今、誰しも早期に新型コロナウイルスパンデミックが収束することを願っていると思います。
話しは少し古くなりますが、新型コロナウイルスパンデミック発生から半年後のアメリカ経済の3ヶ月経済成長率がマイナス33%という信じがたい調査結果が発表されました。
これは統計開始以来最悪のデーターで、リーマンショック時のマイナス8%をはるかに超える記録的な状況です。
当時、アメリカの主要経済活動はほぼマヒ状態と言っても過言ではなく、今も尚その状況は大きくは変わっていません。
この傾向を見て瞬間的に脳裏に浮かぶことは、新型コロナウイルスパンデミックが収束した後の10年間はおそらく現存する人類がかつて経験したことのない大不況時代を経験するのではないかということです。
リーマンショックでさえ正常化に10年以上かかりました、バブル経済崩壊では正常化に20年かかりました。
アメリカの景気後退は全世界に影響を及ぼします、しかも時間差攻撃でじっくりと回ってきます、これが私が最も恐れる世界規模で起こる最大級の経済不況です。
そして、日本の場合この数年間で国も地方自治体も特別予算を使い果たし財政的に余裕はありません、今後新型コロナウイルスに加えて新型鳥インフルエンザなど新たな感染拡大が起きても給付金等の支援は期待できません。
真の恐怖は新型コロナウイルスのパンデミックではありません、今後じわりと訪れるであろうアフターコロナ経済不況です。
既に年金の受給年齢の引き上げや納付年齢の引き上げが急ピッチで進められています、加えて消費税を15%にする案も検討され始めています、自身の生活は自助努力で守るしかありません、みなさんの心の準備の程は如何でしょうか?
「トリレンマ」とは、「3つのうち2つしか選択できない状況下での葛藤」を意味しています、ちなみにジレンマ(ディレンマ)は「2つのうち1つしか選択できない状況下での葛藤」という意味ですが意味はよく解らなくても多用される言葉なので皆さんもなんとなく使っているでしょう。
この「トリレンマ」が多用されるカテゴリは国際金融課題が最も有名です、「独立した金融政策」・「為替相場の安定」・「国際資本移動の自由化」の3つは同時に実現させることは不可能です、したがって各国の金融担当はどれを犠牲にするかと頭を悩ませるわけです。
また、イギリスのEU離脱などの国際政治にも「トリレンマ」が見て取れます、それは「グローバル化」・「国家主義」・「民主主義」という3つの事項の同時実現は不可能だからです、したがって何かを諦めるしかないのです。
さて、この「トリレンマ」は考えるに意外と身近な事でも見ることができます、これがこの記事の本題でもあります。
サラリーマン時代には起きえなかった「トリレンマ」が経営者になった途端に例外なく陥ります、それは「自分のやりたいこと」・「事業の確立と収益化」・「自分や家族とのプライベート時間」の3つです。
この中で「事業の確立と収益化」とはビジネスの成功そのものであり自社だけでは成し得ません、取引先やパートナー企業との友好なる信頼関係の下に有益な事業を確立する必要があるからです。
つまり、「事業の確立と収益化」を成し得たい人は「自分のやりたいこと」か「自分や家族とのプライベート時間」のどちらかを犠牲にしないと達成できないのです。
しかし、経営者「トリレンマ」は事業が回り安定収入を得られるまでの限定的な状況であり、「事業の確立と収益化」以外の一つ、場合によっては2つを犠牲にして先ずは「事業の確立と収益化」を成し得ることで、達成後は「トリレンマ」が一瞬で解消されます。
これは実に簡単な方程式です、3つのうち1つが解消したなら「トリレンマ」から「ジレンマ」に変わるだけだからです、更に2つのうち何かを限定的に諦めれば2つのうち1つがまた解消します、結果的に当初の3つの事項は全て解消されて自分の思い通りの幸福な状況を作り出せるのです。
ここを経営者の皆さんは、どこかで勘違いか思い込みをしてしまい未来に絶望すら覚えてしまうのではないでしょうか?
