トールボーイスピーカーの実力の程は?-3~ソニー SS-GT77
2025年2月10日 08:00
ホームシアター黎明期に発売されたソニーのトールボーイ型スピーカーSS-GT77(1989年発売、セットで8.4万円)は、ホームシアターのフロントスピーカーとしても、オーディオのメインスピーカーとしても両用できるように設計されたソニーのハイコストパフォーマンスな傑作スピーカーです。
AV時代を先取りするかのようなスペックとまったく適合しないこの価格は、ソニーのオーディオからAVカテゴリへの移行という意気込みを感じさせる戦略的価格であることは明らかです。
ソニー SS-GT77
ユニット構成は、16Cmウッド2個、7Cmスコーカー2個、バランスドライブ型の2.5Cmドームトゥイーター1個の5スピーカー3ウェイ構成で、1個のスコーカーは最上面に配置され、左右30度ずつ向きを変えられるという仕様になっています。
これによってホームシアターのフロントスピーカーとして使う時には、上面スコーカーを外向きにして音場を広げサラウンド効果を持たせることが可能になります。
またオーディオのメインスピーカーとして使う時には、上面スコーカーを内向きにしてより音の定位を安定にする事ができるという優れものです。
上部のスコーカー正面
左30度に首振り
右30度に首振り
2個のスコーカーとバランスドライブのツイーターが極めつけの中高音域の迫力を発揮し上部高音域まで綺麗に伸びており、ホームシアターのフロントスピーカーの音質としては文句無しの愉音を発します。
ホームシアターという新時代の到来前夜に相応しく、こういうスピーカーは確実にコレクターズアイテムとして確保しておきたい逸品です。
ハイファイオーディオのメインとして使うには低音域はしっかり出ているものの切れはイマイチ、ただ価格から考えれば贅沢な要求かも知れません。
ソニーのホームシアターにかける意気込みを感じさせる製品で、かなり戦略的な価格をぶつけてきておりスペックや音質面と総合的に考えればコストパフォーマンスは極めて高い傑作品と言えます。
また、結線端子が底面に付いており、スピーカーケーブルがダラリとせずに綺麗に配線できる工夫も素晴らしいです。
AVアンプでライブDVDなどを愉しむと、ジャスボーカルのライブなどは音場の広がりが凄くてライブハウスに居るかのようなリアル感があります。
低音域がしっかり存在したうえでの中高域の押し出しが強いスピーカーは、ジャズトリオやボーカルを聴くのには最適です。
1985年頃からホームシアター道楽を始めた私が、初めて買ったトールボーイスピーカーがこれでした。
このスピーカーの存在感と音に対して愛着が強く10年以上常用しました、道楽封印時にキープした逸品であり30年経った今でも当時の音質のまま元気に鳴ってくれました。