実験栽培中の提携農家さんから研究材料として3株を初出荷していただきました。
寒さと乾燥で葉は、紙のように萎れてしまっていて、食材に向く葉はほとんど付いていませんでしたが、今回改めて驚いたのが根の大きさです。
フランス産の食用タンポポは、栽培実験4ヶ月で根が長さ30Cm以上、太さが1Cm以上にもなり、当社ベランダでの実験で少し心配もありましたが、自然栽培は予想を上回る成果が出ました。
この状態で3月になれば立派な葉が何枚も付き、春と秋は食材として収穫できるという確信が持てるようになりました。
フランスの気候は日本とよく似ています、この真冬の寒さと乾燥の中でも、根はすくすくと育っております。
さすが農業のプロ、当社のベランダでの実験栽培物とは比べ物になりません。
また、花茎が出る瞬間の株だったらしく、蕾ができ始めています。
ところで食用タンポポは今流行りの水耕栽培は可能なのか?
根が長く伸びるタンポポの水耕栽培の可能性と共に根の成長観察のため、ボトルに水を張り実験中!
この状態で花を咲かせ、葉が伸びてきたら水耕栽培の実験大成功!
今回も2回目として、ちょっとコーヒーブレーク的なタンポポに関連したウンチクを幾つか紹介します。
☆タンポポの種は冬眠する
タンポポの種には同じ花から出来た種にも関わらず、発芽時期をそれぞれの種が単独で何かしらの方法によって発芽時期をコントロールするメカニズムが備わっています。
これは、春一番に他の植物よりも先にその地を占領する部隊と、他の植物が先に生えていた場合は秋になり枯れるのを待ってから発芽し、その地を占領するという部隊が上手く役割分担しているのではないかとと考えられています。
☆タンポポの花は連携プレーを行う
タンポポは花を咲かせる際に蕾を形成しながら花茎を高く伸ばします、そして蕾は太陽が昇る頃に開花し夕方には閉じてしまいます。
これを3日間繰り返し4日目には完全に花を閉じて花茎をいったん寝かせて別の花が茎を伸ばし花を咲かせるのを邪魔しないようにしています。
そして、次の花が咲き4日目に横になりますので、今度は先に横になっていた花茎はピンと伸ばし種を一気に飛ばします。
同じ株の花でも順序良く開花と種を飛ばす完全な連携プレーを行い、花同士が花を咲かせ種を飛ばす動作の邪魔し合うのを防いでいるのです。
更には、この間欠的に種を飛ばすことで、風向きなどの違いから四方八方に種を飛ばす事ができます。
一斉に花を咲かせて種を飛ばしてしまったら、その時の風向きにしか飛びません、つまりこの連携プレーと間欠プレーによって四方八方に種を飛ばすタンポポの知恵なのです。
☆タンポポの花の奇形
タンポポの花の中には花茎が通常の数十倍という自転車のチューブのように太く平たい中空状になる奇形が昔から報告されています。
そして、このチューブの周辺に10個以上の花を連環状に咲かせます。
この種からは奇形は見られず通常のタンポポが育ちます、つまり遺伝するものではなく突然変異的に発生するものと考えられています。
現在、この奇形のメカニズムも理由も全てが謎のままなのです。
今回は、ちょっとコーヒーブレーク的なタンポポに関連したウンチクを幾つか紹介します。
☆タンポポの名前の由来
諸説あるのですが、一般的に言われているのが子供の遊びからというものです。
昔は、タンポポを「鼓草」と呼んでいました、タンポポの花茎の部分を切り、両端を細かく裂きます、それを水に浮かべると細かく裂いた両端が反り返り楽器の小鼓のような形になります。
それを見て子供たちは「タンタン、ポンポン」と言っては遊んでいたようです、それが何時しか短縮され「タンポポ」と呼ばれるようになったということです。
☆タンポポの花言葉
ヨーロッパではタンポポは花占いの花で、花弁を1枚ずつ抜いては「すき、きらい、すき・・・」と最後に残った言葉で占うというもの。
ここから、タンポポの花言葉が「愛の神託」、「神託」、「真心の愛」などという花言葉が付けられたようです。
また、綿毛(種)を吹いて飛ばす占いも有るようで、全て飛べば恋愛が実り、少し残れば心が離れて行くというもので、ここから「別離」の花言葉もあります。
☆白い花のタンポポがある
タンポポの中には白い色をしたタンポポがあります、日本古来の種では「シロバナタンポポ」などがそれに当たります。
ところで、この白い色したタンポポですが、実はオレンジ色の色素が無いのではなく、白い色のタンポポの花からオレンジ色の色素が抽出されます。
では何故白いのかというと実はオレンジ色の色素をあえて分解して白くしていることが解っています、その理由は研究段階のようですがきっと大きな理由が有るのでしょうね。
最近良く聞く「オーガニック」、でもこれを正確に理解している人はかなり少ないのではないでしょうか?
