
【ブロックチェーン誕生の瞬間】
ブロックチェーンは、ビットコインの誕生によって広く世間に知られるようになった電子取引に使われる暗号技術の一つです。
暗号通貨による電子取引の概念は、サトシ・ナカモト(Satoshi Nakamoto)が、2008年初頭からmetzdowd.com内の暗号理論に関するメーリングリスト「暗号通貨に関する論文」を発表し始めたことから始まりました。
サトシ・ナカモトの論文の主旨は、「インターネット上の商取引は、例外なく電子取引を処理し、信用できる第三者機関としての金融機関に頼っていることが現状である。
金融機関は争いの仲裁を行うために、完全に非可逆的な取引は扱えない。
仲裁コストが取引コストを引き上げるため少額取引の可能性は失われる。
必要なのは、第三者機関を介さずに当事者同士が直接取引を行うことです。(このポイントが最も重要です)
その場合、信頼ではなく暗号技術に基づいた決裁システムがあればいい。
通貨を多重に使用されるような不正から守るために、P2P分散タイムスタンプサーバーを利用する。(この技術が後にブロックチェーンと呼ばれるようになりました)
善良なノードが、悪意あるノードよりもCPUが上回っていれば、このシステムはセキュリティ的に安全である」というものです。
さて、この論文には、金融機関などの仲裁者を通さずに直接2者間で、インターネット上において正常な取引を行えるシステムとして、具体的なシステムデザインが示されています。
これがその後に確立された、世にいうブロックチェーンと呼ばれている電子取引システムです。
2009年1月、サトシ・ナカモトの論文にあるブロックチェーン技術を使い、複数のコンピューター提供者との間で分散処理による取引方法を構築し、そのうえで売買される通貨として世界初の暗号通貨である「ビットコイン」が誕生したのです。
※仮想通貨は、ブロックチェーン技術を用いた世界で最初のDApps(分散型アプリケーション)の一つであるということに過ぎません。
今や、電子取引をあらゆるデータの取引として金融以外の分野に応用して行こうという試みがなされています。

「不動産テック」という言葉は一時期業界紙面を賑わしていましたが、最近ではほとんど見なくなりました。
ほんのちょっと前までは、IT業界の巷では「ポスト・フィンテック」分野として注目されていた技術カテゴリです。
「不動産テック」は世界的な名称としては「リアルエステートテック」であり、日本では解りやすく「不動産テック」と呼ばれています。
フィンテックが金融のIT化であれば、「不動産テック」はまさに不動産業界のIT化を指しており、不動産の売買や仲介を省力化し利益率を高めようという試みです。
特に、政府もこの分野に注目しており、人口減少が起こる中で中古住宅販売市場規模を現在の10兆円から20兆円に引き上げたい意向を示し各種の支援を行おうと計画しています。
具体的な動きは既に浸透しつつあります、例えば中古住宅の売買におけるAIを駆使した概算見積もりに始まり、近い将来は売買契約に係る重要事項説明書などを自動作成してしまうなど多岐に渡っています。
また、デジタルマーケティングも今後は多くの不動産企業が採用してくると考えています。
オウンドメディアなどを活用しての極めて有益な「ここだけ情報」や、自社の投資会員として抱え込むための投資家向けの最適な投資プランの作成など、その企業にしかできないオリジナルの手法が次々に展開されてくると思います。
更には、今後は限られた地域での地域通貨的なデジタル金融媒体との連携が考えられます、ここに私は非常に強い関心を示しています。
日本の不動産は排他的且つ閉鎖的と世界中から言われています、つまり正確な詳細情報が専門業者でないと掴めないのです。
この分野は今はまだ誰も気が付いていません、意外やIT業界の大穴分野かも知れません。
「不動産テック」、言葉が聞かれなくなったのは既に話題性が無くなったからです、つまりこれは業界の常識となり標準となったからに他なりません。
多くの人は話題を振りまいた言葉が使われなくなると「廃れた」と考えます、しかし成功者は祭りの後にこそ利益を取りにいくのです。

