2025年9月29日 10:00
AI・IoT・ロボティクスが社会基盤に浸透する中、サイバー空間と現実世界(フィジカル空間)が一体化システム「サイバーフィジカルシステム」の安全性が注目されています。経済産業省はこれらに対するリスクを解決する「サイバーフィジカルセキュリティ」という新しい枠組みを整備しています。
◇ 経済産業省の政策
経済産業省は2020年に「サイバーフィジカルセキュリティ対策フレームワーク」を発表し、スマート工場・エネルギー・インフラなどの分野において現実世界とサイバー空間の統合管理に伴うリスクの対処する方針を示しました。以降、製造業・ロボット・医療などの分野ごとにガイドラインが策定され、Society5.0実現に向けた安全基盤の確立が進められています。
◇ 多層防御アプローチ
サイバーフィジカルシステムへの攻撃は1つの層だけでは防げないとして「多層防御」の重要性を強調しています。例えばセンサや制御機器にはハードウェアレベルの認証や改ざん防止策、通信経路には暗号化とゼロトラスト設計、AI分析基盤には異常検知とログ監視、そして最終的な制御装置には緊急停止や冗長系の確保が求められています。
◇ レジリエンスと自律防除の時代へ
今後は「すべてを守る」という思想から「被害を最小化し迅速に回復する」というレジリエンス設計が主流となってきます。さらにAIが脅威を検知し自律的に防御を行う「動的セキュリティ」や「自己修復型システム」の研究も進んでいます。今こそサイバーとフィジカルが融合する時代にふさわしいセキュリティの備えが問われています。