2022年7月22日 07:00
数年前に起きたコインチェックによる「NEMコイン流出問題」ですが、ネット上に妙なサイトが立ち上がり、まことしやかな噂が広まりました。
その妙なサイトとは、「私の持っているNEMコイン2個と、あなたの持っているNEMコイン1個を交換します」というものです。
これは、ブロックチェーン技術に詳しい人であればどんな意味があるのかが解るのですが、おそらく普通の人だと意味が解らないと思います。
さて、何故2対1で損をしてでも交換しようとしているのでしょうか?
その答えはブロックチェーンには追跡機能が在るからなのです、これをトレーサビリティと呼んでいます。
つまり取引のすべてはブロックチェーンを遡っていけば誰から入手したかが解るのです、つまり冒頭のサイトの主は仮想通貨ロンダリングをしようということなのです。
その目的は、出所が不明な「NEMコイン」と確かな「NEMコイン」を交換し、安全な綺麗な状態にして売り抜け現金化しようとしているのは間違いないでしょう。
この出所を追跡し、それがコインキャッシュのホットウォレットであれば確実に犯人と関係あるということになります。
過日のコインチェックの「NEMコイン」かは別にしても、入手経路を追跡されるとまずい裏があると考えられます。
フィアット通貨(法定)の紙幣にはどの国の通貨でも透かしがあります、ベトナムのドンには本当に向こう側が透けて見える透明な特殊技法が使われています。
仮想通貨にもそれと同様に、足跡を残すブロックチェーンという暗号システムが存在しているのです。
追跡はいとも簡単です、何故ならどの仮想通貨のブロックチェーンも二重鍵になっていて、公開鍵によって誰にでも追跡できるようになっているからです。
このブロックチェーンの技術的特性を知っている人は、相当手の込んだことを考えないとロンダリングはできないと思うのです。
仮にハッキングによってコインを得たとしても、後に現金化するにはかなりのテクニックが必須になるのです。
さて、このようなブロックチェーンのトレーサビリティは産業用途にも重要な機能として初期の頃から注目され活用されています。
例えば、ダイヤモンドの原産地から加工され店頭に並ぶまでのルートの保障、同様に木材や農産物・魚介類などまで幅広い分野で注目されています。
ブロックチェーンを使うと、原産地や生産者などの虚偽の記載などもできなくなるのです。
消費者が安心して購入する事ができるブロックチェーンのトレーサビリティ機能、今後ますます注目される技術となっていくでしょう。