電子マネーは、1990年代に次々に誕生して以来、爆発的な成長を遂げ栄華を誇ってきました。
しかし、近年減益に陥る電子マネー運営企業が急増し、交通系など一部を除くと淘汰の嵐が吹き荒れています。
オンラインゲーム決裁を売りにしてきた電子マネーでは、3年前のピークに比べて50%以上もの減益で生き残りをかけて突破口を模索しています。
プリペイド方式の電子マネーは、誕生当時クレジットカードを持てない社会信用力の低い人や学生を中心にインターネットでクレジットカードと同等に使える事を最大の売りにして急伸しました。
オンラインゲーム会社やネットショッピング会社も売り上げが上がるために取り扱う企業が増え、これを後押ししました。
その後電子マネーに押されていたクレジット会社各社は、審査基準を緩め家族カードなどで誰でもが持てるように方針を転換しました。
また、銀行が発行するクレジット機能付きのデポジット(デビッド)カードが普及し始めて電子マネーの牙城を崩し始めたのです。
ここで、電子マネーの大きな欠点がクローズアップしてきます。
金融機関でなくても発行できるというメリット以上に、「フルチャージしても少額しか扱えない」、「残高を換金できない」ということが最大のネックになっています、また使えるシーンが限られている点も見逃せません。
では、このまま電子マネーは市場から姿を消してしまうのでしょうか?
今、電子マネー会社は大きな岐路に立っている事は確かです、キャッシュレス全盛時代の到来を前にして生き残るには有効な戦略が必要不可欠です、過去の栄華に胡坐をかいていては確実に淘汰されていくでしょう。
過去、数年で消えていった交通系プリペイド型電子マネーは、チャージ式にすることと交通機関以外の提携店を必至で増やすことで生き残りました、そして再び大きな市場を得ています。
利用母体を自ら持たない電子マネー企業が今やらなくてはならない事は何でしょうか、私には一つの方法しか思いつきません、ITの未来と今後の未来社会をはっきり読めている人には明確に解ることです。

この数年来の高騰に暴落、某国の公式通貨になるなど何かと話題を振りまくビットコインですが、ビットコインの未来はどのようになるのでしょうか?
株式などと違い過去の統計が全くない暗号資産であるビットコインは、未来予測は極めて難しいものがあります。
しかし、その特性やシステム理論から照らし合わせるとある程度の予測は可能となります。
ビットコインを代表とする暗号資産(仮想通貨)は、その発行に際してホワイトペーパーを策定します、ここには発行手順と最大発行数も記載されています。
これを正しいとして算出すると、現在の状況が継続すればビットコインは約15年後には全て発行済みとなります、この状況を「枯渇」と呼んでいます。
ビットコインの取引に協力している参加者に協力報酬としてビットコインが支払われています、これをマイニングと言います。
このマイニングは半年に1度発行数を半減するように自動化されています、これを半減期と呼んでいます。
さてここで全てのビットコインが発行済みとなると、少なくても新たなコインを報酬として受け取る事ができなくなります。
この瞬間に一般的な取引協力者は一瞬にして姿を消してしまいます。
そうすると、安全性を確保するための51%以上の計算能力を保持する事が難しくなり、この時点で51%以上(計算上は47%でも可能だとする論文もある)の計算能力を持つマイナーが存在すれば乗っ取りという危険性が高まってきます。
ただ、そうならないようにシステムを変更していくでしょうが、「枯渇」は一つの大きな衝撃を与えることには間違いありません。
そして、それまでの間は需要が有る以上は、価格こそ乱高下しながらも確実に維持し続けていくと見ています。
ただ、枯渇後のビットコインはどうなってしまうのでしょうか?
前例のない暗号資産の未来を予測するのは極めて困難です、しかし仕組みを正確に理解する者であれば何が起こるかはそう難しい予測ではありません。

ズバリ、今後のブロックチェーンによるP2P取引(個人相対取引)は新たなる経済秩序を生む媒体という存在になる可能性が極めて高くなります。
お金の誕生により労働生産性という秩序が生まれました、労働生産性とは一人の人間がその業務に従事したとして幾らの利益が生まれるかという概念です。
昔から存在する統計では農業や漁業の生産性は低く、金融やITといった付加価値サービス業がどの国でも高いものとなっています。
しかし、ブロックチェーンによるP2P取引の誕生によってこれまでの過去の統計は崩れてくる可能性があります。
更には、「労働」そのものの意味や「労働生産性」という意味そのものが成り立たない可能性もあるのです。
これはどうしてでしょうか?
それは、ブロックチェーンによる経済秩序そのものが利益を生む媒体だからです、つまりお金を使わずに利益を生むという新たな秩序が生まれてくるのです。
そもそも、人間はお金の無い時代にどのようにして欲しい物を得たのでしょうか?
それが最大のヒントです、近未来にはお金で物を買うという秩序そのものが崩壊する可能性があるのです。
お金という物を買う媒体は、持つ者と持たざる者を大きく差別化してきました。
では、お金そのものが必要としない時代に飛躍するのはどのような人でしょうか?
人間は本来の平等な関係を崩壊させました、それはお金でお金を生むという秩序が成り立ってしまったからです。
お金という価値概念が正しいか否かを問われる時代になってきたと思うのです、それがブロックチェーンによるP2P取引が齎す新たな経済秩序なのです。