2026年2月 5日 10:00
決算書(10)
個別注記表
本記事では、決算書にあまりなじみのない中小企業・小規模事業の経営者やこれから数字を見る立場になる方向けに決算書の基本的な見方を整理していきます。 私は会計士・税理士ではありませんが、実務の中で学びながら経営者が押さえておきたいポイントに絞って整理していきます。
個別注記表は貸借対照表や損益計算書に並んだ数字の前提条件を文章で説明する書類です。 表形式の数字だけではその数字がどのような基準で算出されたのか、または将来どのようなリスクがあるのかが見えません。 そのため決算書の信頼性を補完する重要な書類として、すべての会社に作成が義務付けられています。
中小企業においては「中小企業の会計に関する基本要領」に準拠していることを明記した上で具体的な会計方針を記載します。 例えば固定資産の減価償却は定率法と定額法のどちらで行っているのか、消費税の処理は「税抜」と「税込」のどちらを採用しているのか、といった内容です。 これらは利益の出方に影響を与えるためどの基準を選んでいるかを宣言することが決算書の透明性を高めることにつながります。
また数字の表には現れない見えないリスクや事実の記載も欠かせません。 具体的には自社の所有する不動産を銀行借入の担保に入れている状況や、他者の借金を肩代わりする約束(保証債務)の有無などです。 これらは今の時点では負債の数字として現れませんが、会社の将来を左右する大きな情報であるため文章で正しく補足する必要があります。
銀行などの外部機関はこの注記表を見て「一貫した基準で書類を作っているか」「隠れたリスクはないか」を厳密にチェックします。 つまり個別注記表は単なる決算書の付録ではなく、減価償却や消費税の処理一つひとつに至るまで自社の決算が適正であることを証明し、経営の誠実さを伝えるための非常に重要な書類といえます。