦国時代を尻目に90年代初頭にオーディオ界から姿を消すことになる。
それほどまでに、1985年から5年に渡るオーディオ戦国時代は、大手家電メーカーまでも撃墜されるほど極めて非情且つ異常な時代だったとも言えるのである。
Accuphase(アキュフェーズ)は、アキュフェーズ株式会社のオーディオブランドである。
1972年に当時TRIO(トリオ)の創業者である春日二郎らによってケンソニック株式会社が設立され、高級ハイエンドアンプの製造を開始する。
1982年に、現在のアキュフェーズに社名変更する。
80年代には、ラックスマン、パイオニアの高級ハイエンドブランドであるEXCLUSIVE(エクスクルーシブ)と共に日本の高級ハイエンドオーディオブランドとして世界に君臨する。
セパレートアンプを基本として初代プリアンプC-200と、パワーアンプP-300によってセンセーショナルなデビューを飾る。
その後、C-200とP-300を合わせた初代プリメインアンプのE-202は、今も尚名機として高い評価を得ている。
一環とした音質への拘りはオーディオ氷河期をものともせず、毎年のように名作を作り続ける。
尚、製品を購入しユーザー登録すると毎年正月に年賀状が届くというファンを大事にする社風である。