2024年5月14日 09:00
【自立分散システム】
自立分散システムでいうP2P(Peer to Peer)とは、複数の端末が接続されたネットワーク上でそれぞれの端末同士が通信を直接行うというものであり、管理者サーバーが存在しないネットワーク接続を意味します。
通常の金融システムでは、高いセキュリティを施したクライアントサーバーが権限を持つことにより運営されているため多大なコストがかかるという問題があります。
仮想通貨に代表されるパブリック型のブロックチェーンは中央権限型ではなく、特定の端末に権限を集中させない非中央集権型の自立分散型(P2P)ネットワークを構築することを前提にしています。
この非中央集権型ネットワークはコストがかからず透明性を維持できるとされています、ではなぜ金融システムや他のシステムで自立分散型ネットワークが構築されてこなかったのでしょうか?
それは一つの解決できない大きな問題が存在していたためです、その大きな問題とは「ビザンチン将軍問題」といわれる、ネットワークにおいて故障または故意によって嘘の情報が伝達される可能性がある場合にそのネットワーク内で正しい合意を形成できるかという問題です。
この問題に対してビットコインは、Proof of Work(PoW)というコンセンサスアルゴリズムによって解決を試みています。
このPoWとは自立分散型ネットワーク内で行われる取引の正当性を、マイニング(採掘)という他ノードの承認を取り入れることによって正当性を示そうとするものです。
この承認には莫大なコンピューター処理能力を必要とする計算領域であり、この作業に時間的、経済的負荷をかけることによって悪意ある攻撃を防ぐシステムを構築しているのです、そしてその作業こそが電子署名とハッシュ関数を使った暗号化技術によるものなのです。
対して管理者が介入するコンソーシアム型のブロックチェーンは、あくまでも管理者を置いた電子取引台帳だけをブロックチェーン化したもので、その運用においては必ず管理者が介在し、ユーザー同士の自立分散型P2P取引を行えないような用途に適応しています。
また、産業向けとして現在構築されつつあるプライベート型ブロックチェーンは、セルフマイニングを採用することによって運営者が存在していても、その取引においては自律分散型P2P取引が行えるという優れたブロックチェーンとして現在大いに注目されています。
近年、プライベート型ブロックチェーンは「産業用ブロックチェーン」、または「エンタープライズ・ブロックチェーン」と呼ばれるようになりました。
※仮想通貨は、ブロックチェーン技術を用いた世界で最初のDApps(分散型アプリケーション)の一つであるということに過ぎません。
今や、電子取引をあらゆるデータの取引として金融以外の分野に応用して行こうという試みがなされています。
※投稿@伊東久雄