JVC(ジェーブイシー)は、株式会社JVCケンウッドのオーディオブランドの一つである。
元々は株式会社日本ビクターが持つブランドであったが、日本ビクターが松下グループ(現パナソニック)から離脱し、2008年に株式会社ケンウッドと資本提携し、両社の持株会社である株式会社JVCケンウッドを創設し同社のブランドに移行した。
日本ビクターとしては、1929年にアメリカのビクターがRCAに統合されたのをきっかけに、1931年より日本において蓄音機の工場が稼働し、これが事実上の日本ビクターの祖業となる。
日本オーディオ界においては戦前からの最も古いメーカーという事になり、あらゆるオーディオ製品を創出してきている。
1945年の終戦後に株式会社日本ビクターに社名変更し、RCAとの交渉を通じて日本における独自路線を歩むことになる。
1954年には、松下グループの資本傘下に入りレコードプレーヤーやテープレコーダーなどの製品を創出する。
本格的な民間向けのオーディオ製品を創出し出すのは1970年代に入ってからで、コンポーネントステレオセットや本格的スピーカーシステムでオーディオブランドを確立して行く。
名スピーカーSX-7はこの頃に発売され、SXシリーズ(SX-7、SX-5、SX-3)は空前の大ヒット&ロングセラーとなる。
その後、VHS方式のビデオデッキでもブランド力を上げていく。
低迷期は有ったものの、オーディオ氷河期を乗り越え90年代からのミニコンポ時代にはオンキョー、ケンウッド、デノンと共にオーディオ界に君臨する。
近年では、ウッドコーンを使った小型スピーカーが空前のヒットとなり、単体としてもミニコンポとしても再びJVCブランドが注目されている。
そんな中でのケンウッドとの資本参加、2つの強力なブランドを持つ株式会社JVCケンウッドは今後益々目が離せない。
TEAC(ティアック)は、ティアック株式会社のオーディオ製品のブランドである。
1953年、東京武蔵野市で東京テレビ音響株式会社として創立し、1962年にティアックオーディオ株式会社と改名する。
1956年に、東京テレビ音響株式会社の子会社として東京電機音響株式会社を創設し、1962年にティアック株式会社と改名する。
1964年に、上記両社は合併し、現在のティアック株式会社が誕生する。
祖業事業としては、各種計測機や計測システムであったが、62年ごろからオーディオ事業に進出し、祖業の計測器事業は1964年の合併時期に分社化しオーディオ専業メーカーに生まれ変わる。
オーディオ製品での実績は、祖業の計測器技術を生かしたオープンリールデッキやカセットテープデッキが有名で、安定したモータードライブ技術を基にレコードプレーヤーのターンテーブルなども手掛ける。
90年代に起きたオーディオ氷河期を自助努力で乗り越え、2000年以降は独特のデザインに独自技術を詰め込んだデジタルアンプやデジタルオーディオ機器なども手掛けている。
昔からティアック=技術の塊的なイメージが強く、デザインも工業デザイン的な斬新なデザインが多く、オーディオマニアの中でも理工系のマニアには特に支持されている。
現在のアンプなどのデザインを見ても、「まるで計測機のようでゾクゾクする」という個性的なファンも多い。
スピーカー製品は、一時期タンノイの代理店を行っていた経緯もあり、同軸2ウェイユニットを使った小型スピーカーシステムを誕生させるなどファンを驚かせる話題性もある。
オーディオ業界にあって常にイマイチの存在感ではあるが、ユニークな製品を創出する姿勢は高く評価されている。
高音質デジタルアンプ部門ではリーディングカンパニー的存在で、近い将来デジタルオーディオ全盛期に更に高く評価されるブランドとなる可能性が高い。
Technics(テクニクス)は、パナソニック株式会社(旧松下電器産業株式会社)のオーディオ部門のブランドである。
1965年にSB-1204に初めて「Technics-1」という製品ブランドが用いられ、その後オーディオ製品に用いられるようになる。
尚、2010年にTechnicsブランドの製品製造は打ち切られるが、2014年に再開している。
オーディオ業界にあって、多数のオーディオ専業メーカーとの競合を避け、大衆オーディオ機器に注力し一応の成功を収めた。
1970年代~80年代までは、高級ハイエンド製品も出しており、スピーカーシステムやアンプにおいて名機も多数創出している。
また、この時期はスピーカーユニットのメーカーとしてフォステクスとコーラルと三大スピーカーユニットメーカーとしてDIYオーディオファンに支持された時期もある。
尚、1988年頃から大衆オーディオ部門は徐々に同社のPanasonicブランドへ引き継がれていく事になる。
1989年以降は、ハイファイオーディオ製品もロエントリークラス~ミドルクラスはPanasonic、高級ハイエンド製品はTechnicsというように2つのブランドを使い分ける戦略に移行する。
また、その後のデジタルオーディオやポータブルオーディオなどの製品もPanasonicブランドで出している。
ハイファイオーディオブームが徐々に復活を見せる2015年にはTechnicsブランドも復活し、ファンも期待を持って見守っている。
