道楽復活でホームシアターシステムを組むときに、不足したサラウンドスピーカー(7.1Ch用のフロントハイ用)を補うために緊急的に購入したJBL A120W(2018年発売、ペアで実売参考価格2.2万円<定価不明>)です。
このA120Wは、安価ながらもサラウンドで使うのはもったいないほどの高音質で驚きました。
とにかく中音域と高音域の張り出しが凄いのです、流石にサラウンド用に考えられたスピーカーだけあります。
また、小型ブックシェルフとしてメインでも使えるように音質が調整されており、サラウンドで使う時はミュートスポンジでダクトを塞ぎ、メインで使う時は外します。
JBL A120W
そこで、ミュートを外した状態でJBLと相性の良さで定評のあるサンスイのアンプAU-α607iと合わせて音出しをしてみたのです。
流石に低音域こそ物足りないものの、やはり中高音域の張り出しは数段階上のクラスのスピーカーに劣らない音質で、しかもJBLらしい元気で明るい音質なのです。
ここで閃きました、サブウーハーの投入です。
AU-α607iには専用端子が当然付いていませんので、RECアウト端子からステレオ-モノ変換ケーブルを使いコンパクトなサブウーハーであるヤマハYST-FSW050と直結しました。
この閃きは、ズバリと当たって見事にJBL A120Wの低音域不足を補い、少し離れて聴くとまるで大型3ウェイブックシェルフを鳴らしているような音になりました。
流石にサブウーハーですから、硬く締まった低音域ではなくもったりとした音質ではありますがBGM用としてはかなり使えます。
このJBL A120W、サラウンドスピーカー使用だけではなく通常のオーディオスピーカーとしても使えます、音質的にもかなり気に入りました。
使い方次第では、めちゃくちゃコストパフォーマンスの高いスピーカーと言えます。
流石にJBL、ジャズファンの期待を裏切りませんね。
11.4Cmウーハーに2.5Cmアルミドームツイーターという構成で、ツイーターはホーンを付けて指向性を向上させています、この効果なのかサラウンドに使った場合の高音域の破壊力は凄いです。
いろいろと工夫して愉しめるスピーカーだと思いますが万能とは行きません、人によっては独特の派手で元気過ぎる音質が刺激的な音に聴こえてしまうかもしれません。
かなり好みが分かれる音色のスピーカーだと思います。
やはり、ホームシアターシステムでのサラウンド用として使うのが一番ですが、小型のサブウーハーと合わせてテレビの音質向上システムとして使うという手もあります。
90年代に入り、高性能な小型ブックシェルフの快進撃によってスピーカー部門のシェアを拡大していったオンキョー。
そのオンキョーが放った、本格的ホームシアター用スピーカー群の中にあってサラウンド専用スピーカーのHTS-SR10(1999年発売、セットで4万円)です。
オンキョー HTS-SR10
このHTS-SR10はどこにもバスレフダクトが付いていません、なんと密閉型のサラウンド用スピーカーなのです。
余程のユニットに自信があるのでしょう、密閉型でありながら13Cm口径のユニットと2.5Cmソフトドームツイーターで中温域から高音域までが押し出してきます。
密閉型なのでバスレフダクトを塞ぐ必要もなく、サラウンドスピーカーとして理想的な音質に設計されたスピーカーです。
ウーハーユニットのコーンはD-202AXに使われているコーンと同様のオンキョー独自のOMFコーンです。
単独での音質確認では、当然のことサラウンド専用ですから低音域はほぼ出てきません。
また、パワーを入れると中音域の腰の強さが発揮され、伸びた高音域とのハーモニー効果で見事な音質になります。
また、懐が深いというか音場が広くちょっと視聴位置がずれても音量が変化することがなく、一度調整したら安定して映画に集中できるので私の超が付くほどお気に入りなサラウンドスピーカーでもあります。
センタースピーカーHTS-C10同様に国際ホームシアターの音質認定であるTHX認定を受けたサラウンドスピーカー、音質認定はダテではありません。
外見は写真では解りずらいのですが、フロントよりもバックが広く台形型に広がっており、この形状によって密閉型独特の定在波による歪みを低減しています。
85dBの音圧で135Wの入力耐性と、どんなフロントスピーカーと合わせても十分に存在感を出してくれます。
ブラック塗装に見える外装は実はブラック木目であり、光の当て方でうっすらと木目の模様が浮かびあがり見た目にも美しい仕上げになっています。
私が最近の小型スピーカーの音の個性を掴む目的で使っているリファレンススピーカーが、ヤマハのモニタースピーカーNS-10MT(1995年発売、ペアで8万)です。
ちなみにベースのNS-10Mは、マニアの間では「テンモニ」という愛称で呼ばれるほど知られた存在で、本機はその意味では「テンモニ・シアター」と区別する人もいます。
ヤマハ NS-10MT
ヤマハのNS-1000Mに始まり、100M、10Mと最後の品版にMが付くスピーカーは、70年代後半に発売されて以来放送局の録音スタジオで使われる音質チェック用のモニタースピーカーという位置付けになっています。
NS-1000Mシリーズはヨーロッパの各放送局のスタジオルームのモニターとして採用され、一躍世界中で大ヒットを飛ばしたモニタースピーカーシリーズです。
1000Mが大型3ウェイ、100Mが中型3ウェイ、10Mが小型2ウェイのブックシェルフです。
そして、このNS-10MTはNS-10Mをシアター向けの音質に改良し満を持しての発売で、ジャンルを問わず癖の無い音で高評価を得ています。
発売がオーディオ氷河期のど真ん中の95年ではなく10年後の2005年であれば、おそらくペアで確実に10万円以上でも安いと感じるでしょう。
