小型PAスピーカーの実力の程は?-6~JVC PS-S220B
2024年1月31日 08:00
何でしょう、このスピーカー?
イカのエンペラー(イカ耳)のような形をしていて、三角形の頂点付近に左右2個の8Cm口径のスピーカーユニットが付いています。
実はこれ、構内放送用の業務用スピーカーなのです。
どうしてこんな変な形のスピーカーをあえて買ったのか?
それは、ホームシアター道楽を復活した際に封印する前の5.1Chから7.1Chにしようと考え、フロントハイ用のサラウンドスピーカーを左右に音をできるだけ広げようと自分流に検討した結果なのです。
あらゆる情報を得て、理想に適合するスピーカーが無いかと探して見つけたのがこのJVCのPS-S220B(発売年不明の現行品、ペアで4万円)です。
周波数レンジもホームシアターのサラウンドスピーカーとして最適です。
JVC(ビクター) PS-S220B
ところが購入して音を確認し、「これならサラウンド用に使える」と思った瞬間、極めて重要な事に気付いたのです。
「あ、ここはマンション、壁や天井に取り付け穴を残せない!」
はい、ということでトールボーイスピーカーの上に乗せてフロントハイを疑似再現するデノンの小型ながらも高耐圧ハイファイ音質のイネーブルドスピーカーにせっかく得た地位を譲り、一度も使われないまま数時間の試聴だけで退役となったのです。
音質は、丁度よいくらいに低音域と高音域が下がったナローレンジの所謂カマボコ型で中音域を中心に張り出してきます。
といっても低音域や高音域が聴こえないということでもなく、ナローレンジながらもそれなりにバランスが取れた音質です。
バランスが良いと言っても、ハイファイオーディオにはとても耐えられる音質ではありません。
ただ、BOSEの101シリーズなどよりも、高音域が綺麗に伸びていてこちらの方が音色的には万人受けするでしょう。
思った通りでサラウンド用として手軽に使うにはもってこいです。
小型ブックシェルフを壁掛けでサラウンド用に使う場合はバスレフダクトをミュートして使わないといけないのですが、これは密閉型ですのでそのまま使えます。
そもそも、サラウンドチャンネルにはほとんど低音域が入っていませんから、効果音は中高音域の張り出しが命です。
また、左右に開いた2つのユニットの織りなす音の浮遊感は、狭い幅で左右のスピーカーを設置すると絶妙に空間でハーモニックして考えた以上の自然なサラウンド効果が出ます。
更に嬉しいのが軽量だということです、それと一応密閉型で業務用特命の頑丈な作りがまた何とも頼もしいです。
ちょっと当たったくらいでは傷の一つも付きません、それに比べてハイファイオーディオ製品は繊細でちょっと当たっただけで角が剥がれ落ちてしまいます。
音を聞いた瞬間は、「決まった!」と思ったのですが、現役で使えないのが残念です!
ただパワーを入れると特定の周波数で妙な鳴き(響き)が入ります、これを解明する為に分解してみたら何と密閉型なのに吸音材が一切入ってない!
塩化ビニールや硬質ゴム製のエンクロージャーならまだしも、このPS-S220Bはよくある普通の硬質プラスチックです、内部で音が反響して妙な鳴きが入るのかもしれません。
これは致命的、例え業務用でも特定の周波数での共鳴を起こしてはホームシアターには使えません。
とは言え、構内放送用なのでオーディオに使う事をそもそも意識した作りにはなっていないので致し方ないことです。
ということで、何時の日にか使えるようになったら箱鳴り防止補強と吸音材をびっしり詰めてホームシアター向けのサラウンドスピーカーに作り変えてみたいと思います。