尚、ニューヨーク近代美術館に世界初のフルオートマチックレコードプレイヤーSL-10とユニークなWホーンスピーカーシステムSST-1(ドライブユニットSST-40WT)が展示されている。
どちらもSFの世界に登場するような斬新なデザインと機能で、まるでロボットを彷彿させます。
時代背景を考えればオーディオが出始めた時代であり、これが一般市場に投入された製品なのだから世界中が驚いたのは当然です。
勿論、当時雑誌で見た私は、もう欲しいを飛び越して別世界の物だと自分に言い聞かせるしかありませんでした。
FOSTEX(フォステクス)は、フォスター電機株式会社のスピーカーユニット及びスピーカーシステムなどのオーディオブランドである。
1949年に、西村茂廣と篠原弘明により信濃音響研究所が設立されスピーカーの製造を始める。
1953年に株式会社へと改組し、1959年にフォスター電機株式会社へと社名変更する。
1960年より、ソニーのトランジスタラジオ用にスピーカーユニットを供給し始め、経営基盤を強力なものとしていく。
1962年には東証二部に上場し、スピーカーユニットのブランドも定着していく。
その後、全世界に海外子会社を設立し、グローバルブランドへと成長を遂げていく。
70年代には、テクニクスとコーラルと合わせてDIYスピーカーユニットブランドの3大ブランドとして名を馳せ、多くのDIYファンに親しまれた。
また、DIYファン向けのバックロードホーンエンクロージャーのキットなど、ユニットと組み合わせたエンクロージャーキットが大ヒットし、ブランドを揺るぎないものにしていく。
80年代後半にテクニクス、コーラルが事業廃止や経営破綻で脱落し、日本の唯一のスピーカーユニットブランドとして一時期国内では独占状態となる。
今も尚、日本のブランドとしてほぼ独占状態が続き、90年代に輸入業者によってライバルは台湾や香港などの海外ブランドとなっている。
スピーカーユニットに加えてスピーカーシステムでも名機名作は多く、DIYファン向けのD級アンプやチャンネルデバイダーなどのオーディオアクセサリー類も手掛けている。
現在、世界的にDIYオーディオマニアの間ではフォステクスは日本唯一の高級スピーカーユニットブランドとして定着している。
近年、初心者でも手軽にDIYオーディオが楽しめる「かんすぴセット」が安定した売り上げを上げており、新たな市場開拓戦略が功を表する。
一環として高級スピーカーユニットを供給するだけではなく、常にファンに喜ばれる新たな戦略を繰り出していくところが、日本唯一のユニットブランドとして残った理由であろう。
Onkyo(オンキヨー)は、現オンキヨー株式会社のブランドである。
尚、正式なブランド名および社名は「オンキョー」ではなく「オンキヨー」である。(他の記事では一般的な呼称である「オンキョー」を用いています)
1946年に、松下電器のスピーカー工場長であった五代武によって大阪に創設された会社が大阪電気音響社である。
翌年、大阪音響に社名変更し自社製のスピーカーユニットを用いたラジオを発売し大ヒットを飛ばし一躍オーディオ界に台頭してくる。
尚、自社製のスピーカーを搭載したラジオを製造販売した会社は日本では他にダイヤトーンのみである。
1957年には、総合家電を目指す東京芝浦電気(東芝)の資本を受け入れ、同じく創業したての山中電機(ブランド名:テレビアン)、七欧電機(ブランド名:ナナオラ)と共に東芝グループとなる。
1971年、全オーディオブランドをOnkyo(オンキヨー)に統一し、ハイファイオーディオ製品を創出して行く。
その後バブル崩壊まで繁栄を極めるも、オーディオ氷河期を乗り越えられずに1993年に東芝との資本関係を解消し独立する。
尚、東芝は当時東芝独自のオーディオブランドであるAurex(オーレックス)を立ち上げており、部品や製品の供給は続けられた。
その後のオンキヨーは、新時代に対応すべくミニコンポなどで盛り返しを図る。
2000年以降には、同業他社を子会社化したり、台湾企業との資本提携など経営的な動きが激しい時も有ったが、一環としてオーディオに対する姿勢は変わることはなかった。
現在のOnkyoは、オーディオ氷河期を乗り切った数少ない日本のオーディオブランドとしての地位を固め、再び高級ハイエンドスピーカーやアンプなどを手掛けている。
マニアの間には「何を選べばよいか迷ったらオンキョー」というようなレジェンドが広まる程、突出した個性的な音色こそ無いがどの製品を買っても後悔することはない。
ただ、私的には70年代のセパレートアンプや90年代前半までのミドルクラスのプリメインアンプの「インテグラ」シリーズの音色が好きで、サンスイトーンに近い中低音の締まった音が何とも言えない味を醸し出してくれるのです。
また、最近の小型ブックシェルフスピーカーのD-212EXはセットで7万円前後という価格ながら、中型ブックシェルフかと思わせるようなメリハリのある音質で、バージョンを変えながらロングセラーを続けています。
上位の412とは遜色ない音であり下位の112とは別次元の音です、そういう意味では価格とのバランスでハイ・コストパフォーマンスなスピーカーの一つと言えます。