
どんな物事にも流動的に変化を繰り返す時期と、逆に一切の動きが止まる安定した時期が存在します。
企業においても然りで人材が常に入れ換わりを見せる時期もあれば、長期間同じ人材で物事が勢いよく進む時期とがあります。
安定期は物事が進み出すので、人材は安定期でも経営的には増収増益で活性化します。
オーディオもシステムというくらいで企業と同じように製品が次々と入れ換わる時期もあれば、音質のバランスが一旦取れてしまうとこれをいじりたくない時期があります。
これは本当に面白いものでそれぞれの製品の特性がピタッと合うことがあります、この安定した音質は何かを変えると異和感が出てくるようになります、だからしばらく変更する気にもならないのです。
そして、こういったシステムが安定した時にはシステムを考えずによくなるので音楽鑑賞に集中できるようになり、今度は予算をシステムからソースに切り替わるのでソースの数が増えていくのです、これも企業とオーディオのバランス感覚は同じです。
システムが動く時には本来の活動が止まり、システムが安定した時には本来の活動が活性化する、実に面白いバランスです。
オーディオやホームシアター道楽もこういった流動的な時期と安定した時期が繰り返しでやってきます、オーディオ道楽復活から5年ほどの流動期を得て、ようやく安定期に移行しかかっています。
流動的な時期はお金がかかるし、常に変化させているので各種に神経をとがらせては落ち着きません、それでも一旦安定するとそんな時期を思い出しては懐かしむのです。
私にとってのオーディオと経営は何か各種のポイントで相関性があるのです、そして道楽とビジネスとの摩訶不思議な一致、それは道楽が流動的ならビジネスも流動的になるということです、逆に道楽が安定すればビジネスも安定するのです。
陰陽思想でいう「陰極まれば陽極まる」という陰陽法則が当てはまるのです、いろいろなファンダメンタルズを学び道楽やビジネスに活かす、何事も上手く納める人とは道楽にも手を抜かないのです。

バブル崩壊にリーマンショック、私は世界レベルの経済危機には次の一手を早期に繰り出しては難局を乗り越えてきました、そんな活きた経験が何事にも自然に身体が動きます。
世の中が停止した時間をどう思考するか、この思考の差は雲泥の差となって数年後に表面化してきます。
ラボに籠り大いにジャズを愉しみながら特許や事業スキームをロジカルシンキングし、新商品のロジック設計を行ったりホームページをはじめWebサイトのリニューアルやコンテンツの製作に充てます。
こういった次のステップへの準備と経済環境変化に伴う構造改革を一気に行ってしまうのです、これが次の時代への有効なる戦略です。
オーディオ道楽では、買ってから数年間も放置していたスピーカーのDIYキットをこういった停滞期にに一気に製作します、そしてまだ音出し確認ができていないものをラボに少しずつ運び込んでは充分な時間をかけて動作確認と音質評価をしています。
この空白の時間を大いにオーディオ道楽に没頭しつつ、次のステップに進む為のビジネス準備とロジカルシンキングに充てるのです、ロジカルシンキングでは理想郷の構築と同時に未来のオーディオ環境に関してが中心になります。
オーディオとホームシアター、加えてみんなで愉しめるホームカラオケを合わせたシステム設計、この構想がどんどん膨らんでおりベースとなるシステムを固めておきたいと考えています。
構想の一つがライブハウスで使われるPAオーディオ製品で基本システムを構築するというもので、巨大なPAスピーカーをフロントとセンター用に購入したいと考えています。
PAスピーカーを置くとなるとスペースは最低でも40畳は確保したいと思いますので幾つかの部屋をワンルームに改装しなくてはなりません、したがって大きな一軒家をどうにか確保することが先決になります。
田舎の住居兼用の喫茶店などをそのまま居抜きで買ってしまうという手もあります、オーディオ道楽の構想はこのように無限に広がっていくのです。
こんな事を考えていられるのも当面の経済的不安要素が無いからであり、本当に幸せなことだと思います。

