
事業計画書(3)
バックグラウンド
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
事業計画書を作るとき、市場規模や売上予測、収支計画といった数字に目が向きがちです。 しかし投資家などの相手に本当に理解してもらうために重要なのは、その裏側にある「背景」です。 なぜこの事業なのか、なぜ自分たちがやるのか、その理由を伝えるストーリーが欠かせません。
ここでいう背景とは経営者自身の経験やお客様の声、どのような課題に直面してきたのかといった「その事業にたどり着くまでの道のり」です。 ビジネスモデルだけを説明するよりも、どんな想いがあり、どのような過程を経て今の事業構想に至ったのかを伝えることで説得力が増し、相手の心にも届きやすくなります。 アイデアそのものなら思いつく人は世の中にたくさんいます。 大切なのは「なぜそのアイデアを、あなたが、今やるのか」をきちんと伝えることです。
経営理念から背景までを一つの流れとして伝えることで事業全体のストーリーが立ち上がってきます。 そこに具体的なエピソードが加わると投資家にとっても「なるほど」と腑に落ちやすくなりますし、これは対外的な説明だけでなく社内にとっても大きな意味を持ちます。 社員が事業の背景を理解していれば日々の判断や行動にも一貫性が生まれます。
事業計画書の「背景」は経営者の視点や問題意識、想いと覚悟を伝えるための重要なパートです。だからこそ経営理念と同じくらい時間をかけて言葉を磨き、丁寧に作り込むべきページだと考えます。

決算書(5)
損益計算書
本記事では、決算書にあまりなじみのない中小企業・小規模事業の経営者やこれから数字を見る立場になる方向けに決算書の基本的な見方を整理していきます。 私は会計士・税理士ではありませんが、実務の中で学びながら経営者が押さえておきたいポイントに絞って整理していきます。
損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)は一定期間における企業の経営成績を示す財務諸表です。 売上などの収益から、原価や各種費用を差し引き、最終的に利益(当期純利益など)がいくらになったのかを表します。 貸借対照表がある時点の財政状態(資産・負債・純資産)を示すものだとすれば、損益計算書は期間を通じた事業活動の結果を示す成績表だと言えます。
損益計算書の役割は黒字・赤字の確認にとどまらず、利益がどの段階で生まれどの段階で削られたのかを分解して示し、事業が継続的に利益を生み出せる構造になっているかを読み取れるようにすることにあります。 そのため損益計算書は上から下へ流れに沿って順番に読んでいきます。 段階ごとに意味が分かれているため流れで追うと理解しやすいことが多い諸表です。
基本的な流れは、売上高から始まり、売上に直接対応する原価を差し引いて売上総利益(粗利)を確認し、次に販売費及び一般管理費など日常的な事業運営に必要な費用を反映させて営業利益を把握します。 さらに受取利息・支払利息などの営業外収益・費用を加味して経常利益に至り、固定資産売却益・災害損失などの特別利益・特別損失を反映して税引前当期純利益を計算し、最後に法人税等を差し引いて当期純利益となります。 こうした段階的な利益の積み上げ構造こそが損益計算書の本質になります。
損益計算書を一枚の成績表として眺めるだけではなく事業活動の流れをそのまま写したものとして読むことができれば、数字は単なる結果ではなく次の判断に使える材料へと変わっていきます。

中小企業のための補助金・助成金(6)
誰が審査しているのか
補助金のなかで特に中小企業庁がおこなっているものづくり補助金などは、多くの企業が採択されているものもあります。 最近では第〇次という形で年に何度も申請機会があります。 こういった補助金では審査の数も膨大になります。 いったいどこで誰が審査しているのでしょうか。 補助金を申請をするにあたり誰が見るのかが重要な情報になってきます。
こういった補助金はまず取り扱う事務局が選ばれます。 そのあとで補助金が公募されるのですが、実際に審査をするのはその事務局ではなく外部の委託された審査官たちです。 その審査官とは主に中小企業診断士や税理士などです。 その方たちが大量の申請を審査していくことになります。
審査する数は膨大なので当然審査時間も短くなってきます。 申請する側は自分たちの理念や想いを載せて隅々まで詰め込んで申請書を書くわけですが、それらが全て審査員に読み取られるわけではありません。 審査する方は自身で事業を生み出して経営されていた方もいるとは思いますが、そのような方は少ないとみておいた方が良いと思われます。 審査には公開されている審査項目がありますので、その内容に合致するかどうかを機械的に見ていくことが多くなってくるようです。
よって申請書には審査項目に合致することをわかりやすくアピールすることが重要になってきており、審査しやすい申請書が通りやすくなっているようです。 補助金によっては不採択だった場合にその理由を聞くことができます。 それらの理由をみて再度改善して申請に臨むことができますので、わかりやすく審査官にアピールできると採択への道が近づいてきます。