例えば「化学肥料や農薬を使わない有機栽培された野菜類」という認識は間違っていませんが正確には不十分なのです。
「オーガニック」は、日本語に直訳すると「有機」ですが「オーガニック食品」となるとかなり厳密な内容になります。
世界には300を超えるオーガニック認定機関があります、しかしその認定の内容が団体ごとに異なっており、これもまた混乱を招いている要因にもなっています。
各団体で共通している項目としては、以下のような内容になっています。
・3年以上農薬や化学肥料を使用していない農場で栽培収穫されたものを、「オーガニック」と言う。
・「オーガニック」の条件をみたした原料で、添加物を一切使わずに作られた加工食品。
・「オーガニック」の条件を満たした飼料によって飼育され、抗生物質、ホルモン剤を一切使用していない畜産物。
・栽培・収穫・加工・流通などすべての工程で、認証機関などの第三者が厳しくチェックしパスしたもの。
という内容が一定基準として存在しています。
つまり、農家が直販する時などに無農薬有機栽培の野菜だからといって「オーガニック」という言葉を簡単に使うと違法行為の対象になる可能性があります。
日本では、農林水産省が1992年に有機農産物に関わる「青果物等特別表示ガイドライン」を定めました。
その後1996年にはこれを改正し、農薬や化学肥料を一切使わない「有機農作物」と無農薬もしくは減農薬で栽培した「特別栽培農作物」の二つに分類しました。
しかし、これは違法表示などに関しても罰則規定がない形骸化されたものでした。
そこで2000年に、改正JAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律))が施行され、厳しい品質基準をもつ有機食品の検査認証制度が発足いたしました。
先述の、簡単に「オーガニック」を表示できない、という事がこれで良くお分かりになったかと思います。
検査認定を通していない無農薬・無化学肥料の野菜類は「無農薬自然耕法」などと表示するのが無難かもしれません。
5月連休から実験栽培中の西洋タンポポは、蒔いた種の株が5ヶ月目にして凄いことになっています。
5月に蒔いた種は直ぐ芽を出し6月には葉が10枚ほどになりましたが、まだこの頃の葉は幼葉で本葉ではありません。
そして7月から9月までは暑さのせいか、何度も枯れかかってまったく成長しなくなります。
そして10月に入り大きな本葉がどんどん出て来てその成長ぶりに驚かされます。
西洋タンポポは暑さに弱いことが実験で解りました。
冬と夏はじっと耐え、春と秋に一気に成長するんですね!
ここで、タンポポの葉の研究!
タンポポの葉は成長段階によって形を変えて行きます。
左から、幼葉(芽を出して5ヶ月目まで)、中間葉(本場になる前の数枚)、本場。
道端に咲くタンポポ、幼葉の時にはタンポポだと気付きづらいですね、でもしっかり秋には見慣れたギザギザのタンポポの葉に!