2024年3月21日 08:00
約150年前に日本に食用として持ち込まれた西洋タンポポですが、その驚異の生命力により「日本古来のタンポポが駆逐される」と言われてきました。
事実現在では、環境省指定要注意外来植物であり日本の侵略的外来種ワースト100に選定されています。
しかし、その生態などを勘案するに、日本古来のタンポポ種と住み分けによって共存している事が解ってきます。
決して、日本古来のタンポポを駆逐するような品種ではありません。
その理由の一つが、日本に定着している西洋タンポポ種が「無融合生殖種」であるということがあげられます。
つまり、この個体は花粉が不完全であり、受粉ではなく細胞のコピーによって種を付けます。
つまり日本に定着している西洋タンポポの多くは、同じDNAを持っている一つの種であると言うことです。
この事実によって、花粉を飛ばし日本古来のタンポポ種に影響し雑種を生むという説は懐疑的な見方ができます。
ただし、現在では観測によって日本古来種との雑種が多く発見されているという報告もあります。
しかし西洋タンポポが、日本古来のタンポポ種によって逆に変異している可能性も否定できません、それは先の「無融合生殖種」であるからに他ならないのです。
また、日本古来のタンポポ種が群生している地域では、西洋タンポポは見られず、主に都会に多く見られるという報告もあります。
どのようなメカニズムをもって住み分けしているのかは、現在でははっきり解っていませんが、住み分けをして共存していることは確かな事実なのです。
西洋タンポポの強靭さの一つは、以上のように受粉せずとも種を作る能力があげられます。
しかし西洋タンポポの強靭さはこれだけではありません。
根と葉の付け根の生長点を失われても、根の一部が残っていれば、何処の部分からでも生長点を復活させ葉を出してくるという生命力を持っています。
また、葉・茎・根を傷めると白いゴム状の乳液を分泌し、虫や動物による食害から身を守る「アレロパシー機能」を持っています。
また、咲いている花を摘まんでお皿の上などに置いておくと、一旦はしおれてしまうのですが、その数日後には真綿のような種を作る生命力に驚かされます、まさに枯れても尚も子孫を残すのです。
更に、日本古来のタンポポ種は春に1回しか花を咲かせませんが、西洋タンポポは条件が揃うと年に何回も花を咲かせ種を飛ばします。
このように極めて強靭で生命力の強い西洋タンポポですが、どんな有効な成分が含まれているのか興味を持たざるを得ません。
改めて調べてみると、恐るべき薬効成分が含まれていたのです。