オーディオ機器のサイズって、どうして同年代に各社が揃って同じくらいのサイズになっているのでしょうか?
アンプ・チューナー・カセットデッキ・レコードプレーヤーが独立したコンポーネントステレオと呼ばれるスタイルが日本に誕生した時に、既に製品化されていたアメリカのアンプのサイズを参考にしたと考えられます。
当時のアメリカにはUS電気規格に19インチラックがありました、放送局用のアンプや送信機、PAオーディオや測定機などを収める業務用電気設備ラックです。
この幅が48Cmです、ここから取り付け用の羽板を取ると本体の横幅は42~43Cm程度となります。
このサイズが現在までのコンポーネントオーディオ製品の横幅として各社の暗黙の了解となっているのです、何故なら各社各様の製品をラックに収める時に同じ大きさにする必要があるからです。
この規格を外れた製品を出したら標準ラックに収まらないので買われない可能性があるからです、ですから「暗黙の了解」ということなのです。
この横幅42~43Cmのコンポーネントは、90年代に入り横幅30Cm前後のコンパクトサイズが流行り出した際に「ミニコンポ」と称されたことから後付けで「フルサイズコンポ」もしくは「標準サイズコンポ」と呼ばれるようになりました。
また95年辺りから21Cm前後のハーフサイズのコンポが出始めます、このハーフサイズのコンポは出始めた当初は「ミニミニコンポ」と称されましたが、後に「ハーフサイズコンポ」とか「マイクロコンポ」と呼ばれるようになりました。
更に2000年以降に安価なカーオーディオアンプなどを使ったハガキサイズのD級アンプやヘッドホンアンプが誕生してきました、このハガキ大の大きさの製品は「ナノコンポ」などと呼ばれています、と言うことは最近出始めている更に小さな名刺大の製品はこの流れから察すると「ピココンポ」と呼ばれるのでしょうか?
ちなみにサイズに関らず「ハイコンポ」と呼ばれる製品群があります、これはミニコンポ以下のサイズでハイファイスペックを持ち、更にシステム販売と並行して単体でも販売しているグレードの高いシステムコンポの製品を統括して指しています。
時代はどんどん小型軽量化していきます、音質はアンプの大きさでは決まらないのですが20Kg以上もあるフルサイズコンポで何時までも音楽を聴きたいと思うのです。
これは私だけの気持ちの問題ですが、BGM用とかデスクトップなど用途を限った場合は別にしてメインの常用オーディオセットにフルサイズ以下のサイズを使ったことは皆無です。
その理由は気持ちが大らかにならないからです、オーディオから影響される精神的な事項って私の場合は自身で思っている以上に大きいのです、オーディオに限らず記憶に刷り込まれた拘りとか思い入れってこういうことだと思うのです。

鈴虫や小鳥が最も美しい音色で鳴くのは死ぬ直前、蝋燭の火が最も大きくなるのが消える直前、鯛の刺身が最も美味しくなるのが腐る直前、履いていた靴が最も足にフィットするのが捨てる直前・・・。
こんな理不尽な事実は何処にでもあるのですが、ことオーディオで言うとスピーカーがこれに当たります。
スピーカーは新製品の時にはダンパーやエッジが硬く、張りはあるのですが本来の低音域などの鳴りが出てきません、そして聴き込む度にどんどん音は良くなっていきます。
そんなある日突然のように音に締りが無く響きがガラっと変わる時があります、ダンパーやエッジが経年経過や疲労で張りが無くなってしまった結果です、こうなるとメーカーにダンパーやエッジを張替をしてもらわないといけなくなります。
っで戻ってきて音を聞くと買ったばかりの頃のように張りはあるが豊かな低音域が無いのです、スピーカーって本当に繊細なものだなとつくづく思います。
そしてアンプでは大切に使っている物ほど壊れて、壊れても良いと思って気楽に使っている物ほど壊れないという理不尽な事実があります、オーディオの理不尽な事実ですが受け入れたうえで愉しむしかないのでしょうね。
ビジネスにもこれと似たような事実は多々あります、それを理解して受け入れる、どの世界にも成功するには我慢が肝要なようです。

80年代だったか株式投資雑誌に経済アナリストの興味深いレポートがありました、それは「アンプの色は近未来の景況感を反映している」というものでした。
そのレポートによると、景気浮上の数年前からシルバーやシャンパンゴールド色のアンプが売れ景気後退の数年前からブラック色のアンプが売れる」というものです、確かにバブル景気が始まる数年前から世の中のアンプが黒一色になりました。
驚くことにシルバーと淡い白木の側板の気品ある色調で人気を集めたヤマハのアンプでさえ、83年ごろからの数年間はブラック一色になり気品ある面持ちであったフロントパネルは他社同様の厳つい顔つきになったことです。
その後、バブル経済が崩壊してオーディオ氷河期に突入し一連のブラック一色も徐々にシルバーやシャンパンゴールドに変わって行きます。
その後は10年という長いトンネルを抜け徐々に景気も落ち着き出します、そしてホームシアターが成長期を迎える2005年ごろになるとAVアンプを中心にまたブラック色のアンプが出始めます、そしてリーマンショックで世界的な不景気に見舞われます、確かにアンプの流行色は景気を5年ほど先取りしているようにも思えてきます。
では今はどうかと調べてみると、ヤマハは以前の気品を取り戻したかのようなフロントパネルに戻り、エントリークラスのアンプはシルバーとブラックの2色ですがミドルクラス以上はシルバー一色です、AVアンプはシルバーとブラックのコンビネーションになっています。
ソニーは、プリメインアンプはAVアンプの流用品のようなエントリークラスの一機種しかなくAVアンプも含めて全てブラック一色です。
デノンは、ヤマハ同様にエントリークラスのアンプだけシルバーとブラックの2色を出しており、ミドルクラス以上は全てシルバーです、AVアンプは逆にブラック一色になってしまいました。
オンキョー・パイオニア・マランツはプリメインアンプは全機種シルバー一色です、こちらもAVアンプはほぼブラック一色です。
こうして見ると、ハイファイオーディオ製品はほぼシルバーでホームシアター製品はほぼブラックと利用形態で住み分けされているような状況です、これをどう分析したら良いのでしょうか?