世界的な不景気でも急成長する企業はいつの時代でも存在しています、ここ最近ではオフィス家具や業務用設備のリサイクル会社があります。
廃業や業務縮小で買い手市場となりただ同然の金額で買いつけられるようです、これを家庭用としてネットなどで販売して大儲けしています。
ちなみに一般家庭向けのソファーは2年ほどで何処かが壊れてしまいますが、接待室などで使うオフィス家具は価格も平均3倍ほどですが5年以上はしっかり使えます。
他にも100円ショップやディスカウントのお菓子屋さんなど、これも家計の状況を見事に反映してか大きな利益を上げています、最近では外国人観光客で大混雑しています。
更には家で過ごす時間が多くなったのかDVD付きの旅行やハウツー本の売り上げも好調のようです、不景気といってもフォローの風としている業種は意外と多いのです。
「人の行く裏に道有り花の山」ということですが、何時の時代も他者と同じことをやっていては勝者にはなれません。
不景気なら不景気を見方に付けるアイデアを絞り出していち早く具体化することです、そして常勝企業とは景気動向には一切左右されないということを理解することです、経営不振を不景気のせいにしているうちは成功など無縁のものでしょう。
「10を知って1を学ぶこと」も、逆に「1を観て10を予測する」ことも鍛練すれば誰にもできるようになります。
これは、過去の事例や目の前にある事実が存在するから可能となる能力です。
対して、過去の事例も目の前の事実も何も無い状況で新たなものを作り出す「ゼロ発想」は殆どの人にはできない能力です。
技術にしても人脈開拓や営業手法にしても資金調達にしても、何もないゼロの状態で新たな方法を考えるのは普通の人の感覚では絶対にできません。
この、「ゼロ発想」ができる人が成功する人であり企業を大きくしていける人なのです。
では、この「ゼロ発想」は何故できるのでしょうか?
多くの人の思考は視覚や聴覚に囚われています、人間の脳の占める処理容量は視覚が90%、聴覚が7%と言われています。
つまり、見たものや聞いたものからの情報で脳は処理しようとしてしまいます、そしてこれは人間の脳に備わった当たり前の機能であり正常に脳が機能している証拠です。
ところが「ゼロ発想」できる人は、この視覚と聴覚を意識的に麻痺させて全脳を使って新たなことを考えだせる能力を持っていると言っても過言ではありません。
「ゼロ発想」の瞬間は、目を開けていても脳は視覚情報をシャットアウトし思考することに専念しています。
同じように音は聞こえていても内容を理解することはできません、脳が音情報を解析するのをシャットアウトしているからです。
これは極めて高い集中力の賜物であり、集中力もまた鍛練することで長時間継続させることが可能となります。
「ゼロ発想」を行えることが成功の近道だとしたら、各種の情報を得る前に継続して集中できる能力を鍛えることが肝要なのです。
この継続した集中力は短時間で情報収集から分析まで行う事ができます、人の何倍もの処理をあっという間に行え、他者にできないことを考え行動しているのですから成功して当たり前なのです。
士業氷河期と言われて久しい、高い費用と時間をかけ免許を取得し独立しても生活すらできない人が多いといいます、その証拠に電車の中吊りや雑誌には常に士業事務所の広告が目立ちます。
独立が厳しいならと、他の事務所や一般企業の専門職に就職しようにも極めて狭き門です。
この深刻な現象はかなり前から言われています、特に免許制度の緩和など士業が足りない時代に施された施策が今になり仇となって返ってきているのです。
その中でもやはり潤っている事務所も数多く見られます、彼らは世の流れを読んで幾つかの特徴あるビジネススタイルを確立しています。
例えば弁護士では民事専門とか過払い専門などカテゴリを絞ってその道を極めています、また中小企業診断士や社労士は助成金申請支援などの代行支援で潤っているところも多いと聞きます。
上手くいってない事務所はホームページを見れば一目瞭然です、それは何でも出来ます的にメニューを陳列しています、「何でもできる」ということは裏を返せば「得意分野が無い」ということに繋がります。
この時代に重要なのはその分野に長けたエキスパートであり何でも無難にこなす中途半端なプロではないのです、そこを理解していない士業の方が多いと感じます。
士業も戦略なき事務所は淘汰されるのです、ビジネスは資格や免許ではないことを如実に物語っています。
ビジネスはアイデアでも努力でもありません、儲けるためのテクニックであり具体的な施策です。