そして、「自分のやりたいこと」と「自分や家族とのプライベート時間」を諦めきれずに頑なにどちらかを期間限定としても一切犠牲にしません、結果「事業の確立と収益化」が犠牲になり成功しないのです、これも実に簡単な上手くいかない経営者の方程式です。
「トリレンマ」に「ジレンマ」、段階的に1つずつ達成させることで解消させることが肝要なのです、そしてその間は何かを犠牲にしても達成させるという強い覚悟と執念、そして達成するまでのストイックなまでの継続した強い姿勢が重要です。
何もかもを1度に得ようとするから「トリレンマ」や「ジレンマ」に陥るのです、段階的にプロセスを踏んで事を進める戦略を理解し実行すれば経営者「トリレンマ」も「ジレンマ」も起き得ないのです。
これが私が「自分のやりたいこと」や「自分や家族とのプライベート時間」を諦めきれない経営者に必ずアドバイスする「待て!」の極意でもあります、経営者が最優先されるべき事項は「事業の確立と収益化」以外にはありません。
その意味で、私はイギリスのEU離脱に一旦「グローバル化」を諦め「国家主義を取り戻す」という強烈なメッセージを読み取ったのです、近未来のイギリスの外交戦略を大いに注目したいと思います。
例え今は大成功を収めている経営者でも、起業したての頃や成長段階においては苦しく厳しい時期が必ずありました。
「今月の給与をどうしよう」、「銀行への返済はどうしよう」、資金的窮地に追い込まれることは経営上珍しいことではないし、どの経営者にも幾度かの経験は必ずあるものです。
仕事が上手くいっていたとしても、キャッシュフローのこうした問題は何時訪れるか解らないのが経営です。
例えば大きな商談が纏まって業務を推進する、当然支払いは納品後であるので大きな商談であればあるほどその間の企業運営コストを維持していかなくてはなりません。
その場合は銀行融資などに頼ることになります、その融資の実行が思わぬトラブルで数ヶ月延びることも想定できるし予定していた入金が遅延することも当然あります。
このように資金的な窮地は、その企業が黒字とか赤字とか会社の業績に関係なく常に起こりうる事実なのです。
そういうときの経営者の心境は穏やかではありません、自分の給与を未払いにしてまで社員の給与や仕入先への支払いを優先するので、精神面だけでなく財布の中身も非常に惨めなことになります、突如として家族共々極貧の節約生活に突入する事態も有り得るのです。
そんな時にお金が無いからといって質素な食事にしていくと本当にドンドン精神的に落ち込んでいきます、本来であれば別の方法を探れば解決できるということでも何も考えられなくなるほどに思考が狭くなってきます。
そこで世の経営者に私からの提案です、資金的な余裕が無く精神的に追い詰められたら逆転の発想で無理の無い範囲で家族や社員と贅沢な食事をしていただきたいのです。
人間としての満足の基本が「衣食住」にあるのです、美味しい物を食べると追い詰められて空回りしていた頭が冷静さを取り戻してきます、「明日から再度頑張ろう」と身体の底から前向きになってくるのです。
精神的に追い詰められ更に節約していたら、「こんな食事しかできない様になったのか?」と本当に精神的に落ち込むことでしょう。
追い詰められたら贅沢して美味しい物を食べる、そして良く寝ること、翌朝に再度打開策を考えてみましょう、昨日までとはまったく違った前向きな発想が出てくるはずです。
成功している企業は大小に限らず絶対に「合議制」を採っていません、誰もが知っている上場している大手企業でさえもです。
「合議制」とは役員会などで経営方針を決定する多人数経営手法で、最近の企業コンプライアンスの徹底化などで経営経験も無い経済学者があれこれと書籍などに書いている偽善に満ちた誤った経営手法の一つです。
おそらく「何でも自分でやってしまう経営者のワンマン経営では会社の成長は難しい」、ということを言いたいのでしょうが、この両者はまったく次元が異なるカテゴリなのです。
何でもやれる「スーパーマン社長」は社長個人の個性の問題、「ワンマン経営」や「合議制」は経営手法の問題です、つまり両者を比較することはできない事項なのです。
しかし、多くの書籍やベンチャーキャピタリストはこれらを混同して「合議制」推進の理由の一つにあげているのです。
こんな根拠もない書籍やいい加減な経営コンサルタントに惑わされておかしくなった会社は多数あります、これをいったい誰が責任を取るのでしょうか。
そもそも企業経営をまともに行った経験が無い人が、どうやって経営をコンサルティングできるのでしょうか。
「合議制」を否定するからといって「社員の話に耳を貸さない」ということではありません、これに関しては大いに聞くべきです、つまり「ブレインストーミング」や「戦略会議」などは大いにやっていただきたいと思います。
私が言いたいのは、会社の進むべき方向や最終責任者である社長が決断しなくてはならない重大事項を「合議制」で決めてはならないということです、多数決で決めるなどもってのほかで社長自らが自分の最大の仕事を放り投げたのと同じことです。
それと「合議制」で決めた事項は確実に全員が責任を取ろうとしません、つまり平和なときは良いですが計画外のイリーガルな事項が起きたときに、「みんなで決めたのでしょ」と社長も責任逃れするようになります。
自分が決心して決めた事項でなければ責任など誰も取れるはずもありません、社長も社員と同じ人間なのですから。
社長は会社の「基本方針」を自らの責任と覚悟をもって自ら決めなくてはなりません、そしてそれを実行するための戦略先述は役員会などでそれこそ「合議制」で決めればよいのです。
また、具体的な計画は更に担当役員下の部長や課長会議でのこれも「合議制」で話し合うべきものです。
社長に限らず組織のリーダーは、自分の最大の業務は何かを忘れて妙な全体主義だけは採らないことが賢明です。
根幹事項はリーダーが単独で、枝葉の部分は全体で決定するのがベストな方法です。
そして、「合議制否定」と「ワンマン経営」を混同する経営コンサルタントとは一切のお付き合いを止めたほうが無難でしょう、これも会社を守るべき責任ある経営者の決断です。
新たに窮地を脱しようと新事業を立ち上げる経営者が後を絶ちません、そして金融機関から借り入れができないと解ると、資金調達手段の一つとして助成金や政府の支援金を考え始めます。
ここではっきり言っておきますと、確たる事業計画ができていない状況下での助成金や支援金などの返す必要の無いお金ほど厄介なものはありません。
昔から、「ただほど怖いものは無し」ということを頭に入れておくことです。
確たる事業ができていないうちの返す必要のないお金は正直言って何も生みません、最悪は利益を生まないのに助成金をあてにしての先行投資した人材や事業の維持コストが嵩み、むしろ採択されなかった方が良かったという結果だけが残ります。
自身の腹を痛めないで助成金を得て人材確保や設備投資をして成長した企業を未だかつて見たことがありません、統計は実に正しく真実を物語っているのです。
結局のところ経営者が自身の腹を傷めない事業は絶対に上手くはいかない、それだけのことです。
先ずは自身のお金を惜しむことなく投資し、その投資によって生まれた事業の実績を以って更なる高嶺を狙う為に銀行融資で成長段階へステップアップする、この繰り返しで企業は大きく成長していくのです。
自己投資ができない人に成長事業の構築などできるはずはありません、前述のように自分の未来に自信もなく結果責任もとれないということなのですから。