事業計画書(2)
経営理念
本記事は中小企業向けに「基本形の事業計画書」の概要を説明するものです。 これまで私自身が代表に教えていただいたことをまとめています。 事業計画書には出資を募る目論見書、共同事業の提案書、補助金申請に付す計画書など複数のタイプがありますが、ここでは初めて作成する方に向けて共通する考え方と構成の骨子を示します。
出資を募る目論見書において経営理念は特に重要な要素になります。 事業計画書について教えていただいた代表からも「ここが一番重要だ」と繰り返し言われてきました。 経営理念は自社や事業がなぜ存在するのかどこを目指すのかという目的やビジョンを言語化したものであり、企業や事業を興す際の「軸」になります。 また事業を進めていく中でもその軸からブレていないかを確認するための拠り所となります。 これらは企業の存在意義や価値を示すものであり、その内容に共感や魅力を感じてもらえなければその先の事業計画書の細かな内容を読み進めてもらえないかもしれません。
経営理念は「事業計画書に書くための項目」というだけのものではなくそもそも会社を経営していくうえで欠かせない土台です。 経営者が交代しても引き継がれるべきものであり社員はその理念を拠り所として判断し日々の行動を選択していくことができます。 意思決定に迷ったときに立ち返る基準でもあり短期的な利益や目先の事情に振り回されないためのガイドラインにもなります。
また経営理念は対外的なコミュニケーションにおいても重要な役割を果たします。 自社が「どういう価値観を持ち、何を目指している会社なのか」を端的に示すことで、取引先やパートナー候補に対して自社の姿勢を明確に伝えるツールになります。 特に社員との間で「何を価値とし、どの方向を目指しているのか」が共有されていることは事業を推進していくうえで非常に大きな力となります。 同じ理念を共有していることで個々のメンバーの行動が自然とそろい、事業計画で描いたストーリーを現実のものにしていく推進力が生まれます。

決算書(4)
貸借対照表 自己資本比率
本記事では、決算書にあまりなじみのない中小企業・小規模事業の経営者やこれから数字を見る立場になる方向けに決算書の基本的な見方を整理していきます。 私は会計士・税理士ではありませんが、実務の中で学びながら経営者が押さえておきたいポイントに絞って整理していきます。
貸借対照表でいう「自己資本」は一般に「純資産の部」に計上される金額です(※中小企業の実務では純資産と自己資本はほぼ同じ意味で使われることが多いため、その前提で説明いたします)。 自己資本は現金残高そのものではなく会社が持っている資産全体から返さなければならない負債を差し引いた差額です。 出資によって自己資本が増えたとしても、現金は人件費や開発費、設備、売掛金などに変わっていくのが普通なので「資本金が大きい=手元資金が潤沢」という意味にはなりません。
自己資本の内訳は出資によって入ったお金が元になる資本金と資本準備金、そして事業での利益や損失の累積である利益剰余金です。 出資が入ったときその全額を資本金に入れる必要はなく、会社法上一定の範囲で資本金に組み入れない額を資本準備金として計上でき自己資本を構成します。 資本準備金に入れるは中小企業向けの補助金・助成金や税制優遇を意識する場面では有効な手段になることがあります。
自己資本比率はこの自己資本が総資産の中でどれだけの割合を占めるかを見る指標で、自己資本比率 ≒(純資産合計 ÷ 資産合計)× 100 で算出します。 自己資本比率が高いからといって「いざというときの現金が多い」とは限らないです。 中小企業では利益剰余金がマイナス(累損)になっていることも珍しくなく、赤字が続けばこのマイナスが膨らみ純資産(自己資本)は減少していきます。 純資産が少ない状態だと、赤字や回収が遅れたときなど債務超過が視野に入りやすく、金融機関や取引先が慎重になり追加融資や取引条件の調整が難しくなることがあるようです。 逆に利益剰余金がマイナスでも資本金や資本準備金が一定あり純資産がプラスを保てていれば、「まだ余力がある」と見なされやすいようです。 自己資本比率はそうした信用の度合いをざっくり掴む目安として捉えることができます。