
オーディオ道楽と同時並行してのアンプコレクターは少なくありません、そんなアンプコレクターは頻繁にアンプを取り替えては愉しんでいます。
これはネットでの記事の話しですが、100台以上をコレクションしている人が週一で取り替えては愉しんでいるのだそうです。
私もそこまで頻繁ではありませんが、メインシステムやサブシステムとは別にスムースに入れ替えできるように設置したテンポラリシステムを組んでいて、月に数回アンプを入れ替えては音出ししています。
また、平行してこのシステムのスピーカーは2台づつセットし、3ヶ月で入れ替えるローテーションを組んでいます。
さて、アンプコレクターのこの頻繁にアンプやスピーカーを入れ替えては音を出して愉しむ裏にはどんな理由があるのでしょうか?
ここにはアンプやスピーカーごとの音質の確認以上に重要な理由があるのです、それは「大切なアンプに対して無通電状態を長期間置かないということと、大切なスピーカーのウーハーエッジを硬質化させない」という理由からなのです、つまりコレクションアイテムの正常動作を維持させる為に行っているのです。
80年代までのアンプには大型のトランスや電解コンデンサが使われています、これらは無通電状態が長いと劣化し寿命を短くしてしまいます、それを防止する目的で頻繁に入れ替えては通電させているという訳です。
スピーカーも長期間稼動させないとダンパーやエッジが硬化してしまいせっかく良い音で鳴っていたものも劣化の原因になってしまいます、硬質化したダンパーやエッジはちょっとした音量でもヒビ割れが生じたり穴が空いてしまうのです、その意味でアンプほどではありませんが適度に稼働させることが重要なのです。
アンプ100台なら週一でも一周りで2年かかります、この程度の無通電期間なら何とか劣化させずに維持できるでしょう。
私の場合は50台程度のコレクション数ですから月に一度で4年で一周りします、これがギリギリセーフの周期でしょう。
こんな厄介なコレクションはオーディオだけではないかと思うのですが、維持させながらその機種の音質の特徴も各種のスピーカーとの相性もしっかり記憶させることができるので、一石二鳥だということです。
また入れ替えにはけっこうな筋力を使いますから、一人で設置できなくなるほど筋力が衰えた時がアンプコレクションの止め時なのかもしれません。

ヤマハから「サウンドシャワー」という名の商品が過去に発売されたことがあります、この言葉を最初に聞いたとき「音楽をシャワーを浴びるように全身で感じるオーディオか?」と思ったのですが全然違っていて浴室で使用可能な防水オーディオだったというオチでした。
この言葉が頭から離れずに何時かは全身で感じる、まるでシャワーを浴びるように音楽を全身で感じるオーディオ装置ができないかなんて考えているのです。
間接照明が刺激がなくリラックスできるように、間接音響もきっと心地良いと考えるのは極自然の思考です。
BOSEは「空間和音」という言葉を編み出し、空間で合成される音を最終的な音色としてスピーカー作りをしているオーディオメーカーです。
何かBOSEの空間和音での音作りにヒントが在るように思えるのです、例えば暴風雨の際の重低音域の音圧(風圧)は半端ではありません、身体が飛ばされるほどなのですから。
こんなにも物凄い音圧(風圧)でありながら耳には大きな音として感じません、これが音の空間合成作用により耳に聞こえる周波数が複雑な位相の合成によりキャンセルされて、合成されない重低音域だけが残るので身体が飛ばされる程の音圧(風圧)でもうるさく感じないのです。
こんなところに何かヒントが隠されているように思います、「サウンドシャワー」という発想を考えているだけでワクワクします。
中高音域はしっかり聴き取れているにも関わらず、ベースやバスドラの音で身体が揺れ髪の毛が飛ばされる、何か面白くないですか?
ということで現在間接音響の各種実験を日々行っているのです、面白かったのがスピーカーを壁に向けて間接音で聴いてみたときのことです、これが絶妙で体験したことの無い音場を作りだしました。
12帖ほどの部屋なのですがまるで大きなホールで聴いているかのような音響効果が出たのです、そして離れても横に移動しても音場がほとんど固定化しているのです、これはもしかして面白い装置が作れるかもしれません。

