冷凍食材の調査研究でもっとも驚いたのが近年の麺類の冷凍食材です、正直生と違いが解らないほど完成度が高くなっています。
麺類は茹でて使う食材ですから、下手に冷凍加工すると戻した時にコシがなく昔は食感が大きな問題でした。
ところが最近の業務用に作られた麺類はパスタは勿論のこと、うどんや蕎麦でもしっかりコシがあって非情に美味しいのです、うどんや蕎麦の専門店は別として居酒屋などで〆の一品として出す分には問題なく使えます。
勿論、うどんは汁ものでも焼きうどんなどの炒め物でもシコシコ感が残っており味もしっかり美味しいので夏場などには安全性も考えて多用して欲しい食材です。
パスタは、調理済みの冷凍ものを堂々と見えるところでレンジで加熱して出している安価を謳うパスタ専門店もあるくらいで全く冷凍している違和感はありません。
ただパスタ専門店やイタリアンレストランでは敬遠されていますが、最近では専門店でもランチタイムなど繁忙時間帯だけ茹で時間が短縮できる冷凍ものを使う店が増えてきています。
実際に試してみても食感も味も何も問題ありません、ただし仕入れ価格は倍以上となりますのでコスト面と調理時間短縮での回転率とのバランスで検討する必要はあるかと思います。
それにしても麺類の冷凍ものの進化は素晴らしいです、コシを残す為のメーカーの努力には脱帽するばかりです。
近年の冷凍食材の完成度は驚くばかりです、調理すれば生とほぼ変わらない味と食感が得られます。
ただし、家庭で使うならまだしも業務用として飲食店で使うには抵抗があるオーナーやシェフが多いことも確かです、その意味で研究目的で様々な冷凍食材を実際に調理して確認しています。
まず肉類や魚介類は昔から業務用として多くの飲食店で多用していますし、冷凍熟成によってアミノ酸が増加してむしろ好ましいので問題ありません。
というよりも既にこれは常識化しており、特にアニサキス問題で生で食する魚介類は一度冷凍することを推奨すらしています。
問題は本題の野菜類です、何故なら野菜類の冷凍の多くは必ず熱処理を施してから冷凍されているからです、その結果調理した際に食感も味も変わってしまうからです。
さて実際に各種試してみた結果ですが、芋類はほぼ問題なく使えると思います、特にサトイモなどは手間のかかる灰汁抜きなどせずにそのまま煮込めますので高級料亭などでなければ煮ものに使うには問題ないでしょう。
同じようにゴボウやレンコンも煮込みには問題ありませんが、キンピラなどの炒め物はシャキっとした食感が得られずアウトです。
豆類も加熱調理して使うのが当然ですので食感も味もほぼ問題ありません、枝豆などはその代表格でどの居酒屋でも冷凍ものを使っているのをみても解ります、同じようにトウモロコシもてんぷらやバターコーンなどの調理には缶詰同様に使えます。
葉物はホウレンソウなどは炒め物に使えますが、独特のエグ味がなく冷凍だとバレテしまいますので、それでも問題ない価格帯での提供であれば手軽に使えて便利だと思います。
ただ、エグ味が無いということは栄養素は生とは別物であり食物繊維以外はほぼ加工過程で流れ出しており健康を謳う店では使えないでしょう。
かなり使えるようになったとはいえ、やはり葉野菜に限っては冷凍ものはまだまだ問題があると考えた方が良いかもしれません。
完熟野菜を日本ではどうして売らないのでしょうか?
この大きくなりすぎた完熟野菜は普通のピーマンとキュウリとナス、そしてカットしたゴーヤです。
大きさも色も味も、市場に出回り普段食べられているものとは全く異なります。
ピーマンは真っ赤に染まり肉厚で甘くまるでパプリカです、キュウリは弾力があり食感はまるでメロンです、ナスは若干固くなりますが焼くとホクホクしていてまるでエリンギのような食感です、ゴーヤは甘くてまるでフルーツのようです。
これらは調理次第では新しい食材として充分に活用できると思うのです、にも関わらず捨てられてしまう運命にあります。
出荷できない規格外の育ちすぎた完熟野菜は立派な新食材となると考えています。
通常のオクラのように角がなく、断面が丸い「丸オクラ」というオクラが存在しています。
角オクラに比べて丸オクラは肉厚で大きさも倍以上あります、特に生食がお奨めで、バーニャカウダやサラダにして食べると非常に美味しいのです。
軽く茹でたりレンジで加熱すると、更に甘みが増して肉料理の添え物としてもぴったりな味になります。
またオリーブオイルとの相性はバッチリで、パスタやアンチパストなど大変美味しい料理にすることができます。
更に実験としてピクルスにしてみたのですが、ぬるみが少なくてメニューとしても充分使えることが解りました、これは大きな収穫でした。
丸オクラはあまり流通はしていませんが、見つけたら即買いです!
左が丸オクラで右は普通のオクラ
大きさがまったく違います
オリーブオイルでソテー、塩だけで充分美味しい
緑色のゴーヤは苦みやシャキシャキの食感が美味しいのですが、完熟したゴーヤは甘くてフルーツのようになり、まるで別物の食材になります。
買ってきたゴーヤを黄色くなるまで放置しておくと完成しますが、本当に美味しいのは黄色くなったものを収穫して食べることです。
南国フルーツのように甘くて美味しいのです。
完熟ゴーヤを切ったところ
種はポリフェノールもたっぷりでとても美味しいです。
周りのジェル状のところが食べられます。
完熟ゴーヤは生でも苦くないので、オリーブオイルに塩こしょうだけでサッパリとサラダにしていただきます。
完熟ゴーヤのサラダ
ここまで熟すと完全にフルーツのような甘い味になります。
更に熟すとジャムのようになります、完全に別物です。