MTの最後のTは「Theater」のTで、NS-10Mよりも奥行きをとって容積を増やし、更に2つのマグネットを逆極性で合わせて電流歪を軽減したという贅と技術を思う存分に投入した特製ユニットを採用しています。
また、10Mの密閉型からバスレフ型にしてクラシックだけではなくジャズやロックでも迫力ある低音を響かせるように工夫されています。
音質は小型スピーカーの音質確認のリファレンスで使っているくらいですから当然癖がなく、低音域から高音域までフラットに綺麗に伸びた理想的なナチュラル音色です。
各楽器の音色が詳細に気持ち良いくらいに分離されて、その意味ではリファレンススピーカーとしても最適なのです。
リファレンススピーカーとは、アンプやスピーカーの音質を測る際の参考音質として使うものですから個性があってはリファレンスにならないのです。
ただし、神経質すぎるほどの繊細な音質は気楽に音楽を愉しむという使い方にはやや難があるように思います。
どうしても神経がスピーカーにいってしまい、音の一つ一つが気になって仕方ないのです。
やはり、音質測定機という位置付けがぴったりくるスピーカーだと思います。
こういった癖の無いモニタリング用の小型スピーカーが、近年発売されていないのが寂しい限りです。
ホームカラオケを計画する前に、各種の音質の実験用にミニライブハウスで使われるプロフェッショナル仕様のPAスピーカーを購入して音質の検証を行いました。
そのスピーカーはビクターPS-S552B(発売年不明:現行商品、定価9.8万円)で、同社PAブランドのVOSSやJVCといったブランドでも同じ型式名&価格で発売されています。
私は、オーディオショップからの購入で、取り扱いブランドの関係上ビクターブランドとなりました。
ビクター PS-S552B
フロントグリルを外したところ
ホーン型ツイーターがいかにもPA用といった印象を受けます
このスピーカーの魅力は何と言ってもコンプレッションドライバーとホーンによる高音域です、流石にライブハウスでの使用を考えられているだけのことはあって、その音色は極めてダイナミックです。
ただ、こういった派手な音色は人によって好みがはっきり出てしまうようでドンシャリが濃すぎて高音域が響く音色に嫌味を感じる人もいるでしょう。
まだ購入したてでエージングが足りないのか、やや低音域が弱いのですがホームユースの同サイズのスピーカーに比べればガンガン前に出てきます。
ある程度エージングを行えば低音域がふっくらしてきてトータルバランスが整ってくると思います、購入したてのスピーカーはその辺を考慮して検証する必要があります。
買ったばかりの音色ではなくエージングが進んだ未来の音色を想像しながら検証するのですから、経験が浅いと評価するのは難しいかもしれません。
逆説的に言えば、こういうところで経験の差が最も出るポイントかもしれません。
総合判定ですが、エージングを充分に行えばホームカラオケユースでも問題なく使えます、ただしニアリスニングはご法度でとても心地良く聴くことはできないでしょう、ある程度の広さの部屋が必要なスピーカーです。
実際のホームカラオケでは大型のフロントスピーカーを考えているのでホームシアターと併用してのバックサイドに置くサラウンドスピーカーで使用することになるでしょう。
それにしても高音域の響きはかなり迫力があります、ハット系のドラムが耳元で鳴り響きます、これは私が大好きな音色です。
エージングを充分に行った後の音色を確認しないと何とも言えませんが、中高音域だけを取り上げるなら大部屋でのホームユースでジャズやロックを聴くスピーカーとしても大いに活用できると思います。
尚、窓ガラスが共鳴で鳴る程かなりのパワーをぶち込んでみましたが箱鳴りはほとんどありません、流石にプロフェッショナル仕様です、是非とも大出力のPA用パワーアンプでドライブさせたいスピーカーです。
少音量での一般試聴用には音質的に向きません、うるさいほどの大音量で初めて良さを発揮できるスピーカーでしょう。
ある時はホームシアターシステムのフロントスピーカーを務め、ある時はサブシステムのスピーカーを受け持ち、ある時は中型ブックシェルフスピーカーのリファレンスを務め、ある時はミドルレンジアンプのリファレンススピーカーを務め、あるときは各種の実験用モニタースピーカーを務める。
こんな各種の使い方をされ続け、私の元で30年近く頑張り続けているのがJBL Control 5Plus(1991年発売、ペアで8.4万円)です。
JBL Control 5Plus
新開発コーンの20Cmウーハー(スペックでは20Cmとなっていますが実測での有効稼動部の直径は18.7Cmでした)に2.5mmのバランスドライブ型のツイーターを搭載したバスレフ型の中型ブックシェルフです。
モニタースピーカーだけあって、かなり荒っぽい使い方をしてもびくともしないのは流石です。
音質は伝統のJBLサウンドそのもので、カラッとした極めて明るく元気の良い音質です。
少しオーバー気味にパワーをかけた方が鳴りが良いようで、低音域から中音域の押し出し感はサンスイのアンプに極めて相性が良いです。
現在は、メインで使われる事も無く主にストックされているだけですが、ときどきじっくりと聴き込みたい事がある不思議な存在です。
一緒に購入したControl 1が、窓際に置いておいて1シーズンでコーンのエッジがボロボロになって廃棄、一時期はセットでホームシアターのフロント/サラウンドで豪快な音を醸し出していたのを記憶しています。
まさか音質チェック用に作られたモニタースピーカーをホームシアターのフロント/サラウンドで使うなんて、おそらく私くらいでしょう。