高音質小型ブックシェルフスピーカーを検証-4~オンキョー D-212EX
2024年8月 2日 08:00
「迷ったらオンキョー」、何時頃からかこんな言葉がオーディオマニアの間で定着しています。
一貫してオンキョーの製品はジャンルを問わないオールマイティな音質で、どの製品も外れがありません。
そして、ときどき物凄いハイコストパフォーマンスな化物が誕生します。
このD-212EX(2009年発売、ペア6.6万円)もその一つで、発売から2年間に各種の賞を総なめにしました。
そんな情報を得てしまったら手に入れない理由はありません。
オーディオ道楽復活後、大手オーディオ専門店でギリギリ在庫が残っており何とか新品を購入する事ができました。
オンキョー D-212EX
デザインや作りも凝っていて、生木突板のカーブがかった側板のカラーリングも光沢仕上げも現代風で手を抜いているところが一切無く実に高級感が在り且つオシャレです。
音質は13Cm口径のウーハーユニットを使った小型ブックシェルフとは思えないほど低音域から高音域までレンジが広くて、そして何より切れの良さが抜群です。
D-302Eを筆頭に使われ出したこのオンキョー独自のバスレフ方式は、ダブルバスレフと表現する人もいますがエンクロージャーの下に更に空間を設けて共鳴させることにより低域再生を強力なものにしています、ただし音量を上げるかラウドネスをオンにした状態で聴かないとこの利きの良さは素直に現れてきません。
特に綺麗に表現してくれるのがアコースティックなジャズピアノトリオ、これが新開発コーンの「A-OMF」という素材とバスレフ方式の賜物だとしたら、オンキョーのスピーカーに対する強い意志を感じるスピーカーの一つです。
ウーハーはモノコックの逆ドーム方式でDALIなどのメーカーも多用している方式、継ぎ目が無く歪を最大限に抑えられる構造をしています。
D-212EXには、兄貴分の412、弟分の112、012というシリーズが揃っていて後続機種も次々とシリーズ化されています、価格面と音質の比較では212が最もコストパフォーマンスが高いと言えます。
また、大きさも丁度良い大きさでフルサイズコンポでもミニコンポでも合わせた場合の違和感がありません。
エンクロージャーも余計な振動が一切せず、大きさからは想像できないほどの重さがあります。
70年代や80年代のビンテージアンプでも最近のデジタルアンプでもアンプの特性そのものの音質で素直に表現します、このようなアンプを選ばない小型スピーカーは極めて貴重です。
密閉型の大型3ウェイブックシェルフならまだしも、小型ブックシェルフでこれだけの低音域から高音域まで綺麗に伸びたスピーカーはなかなかありません。
D-202AX LTDのように、後に小型ブックシェルフの名機と謳われるのは間違いないでしょう。
ちなみに製造終了から10年以上経っても中古価格が定価の50%前後と高止まりの状況で下がるどころか上がってきています、この時代のオンキョーの高性能小型スピーカーの評価は確かなものである証です。