2025年3月 6日 08:00
アンプの種類は機能別に2種類あります。
一つはプリアンプ(コントロールアンプ)で、入力された信号を調えノイズなどを抑えて音質を変化させたり不要な領域の音をカットするなどの機能を有したアンプです。
プリアンプの回路構成は、フォノイコライザー、トーンコントロール、各種フィルター、初段増幅器(プリアンプの由来)などで構成されています。
もう一つはメインアンプ(パワーアンプ)で、プリアンプから送られた信号をスピーカーを駆動するのに必要な電流を得る為の最終増幅(メインアンプの由来)を行うアンプです。
これをそれぞれ別にしたものをセパレートアンプと呼び、高級ハイエンド領域のアンプです。
同じ仕様でのミドルクラスのプリメインアンプが20万円だとすると、それぞれの回路に使う部品を厳選して回路にも手を加えてプリアンプとメインアンプがそれぞれ30万円、セットで60万円という価格になるのが一般的です。
つまり、同じ回路構成の仕様でありながらプリとメインを分けると3倍の価格となるのです。
逆にセパレートアンプを先に誕生させ、この2つのアンプをダウンサイジングして一つにしたのがハイエンドなプリメインアンプです。
さて、ハイファイオーディオを極めてくると誰もが行きつくところがマルチアンプシステムという神の領域になります。
単純に、プリアンプとメインアンプというセパレートアンプで最高級の音を楽しむのも贅沢なのですが、プリアンプから周波数別に2つもしくは3つに分けてそれぞれにメインアンプを付け、それぞれの周波数帯域用のスピーカーを駆動するという何とも贅沢なシステムが存在します。
つまり2分割ならメインアンプは2つ、3分割なら3つ必要となります。
これを実現するのに重要なのが、チャンネルデバイダーというプリアンプとメインアンプの間に入れて、周波数を2分割もしくは3分割する装置です。
ノイズを入れずに綺麗なカーブで分割するには、それなりの技術が必要であり、高級品ではチャンネルデバイダーだけで100万円以上するものもあります。
当然、スピーカーシステムもマルチアンプに対応するように、それぞれの帯域別のユニットに直結するコネクタが付いていなくてはいけません。
近年の高級スピーカーは、通常2分割でのマルチアンプに対応したコネクタが付いています。
2ウェイなら、ウーハーとツイーターそれぞれに直結するコネクタとなり、3ウェイだと低音域のウーハー、中音域のスコーカー+高音域のツイーターという分割が一般的です。
3分割で使うのは、これに更に超高音域を補正するためのスーパーツイーターを付ける場合などで主に使われます。
逆に、重低音域用のスピーカーを付ける場合もあります。
それぞれの音域に対して、一つのメインアンプを使うというマルチアンプ方式、これが究極のオーディオシステムと言えます。
私は、過去にJBLの38Cm口径のフルレンジスピーカーユニット(D-130)とツイーターユニット(075)を使った2チャンネルでのマルチアンプ方式を楽しんでいた時期がありますが、真空管メインアンプ2台で消費電力が500Wを越える割にシングルアンプドライブに比べて大きな変化が見られないということでスピーカーネットワーク(N2400)で分割する方式に切り替えた経緯があります。
この時に使ったスピーカーネットワーク(N2400)はセットで7万円、アンプをマルチにするよりも調整が簡単で消費電力の心配も無いので気に入っています。
ただ、何時かは大きな部屋で完全なるマルチアンプ方式で楽しんでみたいという夢は持ち続けています。
上記のD-130、075に加えてホーン型のスコーカーを加えた3ウェイメインアンプでプリアンプも全て真空管での4台構成の真空管マルチアンプ方式で朗々と鳴らしジャズを聴く、この実現を40年以上も夢見続けているのです。