
バブル崩壊にリーマンショック、私は世界レベルの経済危機には次の一手を早期に繰り出しては難局を乗り越えてきました、そんな活きた経験が何事にも自然に身体が動きます。
世の中が停止した時間をどう思考するか、この思考の差は雲泥の差となって数年後に表面化してきます。
ラボに籠り大いにジャズを愉しみながら特許や事業スキームをロジカルシンキングし、新商品のロジック設計を行ったりホームページをはじめWebサイトのリニューアルやコンテンツの製作に充てます。
こういった次のステップへの準備と経済環境変化に伴う構造改革を一気に行ってしまうのです、これが次の時代への有効なる戦略です。
オーディオ道楽では、買ってから数年間も放置していたスピーカーのDIYキットをこういった停滞期にに一気に製作します、そしてまだ音出し確認ができていないものをラボに少しずつ運び込んでは充分な時間をかけて動作確認と音質評価をしています。
この空白の時間を大いにオーディオ道楽に没頭しつつ、次のステップに進む為のビジネス準備とロジカルシンキングに充てるのです、ロジカルシンキングでは理想郷の構築と同時に未来のオーディオ環境に関してが中心になります。
オーディオとホームシアター、加えてみんなで愉しめるホームカラオケを合わせたシステム設計、この構想がどんどん膨らんでおりベースとなるシステムを固めておきたいと考えています。
構想の一つがライブハウスで使われるPAオーディオ製品で基本システムを構築するというもので、巨大なPAスピーカーをフロントとセンター用に購入したいと考えています。
PAスピーカーを置くとなるとスペースは最低でも40畳は確保したいと思いますので幾つかの部屋をワンルームに改装しなくてはなりません、したがって大きな一軒家をどうにか確保することが先決になります。
田舎の住居兼用の喫茶店などをそのまま居抜きで買ってしまうという手もあります、オーディオ道楽の構想はこのように無限に広がっていくのです。
こんな事を考えていられるのも当面の経済的不安要素が無いからであり、本当に幸せなことだと思います。

オーディオ機器のサイズって、どうして同年代に各社が揃って同じくらいのサイズになっているのでしょうか?
アンプ・チューナー・カセットデッキ・レコードプレーヤーが独立したコンポーネントステレオと呼ばれるスタイルが日本に誕生した時に、既に製品化されていたアメリカのアンプのサイズを参考にしたと考えられます。
当時のアメリカにはUS電気規格に19インチラックがありました、放送局用のアンプや送信機、PAオーディオや測定機などを収める業務用電気設備ラックです。
この幅が48Cmです、ここから取り付け用の羽板を取ると本体の横幅は42~43Cm程度となります。
このサイズが現在までのコンポーネントオーディオ製品の横幅として各社の暗黙の了解となっているのです、何故なら各社各様の製品をラックに収める時に同じ大きさにする必要があるからです。
この規格を外れた製品を出したら標準ラックに収まらないので買われない可能性があるからです、ですから「暗黙の了解」ということなのです。
この横幅42~43Cmのコンポーネントは、90年代に入り横幅30Cm前後のコンパクトサイズが流行り出した際に「ミニコンポ」と称されたことから後付けで「フルサイズコンポ」もしくは「標準サイズコンポ」と呼ばれるようになりました。
また95年辺りから21Cm前後のハーフサイズのコンポが出始めます、このハーフサイズのコンポは出始めた当初は「ミニミニコンポ」と称されましたが、後に「ハーフサイズコンポ」とか「マイクロコンポ」と呼ばれるようになりました。
更に2000年以降に安価なカーオーディオアンプなどを使ったハガキサイズのD級アンプやヘッドホンアンプが誕生してきました、このハガキ大の大きさの製品は「ナノコンポ」などと呼ばれています、と言うことは最近出始めている更に小さな名刺大の製品はこの流れから察すると「ピココンポ」と呼ばれるのでしょうか?
ちなみにサイズに関らず「ハイコンポ」と呼ばれる製品群があります、これはミニコンポ以下のサイズでハイファイスペックを持ち、更にシステム販売と並行して単体でも販売しているグレードの高いシステムコンポの製品を統括して指しています。
時代はどんどん小型軽量化していきます、音質はアンプの大きさでは決まらないのですが20Kg以上もあるフルサイズコンポで何時までも音楽を聴きたいと思うのです。
これは私だけの気持ちの問題ですが、BGM用とかデスクトップなど用途を限った場合は別にしてメインの常用オーディオセットにフルサイズ以下のサイズを使ったことは皆無です。
その理由は気持ちが大らかにならないからです、オーディオから影響される精神的な事項って私の場合は自身で思っている以上に大きいのです、オーディオに限らず記憶に刷り込まれた拘りとか思い入れってこういうことだと思うのです。