士業と言えども事務所を運営しているなら経営者です、個人事業主に近い経営を行っていながら「経営改善」とか「経営戦略」を口にしたところで信じる根拠にはならないことを理解すべきです。
経営経験の少ない人たちに楽しく飲んでは話す事があります、それは「経営と航海は同じだ」ということです。
安全に航海するには事前準備は欠かせません、航海したら目的地に向かって船を進めるだけで戻ることなど考えません、ひたすら目的地に近づく努力をするだけです。
順風満帆なときだけではありません、荒波のときには致命的な障害も経験するでしょう、それでも前に進める気力を振り絞り目的地に辿りつけば一つの成功です。
そして船出の時にはたった一人での孤独で寂しい航海も目的地に着いたら大勢の人から祝福してもらえます、これが経営者の最大の孤独感でもあり大きな喜びでもあるのです。
同じように、経営をドラゴンクエストなどのロールプレイングゲームに例えることもあります。
使命を授かった主人公が目的を達成する為に旅に出ます、モンスターを倒しながら経験値を上げ試練を乗り越える為に必要なアイテムを揃えていきます。
稼いだお金で買えるアイテムもあれば、イベントをクリアしなければ手に入らないものもあります、また目的達成に必要な人材を仲間にする必要があります。
更には、途中で出会う人に好かれなければイベントクリアの方法やアイテムの場所を教えてもらえません。
こうしてプロセスを踏み選択していく先に最後の宿敵が待っています、そしてこれを倒して目的が達成されるのです。
難しそうに思える経営も、航海やロールプレイングゲームに例えると極めて明確にステージごとに行わなくてはならないことが見えてきます。
物事をたくさん経験することです、難しい事項でも例えるものを持っているか否かの差は大きいです、「経験に勝る術は無し」とはこういうことなのです。
どんな会社でも社長が専門分野の責任者である場合、その会社の社員の絶対的な能力は社長の能力がリミッターとなります。
例えばIT系の会社の技術者の技術レベルは、社長が技術責任者であれば社長の技術力がリミットとなります。
その意味は、社長以上の技術レベルを社員が有しているとしても社長が正しく評価できないからです。
だから正しく評価されない技術者は辞めるか、もしくは社長のレベルに合わせて我慢しているかどちらかとなります、何れにしても社長の技術力がリミッターになります。
成功している社長は自分の専門分野以外は幹部社員に全てを委任しています、IT系で自分が技術の責任者であれば営業や経理は専門家に全てを任せて自分はフォローと確認するだけに留めています。
IT系の会社の社長でITがまったく解らない人でも大成功している社長も多数います、それはCTO(最高技術責任者)をしっかり立てて技術は全てCTOに任せて自分は営業や管理に徹しているからです。
こうすれば、CTOの技術レベルがその会社の技術者のリミッターとなり優秀な技術者が集まります。
最も賢いと思う社長は、自分は各専門分野の責任者の意見を調整するだけに留め、専門分野の責任者は全て社員から選び全権を任せている場合です、上場する会社の社長とはだいたいがこういう人なのです。
そして、各専門分野のスペシャリストを責任者として揃えることで、会社全体の全ての分野の社員の持てる能力はフルに発揮され大きな成果を生みだしていけるのです。
社長の専門職とは社長業に他なりません、社長業とは会社を永続的に成長させる為の業務全てです、そしてこれだけは他者に任せることができないのです。
これがゼネラリスト社長の本質であり、事業や会社を大きくしたいのであればスペシャリスト社長ではなくゼネラリスト社長を目指すべきなのです。
ときどきスペシャリスト兼ゼネラリスト社長というマルチプレーヤーも見かけますが、社員の士気向上に加えて資金調達に管理と並大抵の努力ではこれを維持することは困難です。
そして、マルチプレーヤー社長は全てをパートナー企業に任せることができ、人件費を大幅に削減することも可能です。
これは、各分野のパートナーを掌握し適切な指示をタイミング良く出せるからに他なりません。
自分の知らない専門分野に意見し、纏まるものもまとめられずに数年で崩壊する会社は後を絶ちません。
継続的な成長を維持させることが社長の最大の務めです、専門分野は専門家に任せることです、この覚悟と潔さが社長の器のというものです。
どんな事にも口を出し全てを自分一人で決めている社長が率いる会社は、社員が何人いても社長が一人で行うのと売上利益は変わることはありません。