オーディオマニアは長寿、そんな思いが走ってしまうのが各所で行われている試聴会の会場風景です。
約80%の人が70歳を越えています、そして皆さん医者に弁護士に会社役員とビジネスも現役です。
本当に皆さん元気で驚かされます、私などはここに入れば若もの扱いです。
何かに没頭すると右脳が鍛えられると言われていますが、常に音質向上させるためのアイデアを考えているのでしょう、とにかくみなさん思考が柔軟で試聴会でも各種のユニークなアイデアが出てくるので非常に有益な時間です。
市販品では物足りないとDIYを楽しむ方も多く、こういったコンテストも年に数回開催されています、ここでも参加者のほとんどが高齢者です。
またアイデアを形にしてくれるオーディオビジネスも在るのです、DIYが得意じゃない人でも世界で一つの自分だけのオーディオ製品を持てる時代なのです。
ただ価格は半端無く高価です、同じ音質レベルなら市販品の倍は当たり前で中には10倍以上するものもあります。
こういった一品ものを扱う専門のオーディオショップも存在します、またこのようなショップの代表も高齢者が多いのです。
更には往年のマニアが代表を務めるアンプの改造専門のメーカーも多数在ります、「**カスタマイズ仕様」とか「**チューニング」と称した製品は中古でも大人気です。
ニーズが在れば必ずビジネスチャンスがそこに在るのです、本当にオーディオ道楽とは深いし多くのビジネスのネタが落ちているのです、きっと往年のオーディオマニアはこんなところにも知恵を巡らせるのでボケずに何時までも元気でいられるのでしょう。

アンプの音質の差は通常レベルの音量で聴く分には大きな差は出ません、とはいえそれなりのクラスのアンプという条件になります、例え小音量でもエントリークラスとハイエンドでは明らかに違いが出ます。
また音質はスピーカーに左右される部分が大きく、スピーカーが安価の場合ではやはり差が出にくいです。
逆に言うと、エントリークラスのスピーカーにハイエンドアンプを繋いでもそれほど大きな音質の差は出ずにむしろエントリークラスのアンプでも充分だと言えます。
アンプの音質の差がはっきりと解るのは、ミドルクラス以上のできれば大型スピーカーを使い、音量も話しをするのが困難な程の音量だと明確に違いが解ります。
ワーキングBGM的に音楽を流したり、ベッドルームで静かに音楽を聴きたい場合などはミドルクラスやハイエンドなアンプは不要でエントリークラスでも充分に機能します。
リスニングスタイルに合ったアンプを選ぶことが重要で、余計な出費を抑えることにもなります。
そういう意味ではオーディオマニアはじっくりと聴き込む為のシステムをメイン、BGM的に使うシステムをサブというように目的に合わせて使用する機器を使い分けているのです。
また、テレビの音質改善やPCオーディオでのデスクトップオーディオは全てサブシステムという位置付けです。
メインシステムは聴き込む為のシステムですから音場感が重要で、リスニングポイントを決め、それに合う様にスピーカーの向きや距離などをきっちりと測ったように設置することが重要です。
サブシステムの場合は小型スピーカーを天井近くに付けると部屋全体にサウンドが広がり、どこに居ても同じような音質で聴くことができるのでお薦めの設置方法です。

私は家電製品は壊れるとすぐに廃棄するのに、ことオーディオ製品に関しては壊れたジャンクを廃棄せずにストックしてしまうのです。
逆に完動品は不要と思えばすぐ下取りで出してしまうのに、何故壊れたジャンクは手元に置いておくのでしょうか、それは将来の愉しみの為にです。
スピーカーのジャンク品は山のようにあります、これらはユニットを替えれば生き返るのです、エンクロージャーは壊れてないのですから。
また、逆に使えるユニットをDIYでエンクロージャーを作って取りつけて蘇らせる事も可能です。
アンプやプレーヤー類も部分的に使える部品は数多く存在しており、DIYでの部品取りに大いに役に立つのです。
そして本当のジャンクを取って置く理由、それは将来の自分の理想郷を見ているからです、隠居した後に待っている理想郷のビジョンにしっかりとオーディオDIYで愉しんでいる自分の姿が見えています。
DIYで自分の中での理想に近い音を出すのが愉しみなのです、これは一つの芸術作品だと思うのです。
ジャンクを蘇らせるオーディオ工房を是非やってみたいと考えています、きっと私のように昔の愛着のあるオーディオ製品でもう一度音を聴きたい人は沢山いると思います。
そんな自分の趣味と他者の利益が一致する道楽は実に愉しいと思います、廃棄するにもお金がかかるオーディオ製品、蘇らせて再利用するのは一つの社会貢献だと思うのです。
そんなことを考えていたら古物オーディオ協会という社団法人を創設していました、隠居後の愉しみがまた一つ増えたのです。