鈴虫や小鳥が最も美しい音色で鳴くのは死ぬ直前、蝋燭の火が最も大きくなるのが消える直前、鯛の刺身が最も美味しくなるのが腐る直前、履いていた靴が最も足にフィットするのが捨てる直前・・・。
こんな理不尽な事実は何処にでもあるのですが、ことオーディオで言うとスピーカーがこれに当たります。
スピーカーは新製品の時にはダンパーやエッジが硬く、張りはあるのですが本来の低音域などの鳴りが出てきません、そして聴き込む度にどんどん音は良くなっていきます。
そんなある日突然のように音に締りが無く響きがガラっと変わる時があります、ダンパーやエッジが経年経過や疲労で張りが無くなってしまった結果です、こうなるとメーカーにダンパーやエッジを張替をしてもらわないといけなくなります。
っで戻ってきて音を聞くと買ったばかりの頃のように張りはあるが豊かな低音域が無いのです、スピーカーって本当に繊細なものだなとつくづく思います。
そしてアンプでは大切に使っている物ほど壊れて、壊れても良いと思って気楽に使っている物ほど壊れないという理不尽な事実があります、オーディオの理不尽な事実ですが受け入れたうえで愉しむしかないのでしょうね。
ビジネスにもこれと似たような事実は多々あります、それを理解して受け入れる、どの世界にも成功するには我慢が肝要なようです。

80年代だったか株式投資雑誌に経済アナリストの興味深いレポートがありました、それは「アンプの色は近未来の景況感を反映している」というものでした。
そのレポートによると、景気浮上の数年前からシルバーやシャンパンゴールド色のアンプが売れ景気後退の数年前からブラック色のアンプが売れる」というものです、確かにバブル景気が始まる数年前から世の中のアンプが黒一色になりました。
驚くことにシルバーと淡い白木の側板の気品ある色調で人気を集めたヤマハのアンプでさえ、83年ごろからの数年間はブラック一色になり気品ある面持ちであったフロントパネルは他社同様の厳つい顔つきになったことです。
その後、バブル経済が崩壊してオーディオ氷河期に突入し一連のブラック一色も徐々にシルバーやシャンパンゴールドに変わって行きます。
その後は10年という長いトンネルを抜け徐々に景気も落ち着き出します、そしてホームシアターが成長期を迎える2005年ごろになるとAVアンプを中心にまたブラック色のアンプが出始めます、そしてリーマンショックで世界的な不景気に見舞われます、確かにアンプの流行色は景気を5年ほど先取りしているようにも思えてきます。
では今はどうかと調べてみると、ヤマハは以前の気品を取り戻したかのようなフロントパネルに戻り、エントリークラスのアンプはシルバーとブラックの2色ですがミドルクラス以上はシルバー一色です、AVアンプはシルバーとブラックのコンビネーションになっています。
ソニーは、プリメインアンプはAVアンプの流用品のようなエントリークラスの一機種しかなくAVアンプも含めて全てブラック一色です。
デノンは、ヤマハ同様にエントリークラスのアンプだけシルバーとブラックの2色を出しており、ミドルクラス以上は全てシルバーです、AVアンプは逆にブラック一色になってしまいました。
オンキョー・パイオニア・マランツはプリメインアンプは全機種シルバー一色です、こちらもAVアンプはほぼブラック一色です。
こうして見ると、ハイファイオーディオ製品はほぼシルバーでホームシアター製品はほぼブラックと利用形態で住み分けされているような状況です、これをどう分析したら良いのでしょうか?

オーディオ道楽の仲間は昔から数多くいますが、みなさん本当に与え合いの精神の持ち主なのです。
オーディオ道楽の多くは日々の音質を極める活動と並行してコレクションを行っている人が殆どです、高級なハイエンド製品を買うお金があればミドルクラスやエントリークラスの製品を数多く揃えたいというのがオーディオマニアの思考なのです。
それぞれの製品の異なる音色をコレクションし、その違いを確認したり組み合わせを自分なりに工夫することがオーディオ道楽の一つの喜びでもあります。
それでもどんな人にも経済的な限界というものがあります、そこで与え合いの精神が重要になってくるのです。
例えば同じメーカーのシリーズでの音質の違いを同じ環境で確認するには一度に5台のアンプやスピーカーを買わなくてはいけなくなります、そういった場合にはそれぞれが持っているアイテムを持ち寄って合同で音質確認したりします。
こういった持ち寄り試聴会は友人同士は勿論ですがオープンな形でも昔から各所で行われており、私も80年代にはタクシーでアンプやスピーカーを運んでは参加していました。
こういった活動を通して生きた情報を得ては次に買うべき製品を互いに確認し合ったりするのです、この試聴会は全員で音体験を共有できそれぞれが体験した貴重な情報を共有できるので80年代には毎回満員御礼の状況でした。
場所は喫茶店やレストランを経営している人が休みの日に無償で提供します、またコレクションの交換会や即売会なども同時に開催されるのが常です。
こういった交換会や即売会の製品はみな美品の完動品を出すのが暗黙のルールで与え合いの精神からきています、大事にコレクションしている製品を出品しますから本当にどれも新品同様に綺麗なものばかりです。
試聴会後の飲み会ではそれぞれの意見や感想を好き放題言い合うのですが、互いの感性を尊重し合い喧嘩になることは皆無です、オーディオ道楽を行っている人は心の広い人が多いのかもしれません。
こういった道楽を通した人間関係は、ビジネスの人間関係とは次元が異なるももので利害や損得勘定などが入り込みません。
むしろ譲り合いや与え合う理想の人間関係なのです、こういったところからもビジネスでの人間関係の在り方を多いに学ぶのです。
職業もバラバラでビジネスに発展するケースもありました、オーディオメーカーの技術者とも仲良くなり手持ちのアンプのメンテナンスを安価でお願いできたりしたので道楽にも弾みが付きます。
オーディオ道楽復活で、こういった忘れかけていた古き善き思い出も蘇ってきました、古き良き時代を今に望むのは酷というものでしょうか。