2023年7月14日 07:00
バブル景気崩壊直後から急速に増えてきた事象に定年退職者の海外移住があります、その後は働き盛りの中高年者へ海外移住ブームが移行しました、発展途上国であれば同じ所得でも生活水準が数段階も上がり広い住空間が手に入りインターネットの普及で何処にいても仕事が出来るインフラ整備もこれを後押ししました。
リーマンショック以降にブームになったのが若者世代の都会から地方都市や田舎の山奥などへのIターン移住です、これも同様に競争社会からのんびり暮らせる住空間を手に入れ低所得でも楽に暮らしていけるというのが理由の一つだと思います。
毎年のように年末に放映されるテレビ特番では、「自由で自然と共に生きる理想郷の追求」などという内容に仕立て上げていますが視聴者からは彼らが本当はどんな理由でそうしているのかは知る由もありません、私は天の邪鬼(あまのじゃく)なので「都会でも困窮せずに楽に暮らしていけるほどのお金を稼げていたら同じことをしていたのだろうか?」などと考えてしまいます。
さて海外移住やIターンは大いに結構なことですが実際に行うにはやらなくてはいけない事がたくさんあります、それはその地をしっかりと全方位から検討して事前調査を行うということです。
私の先輩は定年後に上海から車で1時間程のところに奥さんと2人で移住したのですが2年もしないうちに日本に戻ってきました、また元社員はリーマンショック後に秩父の山奥に古民家を村から借りて移住しましがやはり3年もしないうちに東京に戻ってきました。
この2つのケースに共通する事が事前調査不足で当初描いていた思惑が大きく外れたということです、前者は生活用品などの入手や病気の際の不安に加えて言葉の壁は思っていた以上に大きかったといいます、後者も同様に食料品や生活用品の入手問題と冬場の想像を絶する環境に疲弊したといいます。
「住めば都」とは何処に行っても同じような生活環境だった昔の話しで生活環境が二極分化している現代において実行する際には充分な事前調査を行うことが肝要かと思います、安住の地を求めるのであれば春秋の快適なシーズンに下見するだけではなく雨季や冬にはどんな状況になるのか四季を通じて下見すべきです。
またその地の文化や習慣などをしっかり見定めてほしいと思います、地方の習慣やルールは東京などの都会とは国が違うと思えるほどに別世界なのですから。
良いシーズンに旅行で行くのと四季を通じて住むのとでは大違いです、私はパリや香港という文化都市でも数ヵ月住んだだけで食べ物や言葉にストレスを感じるようになったのは事実です、まして極寒でのロシアでの生活は食べ物に始まり日光の無い真冬の毎日は耐えられないものでした、吐いた息が髪やまゆ毛に氷となって張り付き液体は瞬間的に氷になるので建物の外での飲み物は全てアイスクリームだけです、しかも手の温度が伝わっても全く溶けないという別次元の環境です。
食べ物では最近でこそ日本食ブームでどの国でも日本食が食べられ日本の調味料や食材も手に入ります、でもそれは理論上の話しであり実際には日本にいるのとではいろんな意味で次元が違うのです。
気候や食生活だけではなく特に病気になった際のことを充分に考慮して欲しいです、これは極めて重要です、歯の治療一つ薬を買うのもだいぶ勝手が違います、理想を求めるのは大いに結構なことです、でも思惑外れは命に関る事態にもなることを念頭において行動すべきかと思います。
更に怖いのは自由でのんびりできると思っていた田舎や海外でまさかの精神疾患にかかってしまうような事態です、こういった警鐘にも似たニュースや記事も近年多く見られるようになりましたのでネットで検索して情報を得ておく事も肝要です。
住む世界が違えば生活習慣やゴミ問題などのローカルルールが180度違うことも多々あるのです、都会のように生ゴミは焼却するのではなく田舎や発展途上国では家畜の飼料や田畑の肥料となる貴重な資源なのです、したがって地域によっては生ゴミを捨てるにも細かなルールが存在するのです、また古新聞や段ボールに古畳や古建材も貴重な生活資源です、これらがどれほど重要なのかはそれを必要とする環境の地に住んでみないと解らないことです。
私は信州で育ったので豪雪や極寒に地方独特の文化や習慣も経験しているので良く知ったところです、充分に経験している私でさえも一旦都会の生活に慣れてしまうと違和感を感じる事象も多々あるのですから、まして未経験者では耐えがたい人もいておかしくありません。
かく言う私は毎日のように時間を作ってはネットで隠居後の安住の地を探しています、しかし調査すればするほど理想の地はなかなか見つからないのです、一つ良いところを見つけると一つ不安要素が見つかるのです、それは気候や水・空気などの住環境であったり災害リスクや市町村のローカルルールであったり様々です。
結局のところ老後快適に不安なく暮らせるのは「何でもすぐ手に入り、医療等の不安が無い日本の都会なのかな?」とも思えてしまうのです、この10年来の調査で本当に日本の都会はパラダイスなのだと改めて思います、究極の理想を言うと国内外に複数の住む場所があり季節や気分によって転々とすれば常に心身が安定した理想郷を手に入れることができるということです。
それには楽に暮らせるだけの余裕資金が必要です、いつまでも健康で不便なく暮らすためには先立つものはお金なのかもしれません、お金が無くても暮らしていけるなんていうのは若いからです、若さは無敵ですが年齢と共に資金の問題はひしひしと身に染みて解ってきます。
本当の理想郷を得る為には働ける時に我武者羅に働く、そして国策年金に頼らない自己年金を早期に確立することです、理想郷とは物理的な安住の地や環境だけではありません、もっとも理想とするのが不安なく暮らせるという「心の領域」に在るのです、国策年金は老後生活する為の絶対的な存在ではなく小遣い銭程度に考えるべきです。
自己年金とは私流の定義があって自分の努力で自身の為に確立する究極の不労所得を意味しています、現在複数の独自の方法を編み出しては構築中であり、あと数年もすれば私の周辺にいる門下生も含めてすべてにおいて最高の結果が出るでしょう。